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ブッタとシッタカブッタ〈1〉
ブッタとシッタカブッタ〈1〉こたえはボクにある
小泉 吉宏
恋に悩むシッタカブッタ 迷えるブタたち じたばたの中から見えてくるもの 目覚めていくシッタカブッタ さらにいろいろ考える 悩みの根の根にあるもの 真理の中で生きる 十猪図
さまざまな悩みと囚われを持った豚、シッタカブッタが
人生を旅する中でそれを見つけ、その解決法を探っていきます。
子供にでも読める楽しい四コママンガの中に東洋哲学の真髄が
濃縮して詰まっています。
儒教的道徳観のひとつ「〜ねばならない」という考え方から、
道教的無為自然な「あるがままの自分を認める」という考え方へ、
これほど簡単に分かりやすく説いた書は他に類をみないでしょう。
東洋哲学の真髄は究めれば究めるほど単純で易しいものであり、
かつ知識のいっぱい詰まった大人には頭で分かっても
身体で理解することが難しいのだということがよく分かります。
本書に登場するさまざまな煩悩を持ったブタたち、
それは身の回りにいる○○さんであったり、
また自分自身であったりもします。
人生はなんで思い通りにならないんだろう
なぜ他人から理解されないんだろう
不安はどうしたらなくなるのだろう
これらの悩み、解決策は得られなくても、
その悩みの正体を客観的に見て、真正面から向き合う糸口は
見出せるかもしれません。
人間が一生かけて、また何度も輪廻を繰り返しながら辿っていく心の旅、
禅の世界ではそれを「十牛図」という形で表しており、
本書では巻末にそれを模した「十猪図」(じゅっちょず)というのが載っています。
これは人生の究極の道しるべともいうべきものだと思います。
十牛図最終段階の「入てん垂手」にあたるところにはこう書かれています。
聖人賢者の後を追うこともない
心の旅を一周したことなんか
誰も気づかないだろう
ボクはみんなと
飲んだり 笑ったり
それでみんな安心ししてしまう
超能力や奇跡をおこす力を使うわけじゃない
ただ歌ったり 笑ったりするだけで
みんなみんな安心してしまう
こんな生き方ができると楽ですね。
とにかく読んでいて面白く、読み終わった後に
気持ちがスッキリとする一服の清涼剤のようなマンガです。(^o^)v
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