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2018年3月17日 ・・・ 日常が原点

先日、オウム事件で死刑が確定した死刑囚たちが各地の拘置所に移送され、
今日は、地下鉄サリン事件の被害者団体が東京で集会を開き、
そこに松本智津夫死刑囚の三女も参加したということが
ニュースになりました。

オウム関連のニュースを聴くと、
95年、サリン事件のあったあの日のことを思い出します。

あの日は68歳で生涯を閉じた母の通夜の日で、
大勢の親戚が集まる中、
サリン事件のニュースが飛び込んできました。

誠に不謹慎なことではありますが、
ニュースを聴いた親戚の一人が、
「霞ヶ関駅ではなく国会の中にまいたらよかったのに」
と話すほど、当時政治家に対する不信感が根強くありました。

今も政局は森友学園の問題で大きく紛糾しています。
政治を正すことは極めて大切なことですが、
国会で費やす時間のどのぐらいの割合が
対立政党の揚げ足取りや不正を告発することに費やされているのでしょうか。

日本はこれから極端な高齢化社会を迎え、
近隣諸国との安全保障の問題等、
解決しなければならない問題が山積しています。
そんな中、いつまでも誹謗中傷をやり合っている様は、
沈没しかかっている大型客船の中で、
食事の場所取りをしているような、そんな愚挙であるように感じます。
日本の行く末が心底心配です。


地下鉄にサリンがまかれた95年3月20日、
あの日は日本人にとって忘れられない異様な一日です。

けれどその異様な一日も、
何気なく過ぎていく平穏な日々の延長であり、
その異様な出来事が起こるべき根は、
日常の中にあったのではないかと感じます。

村上春樹の「アンダーグラウンド」の中に、
サリンがまかれた霞ヶ関駅の助役の言葉が載っています。

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村上 春樹

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「私が地下鉄の階段を毎日掃除している。
 掃除しているところへ、
 タバコの吸い殻を捨てていく奴がいるぐらいだから、
 こういうことが起こっても当たり前ですよ」


また同じく現場にい合わせた和泉きよかさんという二十代の女性は、
こう語っています。

「そこはなんというか、
 もう<地獄>という形容がぴったりの様子でした・・・
 私たちがいたのはちょうど、霞が関の通産省の門の前だったんですが、
 人が口から泡を吹いて何人も倒れているんです。
 道路のこっち側はほんとうに地獄のような光景だった。
 それなのに道路のあっち側半分は、
 何事もなくいつもどおり通勤していく人々の世界なんです」


一見平穏ではあっても、
人間としてまともな感覚を殺して生きている日常の中では、
生物としての基本的何かが壊れていってしまいます。
その一見平穏でおかしな日常は、
道路のあっち側に異常な光景が広がっていても、
その様子が変わることはないのです。


偉大な教育者である森信三先生は、
『一日は一生の縮図である』という名言を遺されています。

この言葉は、
何気なく過ごす普段の日常の中に、
すべてにつながる大切なものがある、
という意味に解釈できます。

非日常(ハレ)で大きなイベントをすることは簡単ですが、
真に大切なことは、それを支える日常(ケ)をいかに正すかにあります。

ここ広島は国際平和文化都市と呼ばれ、
貴重な文化遺産である平和公園、原爆ドーム、原爆資料館があり、
海外からも多くの人たちが訪れています。

その人たちの目的は文化遺産を見ることであり、
そこから未来へ通じる平和のメッセージを感じ取るのですが、
それを支えるのは広島の日常であると考えます。

広島駅を下りて道路を歩き、街並みを目にし、
そこで平和を具現化した街とはどういうものなのか、
それを感じてもらうことが広島の日常のあるべき姿です。

そしてそのために道に落ちているゴミを拾い、
市内の公衆トイレを仲間とともに月一回清掃活動をしていて、
これが広島に於ける平和活動の根っこだと信じています。


もの作りの現場では、安全対策のため、
ヒヤリ・ハットということが提唱されています。



「重大事故の陰に29倍の軽度事故と、300倍のニアミスが存在する」

統計的に300件のヒヤリとするようなミスがあると、
それが29件の軽い事故につながり、
そして一件は重大事故になるというものです。

ですから重大事故をなくそうと思ったら、
日常の中でヒヤリとするようなミスをなくさなければならず、
日常の心得、行動が何より大切です。

これは医療でも事務仕事でも、すべてに通じる法則です。


日常生活をまともな感覚で過ごしていくためには、
豊かな感性が必要です。
感性とは五感で感じ取る力であり、
現代人の暮らしはすべてが快適で便利になり、
肉体を酷使することもなく、五感は退化する一方です。

また自然から離れた暮らしは、
五感から入ってくるものを画一化してしまいます。

現代人はこのことに危機感を覚え、
日常生活の様式に何らかの改革をしていことが必要不可欠です。
これは知識や科学技術で解決できるものではありません。

最近よく話題になるマインドフルネスとは、
今、この瞬間に意識を集中させること、
これは日常の大切さを取り戻す流れのひとつとも言えます。

まずは自分から、日常から、
これがすべてを解決する糸口です。

<NHKサイエンスZERO_マインドフルネス瞑想 - Video Dailymotion>



2018.3.17 Saturday  
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