年頭の思い
新年あけましておめでとうございます。

年の初めという大きな節目は、過去あったいろいろなこと、将来のこと、
そして今この瞬間のこと、様々な思いが頭の中を駆け巡ります。

元旦に感じたひとつの思いを
知り合い数十名に同送メール(一斉送信メール)で送りました。
それをここに公開いたします。
ご覧になった方の何らかのヒントになれば幸いです。


<新春トイレ掃除> ・・・ 2010.1.1 発信

初春のお慶び心より申し上げます。
同送メール失礼いたします。

寒さ厳しい今日元旦の午後、家の近くの比治山下公衆トイレに掃除に行ってきました。

ここは何度か掃除に来ているところ、そんなに汚れてはいないだろうと思っていたのですが、
幸い(?)なことに、大便器に大物がこびりついていて、
それを磨いただけでもかなりきれいになりました。

けれども今日は小雪ちらつく厳しい寒さ、
20分も掃除をすると両手の指先が完全にかじかんで、掃除続行不能となりました。
一昨日の晦日の日は、心友先川氏と2時間掃除をしてもなんともなかったのですが、
ほんの数度で人間の体の機能は大きく変化するものだと知りました。

掃除を終え、感覚のまったくなくなった指先で財布を開き、
温かい缶コーヒーを買って両手の指を温めました。
その何とも言えない心地よさ・・・、これは言葉で表現できません。

その缶コーヒーを手に、毎年お参りしている比治山神社に参拝し、
神前でお礼と感謝の気持ちを捧げました。

今日節目の時に、短時間ではありましたがトイレ掃除をすることができ、
心はいつも以上に晴れやかです。
そしていろんなことを深く考えました。

トイレ掃除と出合って9ヶ月、なぜこんなにも深くのめり込んでいったのか。
それは理屈ではなく、便器と向き合うことが自分の心と向き合うことだと感じるから、

他人の汚したものを素手で磨かせていただくことが自分の心を広くすると思えるから、

両親の深い愛情を受けて育った自分が、今一人で暮らし、
誰にもそのご恩返しができないことへの贖罪の意味、
また帰る田舎や身近な家族のいない自分にとって、
トイレ掃除は貴重な社会との接点だから、
・・・
そんないろんなことを今日という日に考えさせてもらいました。

ただ間違いなく言えるのは、トイレ掃除は数々の奇跡と出会いを私に与えてくれて、
心にとてつもなく大きなインパクトを受け取れたということ、
そしてトイレ掃除は私にとって宝物であるということを今日知りました。

トイレ掃除という下座行は、こんな風にやっていると語るのは邪だと思いますが、
皆様方に何かを感じていただくキッカケになればと思いメールさせていただきました。


2010年の元旦は、満月そして月食というタイミングで幕を開けました。
先月のノーベル平和賞授賞式の夜、ノルウェーの上空では謎の発光体が現れ、
多くの人を驚かせニュースにもなりました。

今人類は大きく変わろうとする大切な時を迎えたのだと思います。
そんな今だからこそ、私たちの生きる原点を見つめ直すことが大切なのでしょう。

この一年が、皆様方にとって佳き年でありますことを心よりお祈りいたします。

酒井伸雄


ちなみにノルウェー上空の発光体のニュースはこちらです。




そして今日二日もさらに感じたことを文章にしました。
これは一部の人にしかメールしませんでしたが、
こちらもお読みください。


<心の内> ・・・ 2010.1.2 発信

最近、満月の日は極力食を断ち、夜はロウソクの灯りで瞑想することを習慣にしています。
昨夜元旦の夜も、部屋の灯りを消し、パソコン等電気製品の電源を落とし、
甘い香りのするアロマキャンドルに火を点しました。

普段過剰なまでの刺激に囲まれた生活、そんな中で自分を見つめる瞑想の一時は貴重です。

刺激を閉ざし炎を見つめ、心静かに過ごす一時が何と幸せなことなのか・・・。

若い頃、瞑想に熱を上げていた頃は、いかに雑念を消すか、超常的な現象を体験するか、
そんなことばかり考えていました。
けれど今はただぼんやりと静かにロウソクの炎を見つめ、炎の中、今この瞬間、
その中に生きている喜びのすべてが集約されている、そんな風に感じ取れます。

幸せの青い鳥、幸せの原点は、最も身近な心の内、この瞬間にあったのですね。

モノ、刺激が喜びであり幸せ、そう教え込まされ、信じ込んできた自分は一体何だったのか、
齢五十にして初めて知った真理です。

この灯りの下、お酒を飲んだらさぞ美味しいだろう・・・、
酒飲みの私はすぐにそんなことを思い浮かべました。
そして満月の日の禁を犯し、冷蔵庫からにごり酒を取り出し、
琉球ガラスの杯にお酒を注ぎます。

これまで一人お酒を飲む時は、音楽をかけ、ネットで興味あるサイトを見て、
五官に刺激を与え、それが美味しく酒を飲む最高の肴だと信じて疑いませんでした。
けれど静寂の中、ロウソクを前にして飲む酒は、
これまで経験したことのない格別の味わいです。
杯一杯、口に含むその一口一口が口から喉、体へと染み渡っていきます。

どんな目や耳からの刺激、美味しいおつまみよりも、元旦という節目の時に自分を見つめ、
心静かに飲むこの酒は誉れ高い美酒の味わいです。

トイレ掃除は、ホーローの便器という鏡を通して己の心を見つめる行のひとつです。
ロウソクの灯りも同様に、ひとつのことに集中し、
心の内というこの上ない素晴らしい世界に目を向けさせてくれる優れた手法なのでしょう。

トイレ掃除、瞑想、幸せの鍵は、すべて己の心の内を見つめる中にある、
そういうことではないでしょうか。

言葉では私が感じたことの十分の一も表わせません、
皆様方にも是非自らの心を見つめる何らかの方法を実践していただきたいと思います。

自ら体験する、それがそのものの本当の価値を知る唯一の方法です。


酒井伸雄

2010.1.2 Saturday


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