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現実という神

スピリチュアル夜話にアップした文章もこれで300話目となり、
ずらっと目次ページに並んだ項目は、
私のパソコンのディスプレイで計測すると、高さが2メートルを超えています。

私は人様に生き方指南をできるほどの立派な人間ではありませんが、
ここに書いていることは、
自らの心の軌跡であり、決意表明でもあります。

いつも拙文をお読みいただき、心より感謝申し上げます。


誰かにナイフでお腹を刺され、
その突き刺さったナイフを抜き取ることができないのであれば、
傷が広がらないよう、じっとしているのが賢明です。

けれど人は痛みに弱く、
無意識の肉体的反応としてもがき苦しみ、
傷口を広げ、出血を増やしてしまうことがよくあります。

もがき苦しめば苦しむほど苦しみが増す、
抵抗しても無駄だと分かっていても抵抗する、
人の肉体や精神は弱いものです。

人生のどん底に落ち込み、
日々死というものを意識していた十数年前は、
いつもそんな無駄な苦しみや抵抗と戦っていました。


人生長い目で見れば、
無駄なものなどまったくないとも言えます。
そんな “無駄な抵抗や苦しみ” と戦い続けたお陰で、
そこから逃れる術を懸命に求めるようになり、
ひとつずつ体に染み込むように大切なものを身に付けてきました。

苦しみ続ける中で、
心と体は新たなものを受け入れるための土壌を作っているのでしょう、
ある時ふと出合った言葉で、目が大きく開かされることがあります。

世界的名著「道は開ける」には、
そんな苦しみと戦い続けた多くの人のエピソードが綴られていて、
どん底の苦しみにあえいでいた私は、
この本によって大いに勇気づけられました。

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この本に書かれていることに心打たれるようになったのも、
やはり自分が同じ苦しみを我身で体験してきたからだと思います。
それ以前だったら、きっとこの本を目にしても、
内容が自分の中を素通りしていたことでしょう。


何度もご紹介しているバイロン・ケイティの言葉、

  『世界にはたった三種類の領域しかない。
     それは私の領域、あなたの領域、神の領域』

神という言葉は「現実」を意味し、
現実が世界を支配し、その現実とはいくら戦っても絶対に勝ち目はありません。

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そのことは分かっていても、
私たちは変えることのできない現実と戦い続け、
無用の不安、恐怖、怒り、悲しみ、葛藤を生み出しています。

変えることのできるのは唯一自分だけです。
神の領域である現実は変えることができません。

そこから苦しみが生まれるとしたら、
それはその現実が原因なのではなく、
『現実に対する自分の見方』が原因です。


このことは、理屈ではよく分かりますが、
問題はそれをいかに得心し、自分の考え、生き方にしていくかということです。

それを修得していくのがバイロン・ケイティのワークなのですが、
これも自分にとってのひとつの時期というものがあるのかもしれません。

今の私にとって『現実こそが神である』というバイロン・ケイティの言葉は、
とても深く腑に落ちました。
この言葉を強く意識するようになり、頭の中に常に置くようになって、
周りのものの見方が確実に変化してきました。

極端に言うならば、
身の回りのすべての景色が舞台の上の大道具のように感じられ、
自分自身や、自分自身のものの見方を試すために用意されたものだと
いうような意識になってきました。
そして感情のさざ波がずいぶんと抑えられるようになってきました。

現実は神そのものであるのだから、
どんな状態であれ、今の状態が完璧なのだ、
私は、ただその中で与えられた、
また自らが望んだ役割を演じさせてもらえればいいのだ。

言葉ではうまく表現できないのですが、
そんなような気持ちに少しずつ変化してきました。


生きる上で、苦しみは絶対に必要不可欠なものだとは言いません。
けれども多くの苦しみを経験することにより、
その中に見えるかすかな輝きをも見落とさないような
心の眼力を身に付けることができます。

現実こそが神であり、
その神は、最も尊い存在である心の内にある真我が創り出したものです。

肉体を持ち、有限な三次元世界に生を受けた私たちにとって、
現実というものは、心を磨き、
経験を積み重ねることのできる最高のフィールドです。

それを尊ぶのは自然な生き方です。

  難有り、すなわち有り難し。

2011.11.27 Sunday  
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