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旅の思い出<2>


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<条件>

ホームの子どもたちを見ていて鮮明に浮かんだもの、
それは『条件』という言葉です。

それは何かの条件に縛り付けられているという意味ではありません。
逆にそこから解放され、
どんな条件、環境でも自由闊達に与えられた生を全うする姿に、
人間が本来持っている命の逞しさを感じました。

それと比較して、いかに多くの日本人たちが
目に見えない条件に縛り付けられていることでしょう。

文明、特に物質文明の発達とは、
利便性、快適性を与える高度かつ特殊な条件を作り出していくことだとも言えます。
この条件が悪いというわけではありませんが、
これがどんどん進んでいくと、その与えられた様々な条件の中でしか喜びを感じられず、
さらにはその条件が自己増殖し、
増殖し続け(右肩上がりの経済成長)なければ不安を感じるという、
人や幸せが主体ではなく、モノが主体となるおかしな現象を生み出してしまいます。

どんなに条件(利便性、快適性)が高度化しても、
それを享受しつつ、
かつそれがない状態をも受け入れられるようにしておかなければ、
その条件に溺れてしまいます。


ホームの子どもたちが暮らすコテージの各部屋には
裸電球のような照明が数少なくありますが、
普段それをつけることはめったにありません。
子どもたちは薄暗い環境に目が慣れているのでしょう、
そんな中でも平気で本を読み、勉強し、
かつメガネをかけている子どももほとんどいないのですから、
日本の常識からするととても不思議なことです。

子どもたちは小さい頃から地面に直接座ることに慣れています。
それができるのは表面的な筋力ではなく、
正しい姿勢、骨格を保つ内的な身体能力が充実しているからに他なりません。
日本でも最近 “体幹力” という言葉をよく聞くようになりましたが、
インドの子どもたちはそれが優れています。

またその身体能力が育つ大きな要因が、豊かな自然環境とともに、
生命エネルギーに満ちた日々の食生活にあるものと感じます。


照明は薄暗くても大丈夫、
机や椅子もなくても平気です。
自分専用の勉強部屋なんて望むことすらありません。

テキストがボロボロになっていても読めさえすれば問題ありません。
参考書も塾も家庭教師も不要です。
また誰かから勉強しなさいと強制されなくても学ぶことができます。

ただ黙々淡々と学び続ける子どもたちの姿を見て、
いかに日本人が生ぬるい “条件” にどっぷりと漬けられているかがよく分かりました。







文明大国に暮らす日本人は、
このインドのホームで暮らし、学ぶ子どもたちの生きる姿勢をひな形とするべきです。

一番上の外灯の下で学んでいるサティアという女の子の写真の
大きなサイズをアップします。
是非みなさんのパソコンに保存し、その姿を時折眺めていただければと思います。
  <地面に直接座り、薄明かりの元で勉強をするホームの女の子> ← クリック!

写真で顔を上げて前の方を見ているのは、
テキストを音読しているからです。
タミル語ですので何を話しているのかは分かりませんでした。


<ホームについて>

いつも訪れるインド最南端タミルナド州のホームは、
Saint Boniface Anbaham (St. Boniface Anbaham) というホームで、
同名のドイツのキリスト教団体からの支援を受け運営しています。
  <Kinderdrfer St. Boniface Anbaham - Indien> (ドイツ語サイト)

三つのホームには合わせて四百数十名の子どもたちが暮らしていて、
年齢は下は6、7歳から、上はホームによって異なりますが、
日本の高校、大学に相当する学校に通っている子どもまで様々です。

ホームの子どもたちの中には片親や両親のいない子どももいますが、
ホームに入ってくる理由の大部分が経済的理由とのことです。
これがホームページに載っている子どもたちが暮らす村の家です。
  <Herkunft der Nagamangalam/Trichy-Kinder>

どんな子どもたちをホームに入れるのかは、
毎年いろんな村を訪ね、調査するそうです。

子どもたちを一人ホームに入れるためには、
食費、スタッフの給与等すべての費用を合わせ、
一人あたり毎月2,500ルピー、年間30,000ルピーが必要となります。
これを日本円に換算すると、毎月4,250円、年間51,000円です。
    (1ルピー1.7円として計算)

これをドイツの運営団体からの支援、
同じくドイツのフォスタープランの支援等でまかなっているのですが、
ご存じのように現在ヨーロッパ全体がユーロ危機に陥っていて、
経済的支援を受けにくい状況になっています。

加えてインドの急激な経済成長によって物価が急激に上がり、
子どもたちが生きていくために必要不可欠な食料品の代金も
月単位で上がっていると嘆いていました。

これからホームの子どもたちを取り巻く環境がどうなっていくかは分かりませんが、
楽観できない状況であることは確かです。


  続きます ・・・

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