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心ひとつ

今日本はまさに国難とも呼べるような事態を迎え、
日本国全体が、被災地そして日本経済の復旧、復興に向けて力を合わせ、
原発事故の無事収束を願い、心をひとつにしています。

けれどもそれと同時に、
今は非常時だからと言いたいことを自粛したり、
自分と違った考え方を批難する傾向も感じられ、
私も昨日の「批難覚悟で」で書いた、
放射能汚染食品は怖くないという意見は、
アップするのに少し勇気がいりました。

ファシズムと言っては言い過ぎかと思いますが、
このような国レベルでの緊急時には、
全体の考え方が統一される強い求心力とともに、
そこから外れたものを排除しようとする排他的な動きを感じます。


私はこの三月で、トイレ掃除の活動をはじめて丸二年になります。
最初は「仕方なし」に参加したトイレ掃除の会でしたが、
しだいにその魅力にとりつかれ、
いつしか自分にとって最高の精神修養の場となりました。

そのトイレ掃除の世界に深く導いてくれた先輩であり、
また私がトイレ掃除の鏡としていつも目標にしているのが、
先川孝コさんという方です。

先川さんは、これまで仕事として非行少年や暴力団の取締りをしてこられ、
罪を犯した人たちを検挙するだけではなく、
その後の更正に向け、公私の分け隔て無く懸命に取り組んでおられます。

トイレ掃除に取り組む姿勢も生半可なものではありません。
忙しい合間を縫い、まさに徹底的という感じて便器に向かうその姿は、
ある種鬼気迫るものがあります。

私の身近な人で、先川さんほど無償の愛を実践している人はいないでしょう。


その先川さんに、このたびの震災で学び、感じたことを書いてくださいと
お願いしたところ、
きれいな文字が綴られた複写ハガキをいただきました。
それをアップしたのが こちら です。

私も考えていることはストレートに表現する方ですが、
先川さんも、世間一般の考え方とは違ったかなり厳しい意見を持ちながら、
それをそのまま文章として素直に表現されました。
正直その文章は、このまま載せていいんだろうかと、少し戸惑ってしまいました。

復興の手伝い、自分がいいことをしているとアピールしたい目立ちたがり屋にはとても言い機会かもしれません。

神は支援するしないについては無関心かと思います。

物質を与える程に人間は堕落するのです。


先川さんは、基本的には被災地の復旧、復興は、
被災した人たちが自力でなすべきだという考えを持っておられます。
被災者に対して周りがあまり手を差し伸べ過ぎるのは、
甘えを助長させることであり、自立の妨げになるという考えです。

先川さんのことを知らない人がこの文章を読むと、
「なんと冷たい人だろうか」と感じるだろうと思います。

私は先川さんのこの考え方が、いいとも悪いとも思いません。
また正しい正しくないという問題でもないと思います。
ただひとつの意見として、こういった考え方もあってしかるべきだろうと感じます。


先川さんは文章の冒頭にこう書いておられます。

震災から学んだこと、それは私達はつながっているということの再認識でしょう。

これは私もそう感じます。
また多くの人が同じように感じておられると思います。

では、「つながる」とは何でしょうか。
それは心、思いのことでしょう。
みんなの心の中がつながっているからひとつになれる。
これは「心ひとつ」ということです。

けれどもこの心ひとつというものの考え方は、
人によって大きく異なります。
それは心というものをどうとらえるかによって違います。

これは素直というものが、
自分の考えを押し殺して人に合わせるのが素直なのか、
それとも自分の心に正直になるのが素直なのか、
この違いとよく似ています。


心というものを、表面的な考え方ととらえたならば、
心ひとつとは、みんなが同じ考え方を持つことです。
自分の考えを押し殺し、その「素直さ」でもってみんなに合わせ、
ひとつの方向を向くということです。

これは表面的にはみな手を取り合っているようには見えますが、
その心の奥ではそれぞれが違う考えを持ち、
心の中で「つながっている」とは言いがたい状態です。

それに対し、心をもっと深いところでとらえたならば、
表面的には様々な意見があったとしても、
それを認め、許容し合うということでしょう。

自分の心に正直になり、その「素直さ」でもって、
「被災者の方たちみんながいいようになってもらいたい」と願い、
その思いが同じであれば、それは通じ合い、ひとつとなり、
心は「つながっている」と言えるのではないでしょうか。


心をひとつにするというのは、形をひとつにするのではありません。
根底で相手のことを思いやり、
その上で自分に正直になり、
自分と異なる考え方をも認め、受け入れるということです。

心をひとつにするためには、まずは自分からです。
自分から相手を認め、思いやることから始まります。


みんなの心をひとつにし、この国難を乗り越えましょう。

2011.3.29 Tuesday  
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