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ヨガナンダ



直感

人間の持つ最も尊い能力は判断力です。
外から与えられた情報に左右されることなく、
自分の内から湧き出てくる直感を元に物事を決めていく、
これは心の奥に内在する神性を認めるということにもつながります。

これからは絶対から相対へと考え方の主流が移り変わっていきます。
自分の外に万人に共通する絶対的な価値を持ったものがあるのではなく、
価値とは相対的なものであり、
自分にとってどうなのか、・・・ それを自らが判断することが最も大切なのです。

車を持てば、便利で楽しい生活が送れるかもしれません。
けれども運転の下手な人が車を手にし、
それで大きな事故を起して一生後悔するようなことになるかもしれません。

価値は絶対的なものではなく、
その価値の主体は車のような自分の外にあるのではありません。
価値は自分が決めるものであり、自分で判断するものです。


けれども私たちは価値は絶対的なものであり、
外からたくさんの知識や情報を集めることによって、
より正確な価値判断をすることができ、
より『お得な人生』を歩むことができるのだという錯覚を抱き続けています。

より権威のあるもの、より世間の評価の高いもの、より高価なもの、・・・
そういったより『絶対的な価値』が高いと思われるものを
身の回りに集めることが、
安定した幸せを得るための最もオーソドックスな道だと信じています。


すべての価値は相対的なわけですから、
突き詰めていけば絶対的なものなど何ひとつ存在しません。
けれどもそれを徹底していくと、
万人共通、一般化ということができなくなってしまうので、
便宜上絶対的なものがあるという仮定の元、
たくさんの知識や問題の『正解』を覚えることが求められてきました。

これは致し方ない面もあることです。
幼い子どもには「横断歩道では、赤信号の時は絶対に渡ってはいけない」
と教えなければ、危なくて外に出すことができなくなってしまいます。

正しい相対的な判断力を持つためには、
社会的なものを含めた、
自らの生命を維持するための最低限の能力が求められます。


様々な外からの情報がまったく役に立たない訳ではありません。
それも正しい判断をする上で貴重な材料となるでしょう。
けれどもそういった外部情報を超えて、
時として自分の心の奥から直感として何かが湧き上がってくることがあります。

あの人は世間からの評価が高く、とても紳士のように見えるけれど、
なんとなく嫌な感じがするな ・・・ 、
あの飛行機に乗らなければ仕事に間に合わないのだけれど、
なんとなく乗るのがためらわれるな ・・・ 、
こんな虫の知らせや胸騒ぎといったような直感が、
本当は外からの情報を超えた最も尊い判断力であるはずです。

これは外部からの情報と相反するものではありません。
それを超えたより深い世界のものです。


この直感は「好き嫌い」といった感覚とも一致します。
けれども私たちは小さい頃から、好き嫌いを言うのはよくないこと、
好き嫌いを言うのは素直ではない証だと、
ずっと教育され続けてきました。

ですから私たちは大人になっても無意識的にこの直感から耳をそらし、
外からの情報こそが最も尊ぶべきものなのだと思ってしまうのです。

本当は好き嫌いをハッキリと主張できることこそ、
素直に生きている証であるはずです。
素直とは、自分の身の回りの人たちに対して従順であることではなく、
自らの直感に対して正直であることを言うのです。


ただしここで注意しなければならないことがあります。
それはその好きか嫌いかといった感覚が、
自分の内のどこから湧いてきているのかということです。

それが本当に心の奥の最も深い部分から来ているものであるならば、
それは正しい直感であると言えるでしょう。

けれどもそうではなく、もっと浅い感情から湧き出てきているのであれば、
それは直感ではなく単なる感情の表れに過ぎません。
素直ではなくわがままというものです。


怒り、嫉妬、ねたみ、・・・
今自分の心から湧き出ている感覚が、
そういった感情に支配されているものなのか、
それとももっと深いところからのものなのか、
それを見極めなければ、
その感覚が直感なのか感情なのかを区別することはできません。

本当の直感、正しい判断の元となる好き嫌いの感覚とは、
様々な感情を超えたもっと深いところから湧き上がってくるものであり、
それを自らのものとするには、
心の中にある感情を手放さなければなりません。

怒りか燃えたぎっている、悲しみに暮れている、
喜びに舞い上がっている、嫉妬に狂っている、・・・
こういった時には直感は湧いてこないのです。


たとえばセドナメソッドでは、
無気力、悲しみ、恐れ、渇望、怒り、誇り、
そして勇気、受容、平安といった感情までをも手放していきますが、
それが十分にできた時、表面意識と心の奥底がストレートにつながり、
心の奥から直感が自然と湧いてくるようになります。

心の底から聞こえてくる直感の声は、
決して大きな声ではありません。
それはささやくようなものであり、だから虫の知らせなどと表現します。

それを聞くためには、感情を手放し、感情の波風を抑え、
心の耳をしっかりと澄まさなければなりません。


耳を澄まして聞こえてくる直感の声、
それはどんな権威ある人の言葉よりも、
自分にとって価値のあるメッセージとなることでしょう。

2011.1.25 Tuesday  
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