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2016年8月26日 ・・・ ボランティアについて

少し前の話ですが、
5月末から二泊三日で熊本に行き、
被災地の復旧支援活動をしてきました。

それは広島県社会福祉協議会主催のもので、
県から行く被災地支援の第一陣ということで、
代表して県庁に行き、知事に挨拶をさせてもらいました。

その時の様子を写真付きで新聞にも紹介していただいています。
  <中国新聞、産経新聞 2016.5.26>

そしてこの8月には地元福山市で遭った豪雨災害の現場にも行き、
崩れ落ちた土砂を撤去する作業をさせていただきました。

そんなことがあって、
このたび9月1日から広島県庁で開かれる
「熊本地震・広島土砂災害支援復興活動写真展」の開会式に参列し、
知事や市長と並んで
ボランティア代表として5分間ほどの挨拶をすることになりました。

5分というのは極めて短い時間ですので、
お話できる内容は限られるのですが、
インドの活動など含めたボランティア全般のことについて
話してもらいたいということなので、
その原稿となるものを書いてみました。

文章を短くまとめるのは長くするよりも大変です。
まだ長すぎるので、これからまた修正するかもしれませんが、
自分の今のボランテイアに対する思いをまとめていますので、
よかったら読んでみてください。

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みなさんこんにちは。
ただ今ご紹介いただきました酒井伸雄と申します。
自分はほのぼの広島会という車椅子の方たちを支援する団体で活動をしていて、その会を通じて社会福祉協議会様よりご案内をいただき、5月30日から二泊三日で熊本に行き、御船町の災害現場の復旧支援をさせていただきました。
また8月4日には福山に行き、豪雨により土砂災害のあったお家の土砂を撤去する作業もさせていだきました。

災害は人事ではありません。
広島市で一昨年8月に起きた大きな土砂災害では、自分が親しくしているお年寄りも家が流され、何時間か土砂の中に埋もれて腰や腕などを骨折し、入院し、大変な目に遭い、身近なところで起こりうるものだということを実感しています。


ボランテイア活動全般について感じていることを三つ述べさせていただきます。

まずひとつは、ボランテイア活動は、する方も、受ける方も、互いに心が豊かになり、喜びを分かち合えるものだということです。

そしてそのことを多くの人に伝え、ボランティアの輪を広げていくことが、今後どんな災害が起こった時にでも、すぐにみんなで助け合うことができる、本当の意味での豊かな社会を実現する基盤になるのではないかと考えます。

ボランティア活動ほど大きな喜びを得られるものはありません。
8月4日、福山に土砂の撤去に行った日は本当に暑い日でした。
参加人数が多かったので全体を半分に分け、15分ごとに交代しながらスコップを握ったのですが、炎天下で体を動かすと、一分もしないうちに額から汗が噴き出てきすま。
現場には社協の方が、大きなクーラーボックスにお茶やアクエリアスのペットボトルをたくさん氷の塊と一緒に入れてきておられ、それを自由に飲んでいいとのことだったので、遠慮なく四本ほどいただいたのですが、汗まみれになっている体に冷えた飲み物は最高でした。

その福山のお家では、お家の奥さんもみんなが作業する様子をずっと嬉しそうな顔をして見守っていてくださっていて、昼休憩を近くの集会所でしている時には、「ご苦労様、差し入れです」と言って、アイスクリームを持ってきてくださったんです。
シロクマアイスという、カップの上にちょこっとフルーツがのった練乳味のアイスなんですが、その本当に美味しかったこと・・・、あの味は一生忘れられません。
アイスを食べると体が冷えてシャキッとし、冷えたお陰で午後からはあまり暑さを感じずに作業ができました。
奥さんに美味しかったアイスのお礼を言うと奥さんもとても嬉しそうで、そんなちょっとした心の交流が、ボランティアの一番の喜びです。

自分は広島公衆トイレ掃除の会という会の事務局もしていて、毎月第二土曜日は広島市内の公衆トイレを仲間と掃除することにしています。
先月は平塚町の公園のトイレを掃除しました。
平塚町は近所に反社会的勢力の団体事務所があったりして、風紀が悪く、公園も弁当ガラや空き缶、吸い殻などのゴミが散乱したひどい状態だったのですが、何度も仲間たちとゴミを拾っているうちに少しずつキレイになり、最近は自主的に掃除をするタクシーの運転手さんも現れるようになって、以前とは見違えるほどキレイになりました。
その公園を先月13日に掃除していると、この日も暑い日だったのですが、公園横のたばこ屋のおばあさんが、「いつもキレイにしてくれてありがとう」と言って、ペットボトルの飲み物を掃除しているみんなに差し入れしてくれたのです。
これも本当に有り難かったですね・・・、なんだか食べ物、飲み物の話ばかりで恐縮ですが・・・。

この喜び・・・、ボランテイアは我慢してするものではなく、人の役に立ち、感謝され、日常生活では味わうことのできない心の交流を楽しむもの、こういったことを多くの人に知ってもらいです。


二つ目は、ボランティアは人のためにするものではなく、自分のためにするもので、実践しているうちに自分の心が豊かになっていくということです。

広島の平和公園で、時折路面にこびりついたガムを取る作業をしています。
平和公園の中、驚くことに慰霊碑の近くにでもガムを捨てる人がいるんです。

最初は路面にしゃがみ込んでそのガムを取っていると、
「なんでこんなところにガムを捨てるんだろう」
と怒りのような感情が湧いてきたのですが、少しずつ作業を進めるうちに、
「自分も他のところで多少でも悪いことをしているので、この場で贖罪させてもらっているんだ」
と徐々に許せるような気持ちになってきます。
そしてそれがさらにいくと、
「ここにガムを捨ててくれる人がいるからこそ、自分はここで罪滅ぼしをさせていただける。
 有り難いことだな・・・」
と、ガムを捨てた人に感謝すらできるようになってくるんです。

トイレ掃除では、トイレ掃除はさせていただくもの、トイレ掃除は自らの心磨き、それらを合い言葉にしているのですが、ボランテイアは自らの心を豊かにするものだということも多くの人に知っていただきたいです。


最後は幸せということです。
自分はインドの児童養護施設を定期的に訪ねているのですが、インドでは日本では考えられないような貧しさの中、目を輝かせ、イキイキと喜びをもって生きている人たちがたくさんおられます。
そんな彼らを見て、本当の豊かさ、幸せとは何だろうかということをいつも考えさせられます。

日本は世界的にも極めて恵まれた経済大国です。
けれどそこに暮らす日本人は、みなが必ずしも幸せを感じているとは限りません。
幸せとはどういった時に感じるのでしょう。

東北の被災地に何度も行っている友人が、被災されたお年寄りのこんな言葉を紹介してくれました。
「今振り返ってみると、被災した直後、みんなでひとつのおにぎりを分け合って食べたあの頃が一番楽しかったの~」

広い世界には、貧しくても幸せに暮らしている人たちがたくさんおられます。
だから困難な環境も受け入れて喜びを感じなければならないとは言いませんが、自然災害の多発する今こそ、これまでとは違う幸せのあり方を見つめ直す時ではないのでしょうか。
そしてそれを被災された方たちに押しつけるのではなく、まずは自らがその幸せを体感してみることです。
そしてその幸せの感じられる最も大きなものが、ボランティアを通して得られる、助け合い、分かち合い、喜び合い、そういった中にあるのではないかと感じています。


ボランティアは、困っている人たちを助けるだけではなく、自らも、そして社会全体を大きな幸せに包む最高の手段であると感じます。

ありがとうございました。

2016.8.26 Friday  
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