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2013年5月16日 ・・・ 異なる立場から学ぶ
何事も体験してみなければ本当のことは分かりません。
人は誰でも自分が中心、
自分とは違う立場の人のことなどどれだけ理解できているでしょう、
普段は考えることすらないそんなことを、
自分とはまったく違う障害を持った方たちと接して強く感じました。
昨年から車椅子介助の会 ほのぼの広島会の活動に参加するようになり、
先の日曜日、好天の元、
山陰の小京都と言われる津和野へのバスツアーに行きました。
年に二回行われるバスツアーに参加するのは三回目ですが、
今回は旅程の中にSLに乗車するという体験が組み込まれていて、
車椅子に乗っている方は車椅子から離れ、
列車の座席と車椅子の間を往復しなければなりませんでした。
しかも列車の扉は片開きで幅が狭く、
通常の車椅子はもちろん、
介助のために両脇を抱えたまま通ることすらできません。
そのきわめて厳しい条件の中、
体重の重い男性や、体を自由に曲げることのできない方を抱え、
車内の通路を移動するのは本当に大変です。
JRの職員の方たちも一行のために六名も応援に来てくださいました。
乗車と下車の際に懸命にお手伝いしてくださり、
「列車の出発時間が遅れても問題ないですから」
と温かい言葉もかけてもらいながら、
なんとか無事SLの旅を楽しむことができました。
![](img/130516_1.jpg)
介助の経験をしたことのある方ならお分かりでしょうが、
体にまったく力の入らない人や、
体を自由に曲げることのできない、
また曲げると痛みを感じられる方を抱えるのは本当に大変です。
また普段車椅子の生活をされている方の中には、
胸から下の自由がまったく効かず、
車椅子に乗っても、
自力で上半身を安定させることができない方がいるという事実を、
恥ずかしながらこの度初めて知りました。
体重の重く、かつ体に力が入らない人を抱えるのは、
まるで柔らかい大きな袋に大量の砂を入れているような感覚で、
ずっしりと底知れぬ重量感を覚えます。
体が大きく力自慢の自分ではありますが、
そんな方を抱え、汗だくになって力を入れてもまったく動かなかった時は、
正直「もう無理なんじゃないだろうか ・・・ 」
と思ってしまったほどです。
介護される方の体重が重いと、
介護する方もされる方も、両方にとって大変です。
ですから要介護の方は、あまり体重が増えないようにすることが必要です。
けれどこれは建前論ですね。
体が不自由で行動が制限され、
健常な人と比べて日常生活での楽しみが極端に制約された生活を強いられていて、
残されたわずかな楽しみのひとつである食の楽しみを節制することは、
健常な人が食をコントロールする何倍もの労苦を伴うものです。
ごく短時間ではありますが、
SLの乗下車時に力をフルに使って介助をしたため、
翌二日間ぐらいは体の筋肉に少しだけ痛みがありました。
けれどこの痛みは、普段車椅子で生活されている方が感じられている痛みの、
ほんの一部が伝わってきたものだと感じています。
不自然な体勢で、かつ思いっ切り力を入れたまま、
狭い通路を移動している時に受けた感覚から、
「今お前が感じているこの肉体的苦痛は、
この抱えられている人が普段感じている苦痛のほんの一部が
お前に移ってきているものなんだ」
というメッセージを明確に感じ取りました。
体の不自由な方が普段どんな感覚で日常を過ごしているのかは、
頭の中で想像することしかできません。
また想像したとしても、実際に体験したものではないので、
その真の部分はまったく理解できないと思います。
今恵まれた心身の状態を享受している自分にとってできるのは、
自分と違う立場の人のことは理解できないということを自覚すること、
そして与えられ恵まれた条件に感謝し、
それをいかに活かしていくことだけです。
今回のバスツアーに参加して、
元体育教師であり、スキー事故で首から下がまったく動かなくなり、
その後懸命のリハビリによって少しずつ体の機能を取り戻し、
今は「命の授業」として全国で講演をしておられる腰塚勇人さんのことを
思い出しました。
腰塚さんの「5つの誓い」です。
口は人を励ます言葉や感謝の言葉を
言うために使おう・・・
耳は人の言葉を最後まで聴いて
あげるために使おう・・・
目は人の良いところを見るために使おう・・・
手足は人を助けるために使おう・・・
心は人の痛みがわかるために使おう・・・
私を助けてくれた人たちがしてくれたことを
今度は私がしよう・・・
体験を通し、また自分とは違う立場の方と接することにより、
自分をより深く見つめることができした。
ありがたいことです。
<お知らせ>
もう目の前、三日後の19日(日)ですが、
エンサウンドの菅順一さんをお迎えして、
広島でエンサウンドのスピーカーを聴く会を行います。
あのちょっと不思議な癒やしの音は、
体感してみないとそのよさが分かりません。
是非この機会に、その素晴らしい音世界に足を踏み入れてみてください。
スピーカーイベント チラシ表・チラシ裏
<エンサウンド> <胎内回帰>
2013.5.16 Thurseday
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