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2013年1月27日 ・・・ リスペクト

噛み合わせ治療の名医、山崎歯科医院の穐田先生のところに行くと、
いつも診察室奥の院長室におじゃまして、
パソコンを見たり音楽を聴きながら、
穐田先生とお話をさせていただくのを楽しみにしています。

穐田先生は大のジャズファンで、
診察室にはいつも心地よいジャズの音色が響いています。

先生ご自身もサックスでジャズを演奏され、
通っておられる清水末寿サックス教室の発表会が年に二回あり、
そこで演奏する課題曲を熱心に練習しておられます。

先日お伺いした時は、この春の演奏曲だということで、
「EVERYTHING HAPPENS TO ME」(エブリシング・ハップンズ・トゥー・ミー)
というメロディアスな曲を、
YouTubeからダウンロードした動画で何曲か聴かせてくださいました。

サックスでゆったりと演奏をしたものがあり、
またトランペットやボーカルをフューチャーしたものなど、
様々なスタイルのものがあるポピュラーな名曲のようです。
  (自分はその時まで知らなかったのですが ・・・ )

そんな何曲か聴かせていただいた演奏の中で、
とても印象に残るものがありました。
ヒロ川島という日本のミュージシャンのもので、
名前を聞くのも演奏を聴くのもその時が初めてです。
  <Love Notes Hiro's page 〜 ラブ・ノーツ ヒロ川島 メッセージ&エッセイ>

ライブハウスで録られた動画のようで、
何台かの固定カメラからの映像で画面が構成され、
音はまずまず鮮明に記録されています。



動画はヒロ川島の軽いMCからはじまって、
トランペットを持ちながらマイクに向かって歌うその歌声にまず心惹かれました。

特に歌の上手さを強調するわけではなく、
ただ静かに語りかけるような声のトーンが実にムーディーで心地よく、
音楽的センスのよさと男の色気のようなものを感じます。

日本のジャズメンはどんなにテクニックが優れていても、
なんとなく日本的な雰囲気、
いかにも味噌や醤油のような香りを感じることが多いのですが、
彼の歌声からはそんな香りはほとんど感じられません。
強いて言えばまるで空気のような、
料理なら無国籍料理といった雰囲気です。

彼が歌い終わるとピアノソロに入り、
その後で、今度は彼がトランペットを吹くのですが、
その音色がまた実にいいのです。

トランペットも歌声とまったく同じです。
特段テクニックをひけらかすことなく、
聴いていてとてもリラックスのできる音の流れは、
彼の音楽センスとともに、その生き様の奥深さを感じさせます。

この「EVERYTHING HAPPENS TO ME」というのは、
ゆったりと音のつながりの中で甘い雰囲気を醸し出す曲であり、
本来ならば瞬発力のあるトランペットより、
タメのきくサックスで演奏する方が適しているのではないかと感じられるのですが、
ヒロ川島の吹くトランペットの穏やかでメロディアスな音の流れは、
トランペットの持つ魅力を十分に引き出しています。


期せずしてこんな素晴らしいミュージシャンを発見すると、
とても大きな拾いものをした気分でハッピーになれます。

自宅に戻り、すぐにヒロ川島の他の演奏を聴いたり、
ネットでいろいろと調べてみたのですが、
彼はボーカルとトランペットだけではなく、
ギター、バンジョー、実に多彩な分野でその能力と感性を発揮しているようです。

これはヒロ川島自身による曲目リストです。
  < 「フレックス・ライティング」: "Spiritual Notes" by Hiro Kawashima>



僕はいつも自分のジャズ・ライブの前に10分間だけコーヒーショップに寄り、その日に特に演りたいと思う曲を数曲メモに書く。とりあえず思いついた数曲分のタイトルを書くだけなのだが、実はこれがその日のライブのカラーに関わる大切な"儀式"となる。
ただ書くのではなくその曲をイメージして自分流の書体で描く。使うペンもいわゆるボールペンやサインペンではなくて、フレックス・ニブという柔らかい金のペン先が付いた自分専用の万年筆を使う。なぜ曲のタイトルをあえて丁寧に記すのかといえば、それは僕自身のスタンダードの楽曲に対するリスペクトに他ならない。書いた曲順のメモを演奏前にメンバーに渡したり、ピアノの上に置いてそれを皆が見る事で、単に曲目を言葉で指示するよりそれらの曲に対するイメージや愛着を伝えて共有できると思うのだ。


特にカリグラフィーを習ったわけではないそうですが、
感じるままに書いてここまでできるというのは、
やはりその “感じる力” 、感性が人並み外れて優れているのでしょう。


「究極のバランス」でご紹介した銀河釉の中尾哲彰氏も、
実に多彩な能力と感性を持っておられると、
紹介してくださった陶匠高麗誠さんからお聞きしています。

仕事場には国会図書館にも勝るほどの陶芸の専門書の数々が並べられ、
陶芸の分野で技を極めておられるのはもちろん、
音楽、オーディオ、車、・・・様々な分野にこだわり抜いた世界をお持ちだとのことです。



この年賀状の写真についても高麗さんに問い合わせと、
「実は…であります。これは奥さまじゃないのかなと思います。
中尾さんの写真は痺れる位の撮影をなされます。歴代ライカが鎮座されており、昔でありますが、余りにもプロの写真家さんがヘタだったので、撮り直しが沢山ありました。

真面目に中尾さんの写真は凄いですよ。何故ならば銀河釉に限らず、焼物の写真は焼物を知らなければ嘘の綺麗な写真撮影になります。特に青磁だとかは嘘な写真ばかりですね。デジタルの腐った綺麗な写真に騙される方が九割です」

ということでした。
  (中尾氏の奥様は美大出身だそうです)

中尾さんの多彩な究極の技、是非とも拝見してみたいです。


『一芸に秀でたる者は多芸に通じる』ということわざがありますが、
このお二人はまさにその典型です。

その元となるものは感性の素晴らしさだと思うのですが、
その優れた感性を育てるのは、
先のヒロ川島の言葉の中に出てきている、
「・・・ それは僕自身のスタンダードの楽曲に対するリスペクトに他ならない」
この “リスペクト” (尊敬すること。敬意を表すこと。価値を認めて心服すること)
ではないでしょうか。

リスペクトがあるからこそ、すべてのものに対して素のままの目で見つめられる、
その本質を感じ取ることができる。

人に対してお礼を言う、ご飯を食べる時に手を合わせて「いただきます」と言う、
これも十分にリスペクトと呼べる行為であり、
この身近な行為の延長線上に、
人の心を大きく動かす多彩な感性と能力が生み出されるのだと考えます。

多芸に秀でている人は素晴らしいですね。
けれどそれは超人的能力なのではなく、
誰もが持っているその感性を研ぎ澄ませていった、
ただそれだけのことなのだと感じます。
そうであれば救われますし、それが事実だと信じます。


先の「シンクロ」のページにひとつ書き忘れていたことがありました。
  (このページのアップと同時に追記しました)

久し振りに受けた引き受け気功の講習会に感動し、
実に爽やかな気分で会場を後にしました。
会場となった建物から外に出ると、
空気がとても美味しく感じられます。
見上げた空も鮮やかで、空気も透明感を増したようです。

そしてしばらく歩き、大きな川に架かった橋を渡っている時に気が付きました。
「あっ、遠くがよく見える! 視力が向上している!」

一病息災、視力のよくない自分は、
心や体の変化が目に最も速く現れるのです。

これは引き受け気功で心が軽やかになったのでしょう。
気持の持ち方ひとつでこんなに鮮やかに肉体の変化が現れるとは ・・・ 、
喜びあふれる気持の中に、
さらなる感謝の思いが芽生えました。

これは言葉を換えるなら、
自分に対するリスペクトです。

自分を受け入れ(引き受け)、自分そのものを愛するから、
本来持っていた肉体の力が引き出されたのです。


自分自身、そしてすべてのものへのリスペクト、
偉大なるものへのキッカケは、いつも身近なところにあるものです。

2013.1.27 Sunday  
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