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ヨガナンダ



2018年2月25日 ・・・ 地に足をつける

今から三十年ほど前、昭和の終わり頃から
呼吸法や気功に関心を持つようになり、自分なりに実践し、
これまでそのやり方を少しずつ変えながらも続けています。

呼吸法の基本は、腸の上にある横隔膜を大きく動かし、
お腹を膨らましたりへこましたりする腹式呼吸です。

これによっておへそのすぐ下の丹田(たんでん)が鍛えられ、
ここは心身の健康を保つために極めて重要な場所であるとされています。


気功や呼吸法を実践することで体の感覚が敏感になり、
靴下は五本指のもの以外は履くことができなくなりました。
普通の靴下を履くと体の中心軸に力が入らなくなり、
体全体がだらけたようになるのを感じます。

山登りの時に履く登山靴は、
靴底の厚いものが安全であり一般的ですが、
足の裏が敏感なったお陰で、
靴底の薄い、大地の感触をダイレクトに感じられるものを
好んで履くようになりました。
足の裏、足の指全体で大地を掴みながら歩く、そんな感覚です。


十年前に初めて南インドの児童養護施設に行き、
そこにいる子どもたちの輝くような笑顔、
その明るい精神を支える正しい姿勢に感動を覚え、
偉大な教育者である森信三先生の言われる立腰教育の大切さを、
初めて実感として感じ取ることができました。

そして今振り返ってみると、
インドの子どもたちはほとんどみんな裸足で学校に通っていて、
足を直接大地である土に触れて生活をし、
それが正しい姿勢を保つことのできる大きな要因ではないかと感じます。




最近毎日グラウンディングをしています。
これは「今すぐ人生を変える簡単な6つの方法」のひとつで、
椅子に座り、尾てい骨から地球の中心に向かって太いパイプを延ばし、
そことエネルギー交換をするという行法です。
  <グラウンディング - Google 検索>



このグラウンディングを行うことにより、
立腰教育で大切さを説く身体の中心軸、脳から腸に至るラインは、
本来はさらに延び、腸から下、大地にまで至るものだということが、
感覚的に理解できるようになりました。

脳は思考を司り、腸は感情を生み出します。
心は腸にあり、腸は宇宙と直結しています。
脳と腸は陰陽の関係であり、
そしてそこに大地を加えると、脳、腸、大地、
この三つで三位一体となるのだということを感じます。


合気道の第一人者であった塩田剛三は、
研ぎ澄まされた身体感覚を持ち、それを使いこなす武道の達人で、
わずか154p、45キロの体で大男たちをひょいひょいと投げ飛ばす様は、
まるで曲芸を見ているようです。

合気道の技は、ただ全身の力をがむしゃらに振り絞るのではなく、
相手との間合いをはかるタイミングと力の集中が大切で、
それが確実にできたなら、
指一本で体格の勝る相手を投げ飛ばすことができるのだそうです。

下の動画は、足の指一本で大男を床に倒す演舞の様子を映しています。



その力の集中のことを、塩田剛三は著書の中でこう述べています。

合気道のいう呼吸力とは、人間が本来持っている、全身から生まれる力を自在に発揮させることなのです。
呼吸の根本には、中心力があります。
中心力というのは、体の中心線をまっすぐに保つ力のことです。

合気道では、まず、この軸をしっかりさせるように訓練します。
具体的には、頭、腰、爪先を一本の線にするということです。

私が演舞でよく見せる、人差し指によるのど突きや、足の親指による甲の踏みつけなどは、みんな集中力なのです。
集中力を生み出すコツは、足の親指にあります。
これを鍛えてグッと床にかませます。
すると腰にビーンと力が入って強くなる。
このビーンとくる感覚がわかるようにならないといけません。


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合気道に於ける中心軸とは、
尾てい骨から頭蓋骨に至る体幹だけではなく、
足の先から頭頂に至る全身を貫くものだとのことです。

これらのことから考えられるのは、
立腰とは、腰骨をしっかりと立てることにより、
その延長である全身を貫く中心軸を整え、
その結果として大地を踏みしめ、
地に足のついた生き方ができるということではないでしょうか。


直立歩行をする人類は、この地に足のついた生き方が、
正常な身体感覚を保つ基本となるものです。

けれど今はその身体感覚が壊れつつあり、
その現象が随所に現れています。

学校で使われる教科書は、
その時代の特徴を映し出す鏡のような存在で、
その変化を見れば、社会がどの方向に向かっているのかがよく分かります。

小学校の教科書に使われる字体は、
近年そのほとんどが教科書体からブロック体へと換ってきています。

教科書体は、筆によるとめ、はねが表されていて、
書き手の筆遣い、身体感覚を呼び起こすものですが、
単なる線、記号の集まりであるブロック体にはそれがありません。

挿絵も淡い色彩、少しずつ色が変化するグラデーションが少なくなり、
原色、かつ単色のものが増えてきています。

また人物の絵も、地面が描かれることなく宙に浮いた状態で
単体で描かれることが多くなり、
そこには地面はもとより、他の自然物との相関性はありません。

この身体感覚の喪失は、
現代のコンピューター社会、AI化、バーチャルリアリティーの世界観を
如実に反映したものです。


『教育の基本は立腰にあり』
教育の根本に立腰を保つための体育があるのと同様に、
どの国、どの民族に於いても、その文化の根底には身体文化があり、
この身体文化の崩壊は、その文化全体の崩壊に他なりません。

地に足のついた生き方をするためには、
脳から腸、腸から大地、この一本の流れが軸となるよう
鍛え、整える必要があります。

その点からすると、
現代人の生活は大地から離れすぎていること、
そして腸の力が極めて弱くなっていることが大きな課題です。

この課題を認識し、これを克服するため、
古き良き日本の文化、生活様式を見つめ直し、
健全な身体を育む社会を作り上げていかなければなりません。

これは避けては通ることのできない道です。

2018.2.25 Sunday  
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