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インドのバスは公営の乗り合いバスと民間のバスの二種類あり、
民間のバスもエアコン(AC)の効いたものと効かないもの、
夜行バスも普通のシートのものと寝台のもの等いろいろあります。
けれどインドの交通費は総じて安く、
長距離の寝台バスでも日本円で千数百円と格安で、
これまでの経験では、
最も高額な1000ルピー紙幣一枚で足りないことはありません。
高級感のあるSRM(エッサーラム)バスは約5時間弱で
チェンナイからトリチーのホームのある町ナーガマンガラムに着きました。
何度も訪ねているところなので、
近づいてくると町並みで分かるので安心です。
ここからホームまでの道はよく知っていますが、
大きな荷物を持っているので移動することができません。
降りたところに政党の選挙事務所のようなところがあり、
そこにいる人に電話を借り、クマールに電話をし、
その人に場所の説明をしてもらいました。
肌の色の違う外国人に、インドの田舎の人は親切です。
しばらくすると一台の軽自動車がやって来ました。
どうやらその車でホームまで連れて行ってくれるようです。
自分たち二人、運転手、
そしてその電話を貸してくれた人も一緒に乗り、
ホームまでついてきてくれました。
けれどその人も運転手もホームの場所を知らないので、
自分が道案内をしました。
二人のご厚意に感謝です。
ホームに着くと、ちょうど子どもたちが学校から帰ってきたばかりです。
車の中から手を伸ばし、
「ワナッカム♪」(こんにちは、こんばんは)と挨拶をすると、
みんな大喜びで挨拶を返してくれました。
「サッカ〜イ♪」
みんな自分の名前を覚えてくれていて、
子どもたち全員で大騒ぎになりました。
まるで蟻を集めたように子どもたちが車に群がり、
二人を取り囲み、荷物を部屋まで運んでくれます。
トリーチのホームは子どもたちが二百人以上と、
チェンナイの三倍近くいて、
そのパワーたるやすさまじいものです。
チェンナイは州都ですがホームのある場所は田舎で、
ホームの雰囲気ものんびりとした牧歌的なもの、
子どもたちもごく家庭的で落ち着いた感じですが、
トリチーのホームは町外れの大きなバイパス沿い、
たくさんの子どもたちでにぎわっていて、
みんな社交的で、元気で明るいといった印象です。
トリチーに着いた2月7日(土)はジョリーンの婚礼レセプションの日、
いろんなところからお客さんが来ているので、
自分たち二人はクマールの自宅一階の客室ではなく、
スタッフが使っている宿泊棟の一室に泊めてもらうことになりました。
外には山羊がつながれているインド風牧歌的建物です。
トリチーで過ごした日々の概要をまず書くと、
トリチーには何日滞在するかまったく決めずに来たのですが、
可愛い子どもたちに引っ張られ、
結局20日(金)までのちょうど二週間滞在することになりました。
その間は子どもたちの学校への送り迎え、
教会、買い物と近くの町には日に何度も行きましたが、
トリチーの市内には一度しか出ていません。
ここでもチェンナイのホームと同様、淡々とした日常を過ごす日々です。
トリチーのホームは子どもの数も多く、施設も近代的で、
ここには『新しいインド政府の方針』に則って、
男児、女児各四つのコテージの入り口には、
二四時間監視のカメラが備え付けられていて、
W-iFiを通してその画像が政府機関に送られています。
自然で屈託なく明るい子どもたち、
そこに規制の目があり、
ここでも女の子とのコミュニケーションに制約を受けるのかと思うと、
またまた気が重くなります。
けれど結果から言うと、
最初は女の子のコテージの中には入らないようにしていたのですが、
どういう関係者なのかは分かりませんが、
複数のインド人男性が女の子のコテージに自由に出入りしているようだったので、
自分も子どもたちに手を引かれるまま、
女の子のコテージにも入っていきました。
子どもたちは自分が近くを通ると大騒ぎで、
自分たちのコテージに来て欲しい、
そこで一緒に食事をして欲しいと、
手を強く引っ張って求めてきます。
本当に有り難いことですが、体はひとつしかないので、
その要求すべてに応えるわけにはいきません。
各コテージには子どもたちの面倒を見るハウスマザーがいますが、
そのハウスマザーたちも自分が来ることを望み、
食事は毎回自分たちのところでしてくれとまで言ってくれます。
トリチーの子どもたちは本当に快活で社交的で、
女の子のコテージに自由に出入りし、
とても心が癒やされました。
優しい女の子の笑顔と心遣いはやはり最高です。
けれどそんな期間も長く続かず、
四日目に、クマールからいつもの明るい笑顔で、
新しいインド政府の規制について聞かされました。
明るく話されても内容は同じです。
またまた暗澹たる思いに逆戻りです。
それでもハウスマザーや女の子たちはそんなことを知らず、
自分たちのコテージに来てくれるようさかんに求めてきます。
それに対して曖昧にしか答えられず、
またその求めに応じられないのはとてもつらいことです。
クマールに、新しい規制があることを知らないハウスマザーたちに、
新しいルールのことを話してもらうよう頼みました。
それでも子どもたちはまだ自分の手を強く引っ張ってきます。
その引っ張られる手の痛いこと ・・・ 。
まさかインドのホームに来てこんな葛藤を味わうとは、
このトリチーにいる間ほど、自分を強く見つめたことはありません。
苦しみは己を見つめ、磨くための大きな道具です。
そんなトリチーでの二週間の日々を、
項目に分けてご紹介いたします。
<レセプション>
インド最南端カニャクマリでのファンクションに続き、
花嫁ジョリーンの地元トリチーでレセプションが行われました。
行われたのは2月7日、自分たちがトリチーに到着した夜のことです。
朝夕ホームの子どもたちがお祈りをする礼拝堂がレセプション会場です。
壇上では新郎新婦がソファーに腰を下ろし、
花嫁の両親が会を取り仕切っています。
いつものように挨拶の後は記念撮影大会です。
ホームの子どもたちも、一番最後に新郎新婦とともに写真を撮ってもらいました。
まずは元気いっぱい男の子たち。
続いては可愛い女の子たち。
子どもたちのコテージを管理するホームのスタッフメンバーたちと
花嫁の両親クマール夫妻、
ホームには、他にも炊事をするキッチンスタッフや雑務をこなす人たちもいます。
写真撮影の後は随時食事タイムとなりますが、
子どもたちは一番最後、
ご馳走がもらえるのを、子どもたちはお腹をすかせて待っています。
インドのご馳走の定番チキンブリアーニ、
鶏肉の入ったカレー味ピラフを、みんなお皿いっぱいに入れてもらいます。
「これすごく美味しいね♪」
食事をしている時の子どもたちはいつも楽しそう。
(それ以外でもいつも楽しそうですが ・・・ )
カメラはコンデジなので暗所は上手く撮れません。
カメラを構えて子どもたちを見ていると、
「ブラザーも食べて〜♪」と右手にご飯を握りしめて差し出してくれます。
これはインドに於ける一種のおもてなしです。
<おもてなし>
その “おもてなし” がインドではすごいのです。
日本の『お・も・て・な・し』の比ではありません。
ホームでは子どもたちから上げ膳据え膳、
身の周りのことすべてに対してちっちゃな子どもたちが気を配り、
食事をよそったり後片付けもすべて子どもたちがしてくれます。
インドでは、コーヒーを高いところから何度も別の器に移し替え、
適度な温度でまろやかな風味にしてくれます。
インドではたくさんの蚊に噛まれたり、
アレルギーで湿疹が出たりして、
毎度脚が悲惨な状態になってしまいます。
そんな汚い脚に、子どもたちは両手にクリームをたっぷりと付け、
両脚に丁寧にクリームを擦り込んでくれます。
これはまったく感激ものです。
世界中にはお金を払えばこれと同じようなサービスをしてくれるところは
あるかもしれませんが、
無償の奉仕でここまでしてくれるところは、
他にどこにあるでしょう。
子どもたちの奉仕の心、純粋さ、温かい手のひらから伝わってくる愛情、
この子たちの幸せのために自分の一生を捧げたい、
心からそう思わずにはおられません。
<蚊>
南インドは年中、そしてどこにでも蚊がたくさんいます。
その蚊に噛まれまくるのがインド訪問時毎回の悩みですが、
インド人は日本人ほどたくさん噛まれないので、
日本人の血はとても美味しいのかなと思ったりします。
けれど東洋医学的観点からすると、
蚊は悪血を吸い取ってくれる益なる役割を持った生き物だそうで、
蚊にたくさん噛まれるのは、
血が汚れていたり酸性に偏ったりしている証なのだとか、
要反省です。
とは言え、蚊はマラリアやテング熱などの病気を媒介をする存在で、
インドでも蚊の対策のためのものはたくさんあり、
子どもたちは学校で蚊やボウフラを増やさないため方法が書かれた
プリントを持って帰ってきたりしていました。
インドで人気の蚊対策グッズは、
テニスラケットのような形をしたモスキートバッドです。
壁のコンセントから充電し、高電圧の流れた網で蚊を叩き落とすもので、
これで “バチッ!” という火花や衝撃音とともに蚊を退治すると快感です。
ここトリチーのホームはとりわけ蚊が多いところで、
ホームの中を歩く時はたいてい持ち歩き、
子どもたちに渡すと喜んで振り回していました。
タミル語で蚊は「コス」と言います。
子どもたちと一緒に「コス、コス!コス、コス!」と言いながら、
毎日百匹ぐらい退治しました。
それでも蚊にたくさん噛まれるので、
かゆみ止めクリームを求めて薬局に行って買ったのがこれ、
インドではとてもポピュラーなオドモスというクリームです。
これは本来は蚊除けクリームのようですが、
ほとんど無臭、体にもあまり悪くない感じで、
たしかにこれを塗ると蚊に噛まれにくくなり、
不思議とかゆみも治まります。
大きなチューブが日本円で百円もしないのでとても重宝しました。
<トンボ>
南インドの自然は雄大です。
ところで、トンボは夜、集団で羽を休めるってご存じですか?
トリチーのホームのある一本の木に、
毎朝数十匹のトンボが固まるようにしてしがみついています。
こんな風景、日本ではなかなか見ることができませんね。 たぶん。
<花>
南国の花は色鮮やかで、一年中その美しさを讃えています。
インド女性にとって生花は最高のアクセサリー、
ホームの女の子たちも生花を髪の毛に飾っておしゃれをします。
日本でお馴染みのハイビスカスも南インドではポピュラーな花、
大輪の花を摘み取っても、またすぐに新しい花が現れてきて、
その生命力の逞しさを感じます。
これは婚礼レセプションの飾りとして使われる花です。
こんなきれいな花がホームの中で調達できてしまうのです。
<教会>
日曜日にはホームの子どもたち、全員が揃って教会に出かけます。
教会の場所は学校のある町の中心部で、歩いて約十分です。
礼拝堂の中では男女別に並んで祈りを捧げ、
タミル語による祈りの言葉、賛美歌が鳴り響きます。
約二時間の礼拝が終わると、子どもたちはグループごとに分かれ、
聖書についての勉強会が行われます。
子どもたちの聴いている話の内容はまったく分かりませんが、
話を真剣に聞き入る子どもたちの姿はとても可愛いものです。
けどあまり真面目に聴いていない子もいますけどね。 ^^☆
教会のすぐ横には駄菓子屋があり、
こんな風にアイスクリームを売る屋台もやって来ます。
子どもたちは、小さな子もみんなそれぞれ自分のお小遣いを持っていて、
それでお菓子を買っているようです。
インドの駄菓子屋は日本のコンビニのような存在ですが、
日本も五十年前ぐらいはこんな感じでしたね。
<歯>
今回の旅は歯でとことん苦労しました。
そのお陰で、インドの歯科医院にも設備に大きな違いがあるというのを
知ることができました。
この写真の歯科医院はかなり設備が近代的で、
頭の周りをぐるりと回り、歯やあご全体の様子を立体的に映し出す
歯のCTスキャンのようなものをしてもらいました。
ここではその結果に基づき、
左前歯をインプラントにするか部分入れ歯にするようすすめられました。
けれどどちらも日本の治療費と変わらないぐらい高額で、治療期間も必要なようなので、
応急処置をしてもらう懇願(!)したのですが、断られてしまいました。
その後別の歯科医院を探し、そこで取りあえずの処置をしてもらいましたが、
それは治療30分後、バナナを食べ、それが前歯にちょこっと当たっただけで
見事に崩壊してしまいました。
遠い異国の地でこのような身体的トラブルに見舞われると、
まったくもってトホホな気分になります。 (ノ_・。)
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