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生き方のお師匠さん

袖擦れ合うも多生の縁、
神因縁のある私は、これまで本当にたくさんの素晴らしい宗教家や
スピリチュアルな世界に生きる方たちとご縁をいただき、
ごく身近なところで様々な体験を積ませていただくことができました。

これは私にとっては何よりの宝物であり、
この経験からだけでも、人とのご縁は人智ではどうすることもできない
不思議な導きであると思わざる得ません。

様々な宗教の下、命がけで神や仏の道を歩んでいる宗教家の方たち、
気功、風水、瞑想、・・・スピリチュアルな世界を追い求めることを
我が天命としている方たち、
本当にたくさんのそういった方たちとの出会いをいただきましたが、
そんな中で、特定の宗教を信仰するわけではなく、
また何かのスピリチュアルな世界を専門として追求しているわけでもない、
ただ一介の主婦であったSさんの存在を忘れることができません。

Sさんは私より18歳年上の女性で、
宗教やスピリチュアリズムに特に強い関心、
というか執着を持っておられるわけではないのですが、
人の何倍もものを見る目や感覚が鋭敏で、霊的能力に秀でた人でした。

Sさんと深く交わりを持ったのは今から20年から10年ほど前です。
その当時のSさんは、悩める私にとって
まさに「生き方のお師匠さん」と呼ぶに相応しい存在でした。


20年前の私は人生のバブルがはじける直前でした。
いつもスーツを着て、髪はムースをつけてオールバックにし、
人生の上澄みだけを飲んで生きているような、
そんな頭でっかちで浮ついた人生を送っていました。

Sさんは他県にお住まいで、
毎月広島に来られるたびに私たちの仲間と合流し、
楽しくワイワイやっていたのですが、私の生き方を見て、
「あんたは背広とネクタイだけが歩いてる見たいやな〜」
などと、私の中味のなさをズバリ喝破されていました。


Sさんは亡くなられたお父様がある修養団体の偉いさんで、
外での評価が高い父親と、家庭での父親とのギャップを感じ、
形ばかりを重んじる宗教や男社会に対して反感を持っておられたのですが、
ご自身が気やエネルギーといった目に見えない力を
人一倍強く感じる能力を持っておられたので、
そういった世界にはとても敬虔な姿勢を持っておられました。

Sさんは人を見る目がとても鋭く、
少し話をしただけで相手の心の奥を見抜き、
問題点を歯に衣を着せぬ調子で厳しく指摘をされました。

Sさんのすごさは、世間の常識にとらわれず、
物事を純粋に見つめることのできる目を持っているということ。
そしてその目で自分が感じたことを何よりも尊重し、
その思いを実行に移す強い意志力と行動力を持っておられることです。

その人間としての純粋さと力強さがあるがゆえ、
結果として高い霊的能力が身に付いたのだと思われます。

霊感の優れた人がすべて人間的に立派だとは限りませんが、
人間としての基本的な素養を磨いていけば、
Sさんのように霊的能力が必然として磨かれていくのであろうということを、
Sさんを見ていて感じるようになりました。


Sさんは、近所の子どもさんたちやお年寄りの方たちのお世話といった
ボランティア活動を熱心に行い、
それと同時に、Sさんの人間力を慕い、
多くの方が悩み事を相談されていました。

私もSさんにどれほど胸の内を聞いていただいたか分かりません。
Sさんと出会った直後に結婚生活が破綻し、人生のバブルははじけ、
心身ともにどん底に落ち込み、
ただ死ぬことのみを憧れるような日々だったのですが、
その時に最も具体的に私の心を救う言葉を与えてくださったのはSさんです。

頭でっかちで、知識はあっても知恵はない。
自分の外側を見ることには長けていても、本当の自分を見つめられない。
自分が勝手に作り上げた理想というものは愛せても、
今現在の自分自身を愛することができない。
世間の価値観に従うことはできても、自分の心のままに生きることができない。

そんな当時の私に対してSさんは、
本来の人間の生きる姿というものを少しずつ説いて聞かせてくださいました。


Sさんに世間の常識や一般的な物の見方などといったものは関係ありません。
すべてのものを根底から見つめ、
世間一般、特に形式的な男性社会が築き上げ、
疑うことすらないような前提条件からひっくり返されるようなことをよく言われました。

私もそのたびに目が開かれる思いをし、
今の私が、世間の評価の高いものでも平気で批判的意見を述べられるのは、
このSさんから受けた影響が多分にあります。

Sさんにとって自分が好きか嫌いかといった感覚がすべでです。
それが素直ということであり、
自分を愛することにもつながるのですが、
当時の私にとっては新鮮であり、また憧れの生き方のようにも映りました。

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2011.2.25 Friday  
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