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ヨガナンダ



論理と感情

この世の中で最も身近な存在である自分、
その自分を正しく見つめるということは、
簡単なようでとても難しいことです。

「そんなこと、言われなくても分かっているよ」と言われる方は大丈夫ですね。
本当は自分のことがまったく分かっていないのに、
さも分かっているような気になっている人、
まるで裸の王様のような人が、意外と多いような気がします。


最近よく思うのは、
論理は真理を導くためのひとつの手段ですが、
その論理によって、逆に真理から遠ざかってしまうことがあるということです。

論理と感情、
このふたつは相反するものとしてとらえられますが、
このふたつが入り交じり、
論理が自分の感情を守るため強固に働くことがあります。

論理的で理屈っぽい人が感情的になってしまうのが、
一番手に負えません。
その人にとっての論理とは、
自分の感情を守るための理論武装に過ぎないのですから。


誰しも心の中に信じたいもの、守りたいものがあります。
そしてその思いを胸に、人は周りのものを見て、物事を判断します。

自分にとって都合のいいものにはしっかりと目を開き、
いやなものには目を閉じる、
これはどんな人にも大なり小なりあることです。

三猿

世界中にあり、日光東照宮にもあるあの三猿の意味は、
諸説あるようですが、私は勝手に、
『真実と出合ってもその真実を見ザル、聞かザル、
 真実を知っていても、その真実を言わザル』
という意味だと解釈しています。


このたびの原発事故でも、放射能の危険性に大きな警鐘を鳴らす人がいる一方、
大騒ぎをすることはないとまったく逆の意見を持つ人もいます。

これは国難ともいえる大事なので、
日本国民みなそれぞれが放射能に対する考え方を持っているのですが、
多くの人は、一度自分なりの考え方を決めてしまうと、
山のように流れてくる原発情報の中から、
自分の意に沿ったものだけをくみ取り、
それで自分の意見の正当性を守ろうとしているように感じられます。

もちろんそういった人ばかりではないとは思いますが、
人間誰しもがそういった傾向を持っているということは、
自覚しておいて損のないことだと思います。

これは別段恥ずべき事ではありません。
人間の心とはそういうものなのですから ・・・ 。


物事をすべて中立に判断することなどできません。
当然のことです。
だから多少考え方が偏向していても恥ずべき事ではないのです。

けれども自分の心の中にそういった偏向したものがあるということを自覚せず、
自分は事実を客観的にとらえ、
しごく真っ当な判断をしていると信じ込んでいる人は、
もしかしたら恥ずべき人かもしれません。


論理が事実を検証するためのものではなく、
己の感情を正当化する手段になってしまっては、
その価値がまったく逆のものになってしまいます。

そのためには、まずは自分の中にある感情を手放すこと、
心をニュートラルにし、自分の心の奥底を見つめられるよう、
常に意識して心の中の様子を眺めることが大切です。

そしてもうひとつは、自分の立場から考えた、
利害関係というものを意識し、
自分はどういった方向に偏向しやすいかを知ることです。

東京電力から多額の研究費をもらい、
原子力の研究でご飯を食べている学者たちが、
原発は全廃すべきだと唱えられるはずがありません。

他人が利害関係に基づいて意見を述べるように、
自分もまた、自分の立場、過去の経験によって判断を左右されることもあるという
「当たり前」の事実を深く知るべきです。

どんなものにでも好き嫌いはあります。
けれども嫌いと判断したものも、
それがなぜ嫌いなのかを探ってみることも大切です。

それがもし自分の持つ過去の忌まわしい記憶を正当化するものだとしたら、
嫌いなものというのは、自分にとって最高の教師となるでしょう。

好き嫌いという心から湧き出る感覚はとても大切ですが、
それは心の中に偏向したものがない場合です。
ですから逆に、好き嫌いという感覚の中から、
自分を知るための大きなヒントがあるのです。


私はボランティア型の人間で、
情にほだされると、損得抜きで行動してしまうタイプです。

損か得か、正しいか正しくないか、人に喜ばれるか、役に立つか、・・・
人によって最も重要とする行動の動機付けは様々です。

この動機付けのパターンは、生まれ持った性質によるものが大きく、
そう簡単に変わるものではありません。
また変える必要もないものです。

けれどもその得意とする行動パターンの中に、
苦手な行動を回避したいという思いが隠されている場合は、
そのことをよく自覚し、
本当のとるべき行動に対し正面から向き合わなければなりません。

私はある人生の大先輩から、
「おまえのやっているトイレ掃除は逃げだ」と言われたことがあります。

これは大いに当たっている部分のあることです。
人は誰しも苦しい時は、最も自分の得意なパターンに逃げ込もうとするものです。

ボランティア大好き人間の私にとって、
公衆トイレを一人で磨くことは、まったく苦ではありません。
私の今の目標は、トイレを一生懸命磨かせていただくことではなく、
トイレを磨かせていただくことが、逃げではなく、
本当に自分の人生にとってプラスとなる、そんな生き方をすることです。

人生、やっぱり誤魔化しは通用しませんので ・・・ 。


「自分探し」という言葉をよく聞きますね。
それだけみんな自分のことがよく見えていないということなんでしょう。

自分を探す心の旅、これこそが人生の醍醐味ですね♪


以前も紹介したこの二本の映画、
判断の奥底に潜む感情というものを知る上でとても役立ちます。
是非レンタルビデオで観てください。

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2011.5.30 Monday  
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