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カーストについて


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インドは日本と比べて面積で8倍、
人口も10倍にあたる12億5千万人もの民を抱える大国で、
数百ともいわれる言語、様々な宗教や価値、生活様式を持ち、
それらがすべて混沌とした中に共存していることが、
日本人から見たインドの最大の特色であり魅力だと感じます。

すべての面で幅が広いインドは様々な側面を持っています。
インドの旅で感じた喜びや幸せ、ホームページの子どもたちの輝くような笑顔が
インドの陽の面であるとするならば、
歴然と存在する極めて大きな貧富の差、
それを支える社会構造としての差別制度であるカースト制は、
インドの持つ大きな陰の部分であると言えるでしょう。


カースト制は職業を規定する差別であり、
カーストによって鍛冶屋の子は鍛冶屋、石屋、庭師、清掃人、・・・
カーストによって代々受け継いできた職業に就くことによって
インド社会は成り立っています。

カーストは細かくいえば数百あると言われていますが、
大きくは、上から

  バラモン : 司祭
  クシャトリア : 王族・武士
  ヴァイシャ : 平民(一般市民)
  シュードラ : 奴隷

と四つに分かれていて、さらにその下にカースト外(アウト・オブ・カースト)
としての不可触民(アンタッチャブル、アチュート、ダリット、ハリジャン)
と呼ばれる人たちが存在します。

不可触民とは名前の通り、触れると穢れる存在ということで、
上位カーストの村の井戸から水を飲むことができません。
働いた賃金を手渡す時も直接手渡しすることはできず、
地面にお金を投げ、それを拾わせなければならないのです。

不可触民はインドの長い歴史に於いて、
触れてはいけないだけでなく、見ることも、近づくことも、
その声を聞くことさえいけないとされてきました。


今現在のインドでは法律で身分差別は禁止されています。
またカースト下位の被差別民に対しては、
学校の入学や公務員への就職などで優遇措置が執られていて、
またその優遇措置が甘すぎるということで、
上位カーストの人たちが反発をしているという実態もあります。

近年IT大国と呼ばれるようになったインドですが、
ITのようにまったく新しくできた分野に関してはカーストは関係ありません。
ノーカーストです。


このようにインドの社会も少しずつ変わってきてはいるのでしょうが、
被差別階級にいる人たちがこれまで受けてきたひどい差別には、
想像を絶するものがあります。

不可触民の存在は家畜と同等であり、車でひき殺しても罪にならず、
少女が近くの村の若者たちに集団レイプされることもよくあり、
それが分かってもとがめることすらできないとのことです。

その差別実態について本に書かれているものを読むと、
ここで文字にするのをはばかられるような凄惨なことも綴られています。
それが今現在2013年のインド社会にも
そのまま残っているのかどうかは分かりませんが、
カースト制という身分差別制度はインド国民大多数が信仰するヒンズー教の
教えから導かれたものであり、
過去のインドの歴史の中で連綿と引き継がれてきたものであるがゆえ、
そう簡単に消え去るものではないと考えられます。

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これまでインドに行っても、
こちらからカーストのことについて積極的に聞くことはなかったのですが、
大きく開いた貧富の差、歴然と存在する身分や主従関係の差というものは、
日常生活の中から強く感じていました。

このたびの旅行で、チェンナイのホームのオーナーである
とても紳士的で温厚なスレッシュの口から、
「インドではこれからもカースト制はなくならない」
と断言する言葉を聞いた時はショックでした。

ホームで明るく暮らす子どもたちを見ていて、
将来彼らが属するであろう低いカーストの村社会に戻った時、
彼らにどのような暮らしが待っているのか、それを考えると、
強烈に胸が熱くなり、痛みを覚えます。

今の自分はインドに行っても何も分からない一旅行者に過ぎませんが、
近い将来、日本人としての自分にしかできない方法で、
この過酷な現実を持つインド社会に一石を投じたいと心から願い、
今その具体的一歩を踏み出そうと行動を起しているところです。


けれどまだまだカースト制に代表されるインド社会の陰の部分については
知らないことばかりなので、
ここに書くことははばかられたのですが、
三日前、自分の訪ねているインド最南端タミルナド州で、
カーストによる悲劇があったと報じられているのを読み、
このことを書こうと決意しました。


カースト越えた恋、悲劇の結末=根強い差別、最下層の男性死亡−印

  <記事ヘのリンク>

インドの身分制度カースト制の「不可触民」出身のイラバラサンさん(左)と、離別した上位カースト出身の女性(関係者提供)

【ニューデリー時事】インド南部タミルナド州で7月、線路脇で男性の遺体が見つかった。男性の名はイラバラサンさん(19)。身分制度カースト制の底辺に属する「不可触民」出身だ。上位カーストの女性(22)と恋に落ちて結婚したが、今年6月に離別。暴動にまで発展した結婚だっただけに遺族は他殺を主張するが、社会学者は「他殺でも自殺として処理されるだろう。悲しいがこの国には身分差別が根強く残っている」と語る。
 イラバラサンさんは2012年10月、周囲の反対を押し切り、四つの階級に大別されるカーストで上から2番目に位置するクシャトリア(王侯・武人)の女性と結婚した。
 地方ではいまだ禁忌とされるカースト間の結婚に、上位カーストは猛反発。追い詰められた女性の父親は数日後に自殺し、不可触民の村数カ所が焼き打ちに遭った。
 その後も2人に対する社会の圧力は弱まらず、女性は13年6月にイラバラサンさんの元を去り、母親と暮らし始めた。7月に入り、地元テレビのインタビューで「もう二度と彼の元に戻るつもりはない」と打ち明けた。
 イラバラサンさんの遺体が見つかったのはその翌日。遺族は身分差別を肯定するグループに殺害されたと主張し、新聞紙上でも自殺か他殺かをめぐり議論が沸き起こった。
 警察は遺体発見から約1週間たって、女性宛ての遺書が見つかったと発表。4ページにわたる遺書には「生まれ変わっても君と結婚したい」などと記されており、鑑定の結果、本人の直筆と断定された。自殺をほのめかす発言をしていたとの友人の証言も飛び出した。
 事件は自殺として処理されつつある。しかし、イラバラサンさんの父親は「捜査には不審な点がある」として、法廷で戦う決意を固めている。
 カルカッタ大のアビジット・ミトラ教授は「政府機関上層部を占める上位カーストは、自らの優位性を保つためならどんな手も打つ」と指摘。「不可触民が死亡しても、上位カーストに有利に処理されるだけだ」と語る。カースト差別廃止を定めた憲法の施行から63年。いまだ残るインド社会の闇に、1人の男性の死がのみ込まれつつある。(2013/08/04-14:40)



もしインドの差別制度について関心をお持ちであれば、
是非下記のリンクや動画を見てください。

そして何か一歩、自分のできることから行動を起すことが、
問題を解決する最善の道だと信じます。


<不可触民 - Wikipedia>

<なぜ、不可触民(ダリット)の娘たちは処女がいないのか> (閲覧注意)

<インド 不可触民 The Untouchables1> YouTube 動画



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