読み聞かせ
今年は年明け早々身近な友人たちから出産、懐妊の知らせが相次ぎ、
久しぶりにベビーラッシュといった感じです。

新しいお母さん、お父さん方に私が言うこと、それはまず
「赤ちゃんには、しっかりと読み聞かせをしてあげるといいですよ」
ということです。


耳はすべての感覚器官の中で最も早い時期、命を授かった直後から働きはじめます。
そして肉体が滅する最後の最後、死の直前までその機能を保っていると言われています。

幼児の頃から特別の才能、能力を発揮している子供たち、
ほとんどの場合、親が熱心に読み聞かせ、語りかけ等の言葉による働きかけをしています。

まだ言葉を話せない赤ちゃん、あるいはお母さんのお腹の中にいる胎児の頃から
楽しい絵本を読み聞かせ、身の回りの様々なことを語って聞かせるのです。

人間は乳幼児の頃、特に年齢が低ければ低いほど、パターン認識能力という
見たもの聞いたものをそのまま記憶する優れた能力を持っています。

「まだこの子は言葉が理解できないのだから、何を話しても分からないだろう」
と考えるのではなく、言語能力が未発達な時期だからこそ、
最も効率的に言語能力を育てる有効な期間と考えるべきなのです。

胎教、言葉がけの大切さを説いた本は何冊か出版されています。
少し古い本ですが、このジツコスセディックさんの本は、
この分野での先駆けとなったものです。

胎児はみんな天才だ―最新の胎内教育 “子宮対話”の驚異
胎児はみんな天才だ―最新の胎内教育 “子宮対話”の驚異
ジツコ スセディック

ジツコスセディックさん、天才児である子供さんたちとお会いしたことがあります。
見たところは本当に普通の感じでした。
ただひとつのことを信じ、それを徹底して行うというところがすごいのですね。

以前公文式の公文教育研究会に勤めていた時、国語力の大切さを実感したことがあります。

「幼児優秀児の集い」というイベントがあり、それに参加をしました。
公文で言う幼児優秀児とは、小学校入学前の幼児で、
すでに中学校以上の内容を学習している子供たちのことを指します。

プログラムの中に、子供たちがプリント学習する様子を
各部屋に分かれてを見学するという時間があったのですが、
数学ができる子供たちと国語ができる子供たちとでは、まったく様子が違うのです。

数学のできる子供たちは、プリントをやり始めるとものすごいスピードで鉛筆を走らせますが、
字は殴り書きのように乱雑で、集中力が続かず足をバタバタとさせ、
横にいるお母さんの袖を引っ張り、まだまだ幼稚園児といった感じです。

ところが国語の優秀児たちのいる部屋はまったく雰囲気が違います。
ただ黙々とプリントに取り組み、落ち着きがあり、プリントや鉛筆を扱う動作ひとつひとつが
丁寧で、数学優秀児たちと同じ年齢とは思えないほどです。

公文教育研究会の創始者で亡くなられた故公文公(とおる)前会長が
「数学は能力を高めるが、国語力は能力の幅を広げる。
 国語力がすべての学力の基礎である」

ということをよく言っておられましたが、そのとおりだと思います。

国語力のある子供たちは集中力があり、
学習習慣がしっかりと身に付いていることが多いものです。
また読解力があれば、だれから教わらなくても、
自ら進んで新しいことを学んでいくことができるようになるのです。

ある大学で、入学試験の科目別成績と、大学での成績との相関関係を調べました。
すると入試での国語の成績が、その後の大学在籍中の成績と
最も高い相関関係を持っているということが分かったのです。

強制されない自由な環境の中、深い思考が要求される学問を究めるには、
国語の力が最も必要だということです。


赤ちゃん、子供たちが大きくなれば、いずれたくさんの絵本や童話、
楽しい本を買うことになるでしょう。
それならば、早めにそれらを買い求め、周りの大人たちが読み聞かせをしてあげる方が
よっぽど価値が高まるというものです。

たくさん読み聞かせをしてもらい、本に親しんでいる子供は、
字が読めるようになると自ら本を読むようになるものです。

テレビゲーム、マンガ、情報過多の現代ですが、
その情報のほとんどは出来上がった形の受身のものです。

そんな中、ひとつひとつの文字を目で追い、そこから様々な人物や情景を思い浮かべる
「本」という読み物の意義は、ますます増してきているのです。


読み聞かせと同時に、日常の語りかけも大切です。

赤ちゃんを抱っこし、リンコを片手にとって、

    「○○ちゃん、これはリンゴって言うのよ。
     リンゴはね、赤くて丸くて、そのまま食べても、ジュースにして飲んでも
     とても美味しいの。
     ○○ちゃんも大きくなったらお母さんと一緒に食べようね〜」

こんな風に語りかけるのです。

まだお腹の中の胎児の場合、未だ名前知らずということで、
「未知ちゃん」という仮の名前を付けて語りかけをしておられるお母さんもおられました。
やっぱり名前があった方が感情込めてお話しやすいですからね。


親御さんの日常の言葉遣いも、子供の言語能力に大きな影響を与えます。

    「ご飯よ」、「お風呂に入りなさい」、「これやっといて」

両親が、短い単語を並べただけのような言葉を使う家庭の子供は、
国語の力が弱く、語彙が貧弱であるという調査結果がでています。

    「○○ちゃん、もう6時になったから、テレビを消して晩御飯を食べましょう」
    「もうそろそろお風呂が沸いた頃だから、○○ちゃん、先に入ってね」
    「廊下の隅っこに大きな荷物を置いたままだと邪魔になって危ないから、
     きちんといつも入れておく押入れの中に仕舞っておいてちょうだい」

理由、原因、結果、長い文節のきちんとした日本語、
日常のご両親の言葉遣いが子供の言語能力を育てるのです。


幼い頃から高い言語能力、国語力、読解力を育て、
集中力、学習習慣、ひいては正しい生活習慣を身に付けさせてあげること、
これが能力、学力面において、未来を生きる子供たちに対して
大人から贈ってあげられる最高の宝物だと思います。

つづきもあります。(予定)

2005.01.10 Monday




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