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上虚下実

世間では日々めまぐるしいようにいろんなことが起こり、
感情を手放し、自分というものを見つめなければならないと思っても、
ついつい外側にばかりに目がいってしまいます。

つらい時、苦しい時、何かで失敗してしまった時、
また逆に嬉しくて心が踊る時、
そんな時こそ目先の物事から目をそらし、
心を落ち着かせなければなりません。

心を落ち着かせ、今というこの瞬間、自分をしっかりと見つめることが、
正しい判断をするための根本です。


心を落ち着かせるには、
深いゆったりとした呼吸をし、下半身に力を入れることが大切です。
下半身に力を入れるポイントは、肛門を引き締めることです。

何か事を始める時、人と会い話をする時、
怒りや悲しみで心が乱れそうだと感じた時、
そんな時に、肛門にキュッと力を入れ、引き締めてみてください。
気が下半身に落ち、心が落ち着いてくるのを感じるはずです。

人間の心身にとっての理想の状態は上虚下実です。
虚とは陰を表し、膨張であり無限であり、実態のないものです。
実とは陽を表し、形のある凝縮された力です。

上半身はリラックスし、脱力、
下半身は力を入れて引き締める、
肛門が締まっていて背筋が伸び、肩の力が抜けている、
それが理想の姿です。
一流の武道家の姿勢はこの上虚下実です。

見える世界でガッチリと土台を安定させ、
見えない世界で天に向かって大きく花開かせる、
これか上虚下実です。


上虚下実は、物事を深く洞察する姿勢でもあります。
人間の五感の内触覚以外の四感を司る器官は体の一番上の頭部にあります。
その頭部から入ってきた刺激を自然体で受け止め、
そこから体の中心線を通ってお腹(肚)まで落とし込み、
じっくりと腹に収め、腹をくくり、腹から思いを発するから、
深い思考、洞察、そして行動ができるのです。

これが上実といった肩に力が入った状態だと、
外からの刺激が自分という壁でシャットアウトされてしまいます。

また下虚という下半身に力がなく、
背骨が曲がった様な状態では、
頭から入った刺激がお腹の中に入っていかず、
頭だけで考えた表面的な思考になってしまいます。

上半身は虚であり、広く受け入れ、広く発する、
下半身は実であり、深く受け入れ、深く洞察していくのです。
  参考 ・・・ 「キレる」を考える


植物でも同じです。
地表から下の根が、深く地中に張っているから、
地表から上の茎や葉が大きく天に向かって伸びていくことができ、
立派な花や豊かな実りをたたえることができます。

私たちを植物に例えると、
今は強い風が吹き、大きく環境が変わろうとしている時です。
そんな時には、まず咲きかけの花や実りはじめた果実に意識が行き、
どうしても目先のこと、地表から上のことに意識が向いてしまいます。

けれども風はこれからも決して緩むことはありません。
まず今しなければならないのは、
これからますます強くなる風、激変する環境に備え、
地中の根っこを今まで以上にしっかりと張ることです。

もしそれを怠れば、今以上の風や環境変化にさらされた時に、
それに負けて根こそぎ倒されてしまうかもしれません。


上虚下実、人生も同じです。
長い下積みを経験した人は、どんな逆境にも負けません。
芸人でも下積みの長かった人は、
売れてからでもその人気が長く続くといわれています。

基礎がしっかりとできている人は、
どんな変化にも対応でき、様々な応用が効きます。
また一時の華やかな目先の変化に惑わされることなく、
本当に大切なものをも見つめていくことができるのです。


目先がめまぐるしく変化する今だからこそ、
じっくりと腰を据え、上虚下実で心落ち着かせて物事を見据えることが大切です。
それが主体性を持つということであり、
命の本質を見つめるということでもあり、
また自分を愛することにもつながるのです。

心が乱れそうになった時、ここ一番という時、
頬を緩め、肩の力を抜き、そして肛門をキュッと引き締めてみてください。
これがより深い、正しい判断をするためのトレーニングです。


けれども、これは意識して簡単にできるものではありません。
それができるように日々意識し、訓練し、
その結果としてできるものです。

私が行っているトイレ掃除という下座行、
呼吸法、毎日約二千回行っている肛門を締める運動ムーラバンダ
これらもその訓練の一環です。

上虚下実

上虚下実、これは今私たちに求められているきわめて大切なキーワードです。
是非とも座右の銘として、
これを実行、実現できるような生き方を目指してください。

2011.7.7 Thurseday  
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