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ジーナの婚礼


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1月21日(水)、ジーナの婚礼前日、
身だしなみを整えるため、隣の村に散髪をしに行きました。
村までは徒歩で10分ちょっと、途中新しくできたサイババの神殿が目に入ります。



サイババは日本で有名なアフロヘアーの二代目サティア・サイババではなく、
初代のシルディーのババで、
今でもインドでは根強い人気があります。

インドの散髪屋さんはどこに行っても上手だなと感心します。
手さばきがとても心地よく、
目を閉じていてもきれいにカットされていく様子がよく分かります。



散髪代金は50ルピー、100円でした。
外国人が店に来るのが珍しいらしく、
彼のケイタイでも写真を撮られました。

マダラムドラの家にはいろんな動物がいて、
可愛い二匹の白と黒の兄弟犬をよく散歩させてもらいました。



今日も隣町コッターラムにあるインターネットカフェに出かけます。
こんな風にいろんな種類のバナナが店先にぶら下がっているのをよく目にします。
どれが美味しいのかな?



この建物の三階がいつもインターネットを使わせてもらうところ、
本来はパソコンの使い方を教えたり、パソコンでの仕事を受注するところです。



午後になり、退屈なので村の近辺を散策します。
ここらはレンガを作るところがたくさんあります。



地震のない南インドでは、たいていの建物がレンガを積み上げてできていて、
レンガの需要が多いのですが、
ここらの赤土は特にレンガを作るのに適しているのだと思われます。

美味しそうなパパイヤがたわわに実ってます。



熱帯の南インドはマンゴー、パパイヤ、バナナ、ココナッツ、・・・
美味しい果物たちの宝庫です。

7年前、初めてここを訪れた時、
日本のYMCAの学生たちやホームの子どもたちと裏の岩山に登りました。



当時はマダラムドラの家はボーイズホームとして、
何十名かの子どもたちが暮らしていましたが、
今はスギルタンの家のあるアンブマナイのホームに吸収されています。

過去に何度も歩いた村の景色を眺めて懐かしい気持ちになりました。

マダラムドラの家は、入り口に咲き誇るきれいな黄色い花が目印です。



婚礼の準備も着々と進んでいます。



入り口からジーナのお父さん、スレッシュの家にいたる通路が電飾で飾られました。
これが夜になるときれいに点灯されるのです。



入り口にバナナを大きな房ごと括り付けるのは飾り付けの定型パターンです。



パロータを作る男性、インド人はみな手先が器用で、
その手さばきは見とれてしまうほど見事です。





この二人には今日もしっかりと遊んでもらいました。
二人はボール投げやフリスビーが大好きで、いつまで遊んでも飽きることを知りません。
子どもの心はどこの国も変りありません。



婚礼の準備でみんな大忙し、用事をしに町に行く車に同乗させてもらいました。
最初は親戚の家に行き、次に花を注文しに行きました。
インドではこんなにきれいにデコレーションされた花輪を売る店がたくさんあります。
それだけ需要があるということです。



ナガラコイルの町でウエディングケーキを受け取りました。
上下二段に分かれていて、上の部分を膝に乗せて持ち帰ります。



下の部分はスジーブがしっかりと抱えます。



インドは整備されていないがたがた道が多く、
ケーキを抱え、途中ヒャッとすることもありましたが、
なんとかほとんど(!)無傷で持ち帰ることができました。

夕食はパロータ、大勢集まった親戚や関係者の人たちと順番にいただきます。
付け合わせのフライドチキン、オニオンサラダ、すべてがパワフルでかつ美味です。



家の一階ではまたまた大撮影大会が催されていて、
日本人二人も再度記念に撮っていただきました。



この写真を撮った後、オート(リクシャー)でナガラコイルの町へ行き、
歯医者さんで前歯をはめてもらいました。
婚礼にみっともない姿で参加しなくてすみ一安心です。


真ん中に写っているのは新郎のいとこのスシルです。
彼は以前日本企業クボタに勤めていて、
日本には来たことがないとのことですが、とても日本語が上手です。
しかも丁寧な日本語で、周りにいい日本人がたくさんいたのだと思われます。
彼からインドの風習等いろんなことを教えてもらいました。



夜はきれいに飾り付けられたイルミネーションが美しく輝くます。





広いインド、そのすべてを知ることはできませんが、
自分の知るスギルタン、スレッシュ、クマール兄弟の家族たちは
物質的にも精神的にもとても豊かであり、
何かの折には親戚たちがたくさん集まり、そのみんながとても陽気で親密です。

日本では甥、姪とおじさん、おばさんたちが久しぶりに会っても、
熱心に話し込むことなどあまりありませんが、
ここの彼らは車に一緒に乗り合わせた時もずっと大声で喋り続けています。

これはインドの地方に暮らし、お金も土地も時間も十分にある彼らだからこそできる
豊かなコミュニケーションなのだと思います。
彼らとともに婚礼という大きなイベントの時をともに過ごさせてもらうと、
毎日が楽しい文化祭や野外イベントをしている気分で最高です。

これは本当に素晴らしいことであり文化です。
けれどこんな楽しい催しにその一部として加えていただいて考えるのは、
やはり親元を離れてホームで暮らしたり、
あるいは昨年行ったカルナータカ州の貧村で、
たったひとつの土間のような部屋に家族数人が肩寄せ合って暮らしていた
子どもたちのことです。

彼らはどのような婚礼のイベントを行うのでしょうか。
インドでは婚礼はきわめて重要なイベントなので、
貧しい人たちは全財産を使ったり、借金をしてまで豪華に行うと聞いていますが、
それでもこんな大勢の人たちを招いたり、
楽団を雇って派手にすることはできません。

豪華な婚礼イベントは素晴らしい、
けれど質素なものでも、それはそれできっとまた素晴らしいものなのであろう、
そう感じます。

それは貧富の差に関係なく、
インド人みんなから心と体両面の逞しさを見て取れるからです。

富める者は富める者なり、貧しい者はまた貧しい者なりに
その与えられた環境の中で人生を楽しみ、
今という一瞬一瞬を精一杯生きている、
そんな逞しい姿をインド人たちから強く感じ、
それがインド人たちが持つ真の “豊かさ” につながっているように思えるのです。

けれどそれは自分の知るインドのほんのごく一部の断面でしかありません。
以前ネットの動画でゴミ山で暮らし、その廃棄物の中から使えるものを拾い、
生活をしている家族たちの姿を見たことがあります。

彼らは貧村の出身ですが、
村ではどうしても生きていくことができず、
悪臭漂う都会のごみの中で生きているとのことです。

その姿を見た外部の人が、
「どんなに貧しくても田舎の自然の中で暮らすのがいいのでは・・・」
と言ったところ、その村の様子を知る人が、
「あなたは貧村での暮らしがいかに悲惨なのかを知らないのだ」
と語っていました。

彼らの持つ逞しい明るさとは、
苦難をものともしない強さとともに、
その苦しみを内に抱えて表に出さない忍耐の力によるものかもしれません。

いずれにせよ混沌たる多様性を抱えたインドという国は、
外に暮らす者にその本質を簡単には理解させてくれません。

未知の大国インド、だからこそ深い学びと気づきを人に与え、
その魅力にとりつかれた人の心を離さないのです。


1月22日(木)、ジーナの婚礼の朝が来ました。
ジーナがおじいさんの眠るお墓に花を手向けます。



5年前のスジーブの婚礼の時も同様に花を手向けました。
キリスト教徒は、輪廻の思想で墓を重要視しないヒンズー教徒とは違い、
先祖の供養を大切にしています。


スジーブが子どもたちのいるシオンプラムに車を取りに行くので
一緒に行こうとスクターの後ろに乗せてくれました。
スジーブの超ハイスピードの運転で25分ほど走りシオンプラムのホームに着くと、
男の子たちが水浴びをしているところでした。

久し振りに会うホームの子どもたち、カメラを掲げて手招きをすると、
男の子たちが一斉に駆け寄ってきてくれました。



シオンプラムのホームにいることができたのはほんの一二分のこと、
すぐにスジーブが彼の乗用車を運転し、
自分がスジーブが乗って来たスクーターを運転してマダラムドラに引き返しました。

それでも可愛い子どもたちと久し振りに対面し、
幸せな気持ちでいっぱいになりました。
やっぱり子どもたちの笑顔の力はすごいです。


マダラムドラに戻ると、二階でジーナがきれいにメイクをしてもらっています。



そしてサンカランコービルから日本山妙法寺の石谷上人と木村庵主さんが来られました。
一階で一緒に記念撮影です。



そして今度は楽団を伴い新郎の登場です。
きれいな花束を手渡して家の中へと迎え入れます。



楽団はこんな感じ、
楽しい踊りで場を盛り上げる仮面をかぶったおじさんが先頭に立っています。



ということで記念撮影。



こちらは新郎新婦の前に立つフラワーガールズです。
めっちゃ可愛いです。





マダラムドラでの儀式を終え、車に分乗し、
全員が近くの教会へと移動します。





式は教会の中で、厳粛なムードの中で執り行われます。









立派なカメラやビデオを抱えた数名のプロの写真家たちとともに、
大勢の参列者が二人に向けてカメラのシャツターを切り、
スマホ等でビデオを撮っていました。
これは日本と変らない光景です。



式が終わると隣接する講堂のような建物に移動し、
二人にお祝いの品を渡したり、記念写真を撮る披露の場へと変ります。

その間講堂の横の百席以上あるテーブルでは食事が振る舞われ、
参加者は順番にそこで食事を取ります。

食事を提供する人数はおよそ千人近くにはなるのではと思われますが、
面白いのは、明らかに式とは無縁のような人が、
食事だけを目的に来ているということです。

教会で厳かな式が執り行われている最中も、
テーブルにはすでに数十人の人が座り、
食事が出るのを今か今かと待っていました。

ウエディングケーキが配られた時も、
汚れたシャツを着た近所の子どもと思われる少年たちが、
大きなケーキを嬉々として抱えて持ち帰っていました。

石谷上人は式で提供する食事のことを “施食(せじき)” と言っていましたが、
そういった人たちにもあえて食事を供することで
新郎新婦の二人が功徳を積むといった思想があるのだと思われます。


新郎新婦が式場から講堂へと向かいます。





壇上に座る二人、神父さんが祈りの言葉を捧げます。



きれいな歌声とともに可愛いフラワーガールズたちが、
二人に向け花びらを投げて祝福します。





講堂の横では大勢の人が食事をし、
またその周辺では次の食事の順番を待つ人たちが待機しています。

甥御さんを抱えるスジーブと彼の奥さんの兄弟たち、
スジーブは中東オマーンの企業にエンジニアとして勤め、
今回は彼一人で帰郷しました。
優秀な彼らにとって、南インドと中東は経済的にも近しい関係にあるようです。



講堂ではみんなが順番に二人にお祝いのメッセージを伝えています。





日本山妙法寺のお二人も南無妙法蓮華経で二人の門出を祝福します。



自分たち二人も日本からのギフトを手渡しました。
どんなものが喜ばれるか分からなかったので、探すのにずいぶん苦労しました。



マダラムドラに戻り、まだまだ婚礼の儀式は続きます。



そして夜は新郎の家の近くのナガラコイルのホールに行き、
そこでもお披露目のレセプションが行われました。



毎日毎日ご馳走をいただき、ちょっと胃腸が疲れ気味です。



婚礼の期間は夜遅くまで大勢の人たちが集まって歓談し、
料理を作ったり飾り付けの準備をするので賑わっています。
朝は朝で5時前から大きな音で音楽が鳴り響き、
体が休む暇がありません。

しかも網戸のない窓からは容赦なく蚊が飛び込んできて、
手脚は虫刺されでひどいことになるし、
体調を崩して少し鼻水が出るようになりました。

それでも風邪の前兆症状だけで、
本格的に風邪を引かないのがインドに滞在している時の特徴です。
やっぱり南インドの風土、特に食事にパワーがあるので、
体力が底上げされているのだと感じます。

新婦の父方の親戚一同、スギルタン、スレッシュ、クマールの男三人の他、
二人の姉妹がいて五人兄弟姉妹です。



新婦の母方は男7人、女4人の11人兄弟姉妹のビッグファミリーです。
昔はこんな大家族も珍しくありませんでした。
インドも日本と同様、今は少子化傾向です。



レセプションの最後は親戚一同が円座になって話をしたりお祈りを捧げます。



そして行事はまだ続きます・・・。
今度は二人の新居となる新郎の自宅へと向かいます。

これはその近くの果物屋さんてす。
今はスイカのシーズンで、
どこの店先にも大きなスイカがたくさん並んでいます。
値段は大玉が一個15ルピー、30円が相場と激安です。



新郎は長男なので、お父さんと暮らしていた立派な豪邸を引き継ぎます。
家の前には電飾とともに大きなポスターが飾られ、音楽が鳴り響いていました。



新郎の家も新婦の家と同様に豪邸です。
そこに大勢の親戚たちが詰めかけ、家の中を案内してもらいます。

インドの結婚式は派手で豪華であると同時に、
家族や親戚たちとの絆を深め、
あらたに生まれた家同士の結びつきをしっかりと築くための
とても重要な儀式であるということがよく分かりました。

ジーナの両親はともにインド最南端カニャクマリ近辺の出身ですが、
現在は州のほぼ北端の州都チェンナイに住んでいて、
ジーナもそこで暮らし、
また新郎の勤務先もチェンナイですので、
来月1日には、チェンナイでもあらたなレセプションが開かれる予定です。


期間的にも場所的にも壮大なインドの結婚イベント、
日本的感覚では想像を絶する規模ですが、
その根底にある近しい者同士の深い心の結びつきがとても素晴らしく感じます。

真の豊かさを支えるものは、やはり心、
親密な人間関係にあるのです。



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