ヨガナンダ 心の時代のパイオニア
 ヨガナンダ > カンボジア・ひろしまハウス > 日本語教育



ヨガナンダ



日本語教育

近年、中国の対日感情の悪化、賃金の上昇、
その他もろもろのチャイナリスクの顕在化により、
企業の海外進出は中国を回避し、
その他アジアの国へと向かっています。

その中でもカンボジアは労働賃金が低廉で、治安も安定し、
政府も外国資本の進出に好意的なため、
カンボジアへ進出する日本企業は右肩上がりで増えています。
  ※ 首都プノンペンの縫製・製靴業の最低賃金は月61ドル (2012年)

日本商工会議所のデータによると、
2014年度に、カンボジアの日系企業の登録数は1000社を超えました。

それに伴い、カンボジアの人で日本語を学ぶ人たちも増え、
今回もたくさんのカンボジアの人たちと日本語で会話をすることができました。


ひろしまハウスでは、無料の日本語教室を開いていて、
まだ中学生ぐらいの子どもたちから二十代の若者まで、
みな熱心に日本語を学んでいます。



テキストはこんな読み物教材です。
これ先生とを生徒たちが交互に音読し、時折先生の解説が入ります。



ノートもこんなにキレイに取られていて、
その真摯な学ぶ姿がよく分かります。



外国語として学ぶ日本語は英語よりもはるかに難しく、
中途半端に学んだだけではまっくた使うことができません。
けれど彼らは将来日本語を使って学んだり働いたりすることを夢見て学習していて、
そのことを思うと、彼らを心から応援したい気持ちになります。


今から15年前まで広島県の呉市にある高専で学び、
現在はプノンペンの街中で日本語学校やガイドの会社を経営する
ソクティーさんに会いに行きました。



カンボジアにはこうした日本語学校がいくつかあり、
この日は生徒が少なく、三名の生徒が日本語を学んでいました。

彼がソクティーさん、とても穏やかで、いつもにこやかな表情を絶やしません。
国民性でしょう、カンボジアには彼のような温厚な方が多いのです。




ホテルの部屋にはケーブルテレビが引かれ、
百局近い各国の放送を見ることができ、
その中には日本のNHKもあり、一日中日本語の放送を楽しむことができます。




日本の団体が運営するくっくま孤児院というところを訪ねました。
そこでは簡単な日本語教育が行われていて、
まだちっちゃな小学生ぐらいの子どもたちから日本語での歓迎の挨拶を受けました。



見事な歌や踊りも披露してくれて、
ピアニカでは日本の「涙(なだ)そうそう」も聴かせてくれました。

そのピアニカを見よう見まねで吹いていると、
可愛い女の子が正しい指使いを教えようと、
その子も一緒に吹きながら自らの鍵盤を示し、
「見て♪」、「見て♪」と一生懸命たどたどしい日本語て語ってくれました。

こういうけなげさには胸が熱くなります。
あの時の彼女の言葉が頭から離れません。


カンボジアには二百近い数の大学がありますが、
その中でも最も有名な王立プノンペン大学には日本語学科があり、
大学構内に日本語教育、日本からの経済支援、人材育成の支援をする
カンボジア日本人材開発センター、CJCCがあります。
  <カンボジア日本人材開発センター>



上の写真右下にお月見の飾りが見えますが、
なぜかその中央の三宝の上に乗っているのはお団子ではなく里芋(らしきもの)です。



たぶん季節ごとの日本の行事を紹介しているのでしょう。
お月見についての解説が、写真、イラスト、クメール語、
そしてほんの少しの日本語で掲示されています。





CJCCやプノンペン大学各所に日本語の本が並べられた書棚がありました。
中にはマンガ本もありましたが、一般の書籍は現在日本語を学んでいる途中の
生徒たちには難しすぎるでしょう。



これらはすべて日本人向けのフリーペーパーです。
これだけの種類があるというのは本当にすごいことです。



内容は最新のカンボジア情報、日本人向け飲食店の案内、広告といったもの。
カンボジアに暮らす人たちにはもちろん、
日本人旅行者にとっても貴重なガイドブックになります。

カンボジアの人の話によると、
CJCCは現在、日本語教育よりもビジネスの支援に重きを置いているそうです。


カンボジアで日本語学校としてたぶん最も大きいであろう
タヤマ日本語学校に行きました。

最近移転したという校舎はとても立派で、
入り口を入ったところにはたくさんのバイクが並んでいるのですが、
それらはすべてキチンと車種別に置かれていて、
置かれているバイクのハンドルの向き、ヘルメットのかけ方まで統一されています。

生徒たちの挨拶も元気いっぱい、
「こんにちは!」、「いらっしゃいませ!」、
ちょっと軍隊的とも言えるぐらいの大声で、深々と頭を下げてくれました。

教室に向かう途中には、日本からの訪問者が書いたメッセージが掲示されています。



ここに案内してくれたのは、
以前ひろしまハウスの管理人をしていたヘンさんという方ですが、
彼が事前にここの校長にアポを取ってくれていて、
校舎に入るなり生徒が四十人ぐらいいる教室に案内され、
そこで突然レクチャーをすることになりました。



その教室の生徒たちは八ヶ月間日本語を学んでいるそうで、
簡単な日本語ならなんとか聞き取れるレベルのようです。
みんな大きな声で日本語の挨拶をしてくれました。

ホワイトボードに日本語で名前を書き、
日本、広島について、そして日本語というものについて少しだけ話をしました。
その後はみんなに手を上げてもらって質問に答えていったのですが、
とにかくみんなとても明るく積極的なのに驚きました。

学ぶことに対するハングリーさを感じます。
この点は豊かな暮らしをする日本人は、大いに学ばなければなりません。



彼らから出た質問は、
  ・日本の四季はどんなのですか?
  ・冬の寒さはどうですか?
  ・温泉、地震について教えてください。
  ・どうすれば日本語が上手になれますか?
  ・日本はどうしてきれいな人がたくさんいるのですか? w(☆o☆)w
といった感じです。

生徒たちはすべての質問に対する答えを日本語では理解できないので、
案内役のヘンさんに、所々クメール語で通訳してもらって話をしました。

それにしてもたった八ヶ月間で、
ほんの少しでも日本語で対話ができるのはすごいことだと思います。
たぶん彼らの努力は相当なものでしょう。
その努力に報いるためにも、日本人、日本企業は、
彼らに対して日本語を活かしていける場を設けなければなりません。

けれど日本語教育の現状は、あまり楽観的なものではないようです。


カンボジアに於ける日本語教育の現状を、
すべて理解しているわけではありませんが、
多くの日本語を学ぶ人たちから共通の意見を聞くことができ、
それは実際の姿とは大きくはかけ離れていないものと考えます。

先にご紹介した日本語教室を開いているソクティーさんは、
日本語教室の運営は楽ではないと語っていました。
それは生徒に対し、日本語を学ぶことの意欲を高めることができないからです。

カンボジアには多くの日本企業が進出し、
そこでは多くのカンボジア人の雇用も発生していますが、
その労働条件があまりよくないと多くの人から聞きました。

日本企業は日本の雇用システムをそのままカンボジアにも導入し、
カンボジアの企業や工場では、不合理な首切りなどは行われないものの、
年功序列で、たとえ能力があったとしても、
会社に入った当初は長く安い給料に甘んじざるおえず、
そこでモチベーションが低下し、
離職する人も多いとのことです。

日本人は勤務時間外や休日でも平気で仕事の連絡をしてきますが、
そういったこともカンボジア人の常識では受け入れにくいことのようです。

プノンペンでは日本語の看板を所々で目にしますが、
それ以上に目に付くのが中国語の文字です。
店先、事務所、建設中の大きな建物に掲げられた看板、
中国資本は日本の何倍もの勢いで広がっています。

今年になってプノンペンにカンボジアで初となる日本人学校ができましたが、
中国系と思われるインターナショナルスクールは、
方々で目にすることができました。

インドでは中国に対する評価はかなり低いものでしたが、
カンボジアではそうではないように感じます。


多くのカンボジア人が語ることによると、
今は日本語を学んで日本企業で働くことを目指すより、
中国語を学び、キチンと職務能力を評価してくれる中国企業を志す方が
メリットが大きいとのことでした。

具体的な数字は分かりませんが、
「日本企業に勤めていては食べていくことができない」
とまで言われました。


これは本当に実態を反映した事実なのでしょうか。
もし事実であるとするならば、
このことをカンボジアの日系企業の人たちは理解しているのでしょうか。

またこういった日系企業のあり方は、
タイやベトナムといった他のアジア諸国でも共通の問題としてあるのでしょうか。

これらは今後自分のアジアに対する課題として、
しっかりと見つめていきたいと思います。
そしてこれを読まれた方も、
頭の片隅にこのことを留めておいていただければ幸いです。


カンボジアで日本語を学ぶあの明るい生徒たちの笑顔が、
これからも末永く光り輝き続けることを願います。

2015.9.16 Wednesday  

ひとつ前へ ヨガナンダ カンボジア・ひろしまハウス 次へ
Link Free
Copyright 2010 Sakai Nobuo All right reserved.