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無垢な心
世の中で天才と呼ばれる人たちを見ていると、
人間には限りない可能性があるということを感じます。
私たちは、その持てる能力の何パーセントを使っているのでしょうか。
数十パーセント、数パーセント、あるいはそれ以下かもしれません。
人間の持つ驚異的能力を示す事例として、
サヴァン症候群の人たちのことがよく話題となります。
＜サヴァン症候群 - Wikipedia＞
サヴァンとは、賢者、知識人、天才といった意味で、
知的障害、自閉症の人の中でまれに現われる、
常人では考えられないような天才的能力を発揮する人たちの症例です。
サヴァン症候群の人たちは、他人とのコミュニケーションが上手く取れなかったり、
簡単な計算、服を一人で着る、人混みの中を歩くといった、
ごく普通の人が簡単にできることが難しくてできない場合があります。
けれどもその代わり、
何百冊もの百科事典や電話帳に載っている情報をすべて
写真を撮るように暗記したり、
一度聴いただけの音楽を完全に同じように楽器で再現したり、
数秒間見ただけの景色を正確に絵として描き表したり、
あるいは計算機並みの驚異的な暗算力を発揮したりすることができます。
＜驚異の記憶力 (1/5)＞
脳の機能の一部に障害があるがゆえ
驚異的な能力が発揮できるというのは、
実に皮肉なことです。
私たちは、見たもの聞いたものを、
すべて自然に、ありのままの姿で受け取っているように感じますが、
本当は無意識のうちに必要なものとそうでないものを選別し、
様々なものと関連づけ、意味づけし、
そうすることによって膨大な情報を、
自分にとって有益、有効な形で処理しようとしています。
サヴァン症候群の人たちは、
そういった能力に欠ける代わりに、
すべてをありのままに受け入れ、
まるで写真を撮るようにすべてのものを記憶してしまうのだと考えられます。
動画でサヴァン症候群の人たちを見ていると、
その純粋なまでの不器用さでひとつのものに取り組み、
今この瞬間を生きているその姿には、
私たちが最も大切にしなければならない何かを提示してくれているように
思えてきます。
昨今私たちの持つ想念の力が飛躍的に増大してきているのを感じます。
この延長線で近い将来、
サヴァン症候群の人たちの持つような驚異的能力を
多くの人が持てるようになるかもしれません。
もしそうなるとするならば、そのための条件は、
私心、執着のない心、すべてをありのままに見つめられる目といったことが、
欠くべからざるものとなるでしょう。
弘法大師空海は、求聞持聡明法によって、
見たもの聞いたものすべてを完璧に記憶することができたと言われています。
私の心の師であるパラマハンサ・ヨガナンダ師も、
サマディという超意識状態に入ることによって完璧な記憶力を手に入れ、
あの英知が凝縮された永遠の大著「あるヨギの自叙伝」を書き上げました。
驚異的能力は、本来超人だけのものではありません。
きっといつか、誰しもが手にすることのできるものだと信じています。
そのためにも、子どものような無垢の心が何より大切です。
先日、ある知り合いの子どもたちと一緒に食事をしました。
その子どもたちには、つい最近とてつもなく大きな不幸が訪れたのですが、
子どもたちの柔和な笑顔から、
その深い悲しみの影を読み取ることはできませんでした。
兄弟仲良く無邪気に戯れる姿を見ていると、
胸が熱くなり、思わず涙がこぼれそうになりました。
まだ抱っこをすると喜ぶような年齢の女の子を抱き上げ、
彼女の嬉しそうにはしゃぐ笑顔を見ていると、
私の心の最も深い部分が癒されていくのを感じます。
その時私は、彼女の笑顔、純真無垢な心によって、
どうしても溶かすことのできなかった心の中の大きなわだかまりがひとつ、
音を立てて消え去っていくのを感じました。
無垢な心、これに勝るものはありません。
2011.11.29 Tuesday |
