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2018年9月17日 ・・・ 水害<2>

昨日16日の日曜日、何度目かの被災地支援で坂町に行ってきました。
先に行った広島県の中で最も被害の大きかった小屋浦も坂町ですが、
今回は同じ坂町でも町の中心部、いくぶん被害の少ないところです。


被災した各地には、
それぞれボランティアの人たちを取りまとめるボランティアセンターがあり、
ボランテイア志望の人たちは、各自の車や公共交通手段、
あるいは団体でバスに乗って集まってきています。

自分が九州など遠くの被災地支援に行く時は、
いつも広島の社会福祉協議会(社協)が用意するバスに
乗っていくことにしています。
社協のバスは宿泊先、ボランティアセンター、
すべての目的地までバスに乗ったまま移動することができ、
通常の交通手段を利用し、自分で宿泊先を予約するよりも
割安で便利です。

今回の広島の水害も、
近所の同じ区内は自転車で行きましが、
坂町等少し離れたところには、
社協が用意してくれるボランティアバス(ボラバス)が
広島駅新幹線口から出ているので、
それに乗って被災地まで連れて行ってもらいました。


被災地のボランティアセンターに行くと、
まず最初にオリエンテーションということで、
手短に注意事項をお聞ききます。

一番強く言われるのは、、熱中症に注意し、
しっかりと休憩をすることです。
基本的には十分、十五分作業をすると、
同じ時間休憩するというのが原則です。

また作業は自分のできる範囲でやればよく、
決して無理をしないこと、
疲れたと思ったら途中でも随時休憩をすること、
できないことを頼まれたら無理せず断ること、
怪我には十分注意すること、
もし何かあったら必ず報告すること、
と、こういったことを言われます。

作業は土砂を扱う力仕事が主なので、
手袋、マスク、長靴といった装備が求められ、
水分補給のための水筒も必携です。

けれどどこの被災地に行ってもボランティアセンター
の備品は至れり尽くせりで、ほとんどのところで、
お茶、水、ジュース、スポーツ飲料などのペットボトル、
軍手、タオル、塩飴等のものが
無償で利用できるよう準備されています。


昨日行った坂町は被災した範囲が広いので、
まず最初に坂町のボランティアセンターに行き、
そこから小屋浦を含めた各地の集合場所へと向かいます。

昨日作業したのは、
坂町のボランティアセンターから徒歩で行けるところで、
いったんその地区の集合場所に行き、
そこで小さなグループに分かれ、
復旧作業の要望のある家へと案内してもらいました。

自分たちのグループは六名で、
土砂が床下浸水した古いお家の床下の泥を撤去する作業でした。

古い日本家屋の正面側は横に二間続きの和室で、
そこはすべて畳も床板もはがされいて、
床を支える木材の間から、古いお家なので、
基礎となる束石とその上に立つ短い柱が見えています。

その見えている部分の土砂はほとんどきれいに撤去されていて、
家の奥さんから、
その奥の部屋はフローリングで簡単に床板がはがせないので、
手前から奥の部屋の床下に潜り、
そこに溜まっている泥を撤去して欲しいとのことでした。

床下は、かがめば大人でも十分入ることのできる高さですが、
かなり窮屈で、そこで固まった泥を外に出すのは大変な作業です。
床下に潜って泥を出す人、それを土嚢袋に詰める人、
出た土嚢袋を外に運ぶ人、
六名それぞれ役割分担を決めて作業を行いました。

昨日はまあまあ好天に恵まれ、時折日差しが下りてきていましたが、
真夏の暑さとはまったく違います。
そんな中でもみんな汗だくになっていましたので、
たぶん一ヶ月、二ヶ月前だと全身ずぶ濡れになっていたと思います。

家の奥さんはそんな作業をする自分たちを気遣い、
恐縮に思うのか、しじゅう声をかけてくださり、
休憩のたびに氷水で冷やしたタオルを差し出してくださいます。
災害ボランテイアは肉体的にはしんどい作業ですが、
被災者の方の喜ばれる顔を見ると疲れが吹き飛びます。

そうして順調に作業をしていると、
地元地区の世話役の人が来られ、
「ボランティアの人は危険なので、
 床下作業はできないことになっているんです」
と、作業の中止を求められました。

たしかに床下は狭く、釘が出ている箇所もあり、
とても安全な作業とは言えません。
ですからこれは禁止事項となっているのでしょう、致し方ありません。

とは言え、言われてすぐに作業を途中で放り投げるわけにはいかず、
取りあえず奥で掘り返した泥だけでも、ということで、
お昼までの一時間余り、そのまま作業を続けました。

メンバーの中に遠く秋田から参加してくれた女性がいて、
彼女は家のことについていろいろ詳しいようで、
床下の泥を完全に撤去できなくても、
束石の上に乗る柱は湿気ていると腐りやすいとのことで、
柱回りをセメントコテできれいにしてくれました。

一番若いメンバーは18歳の高校生、
お父さんと親子での参加で、
彼が一番ドロドロになって活躍してくれました。
親子でボランテイアに参加というのは、最高の教育だと思います。


正午になり、まだ完全に泥を撤去することができなかったので、
少し後ろ髪を引かれる思いでその家を後にしました。
たぶん午後も目いっぱい作業ができていれば、
一通りキレイにできただろうにと思うと残念です。

後で地区の世話役の方が、
「あの奥さんには、床下の作業はできないと言っていたんですがね・・・」
と言っておられました。
ですから奥さんもそれは承知だったのでしょう、
けれどフローリングの床板をはがし、
業者に頼んで泥を出して整地をしてもらったら、
たぶん十万を超す金額が必要でしょう。

かと言って水気を含んだ泥が床下にあったままでは、
いつ家の土台が傾くか分かりません。
このたびは被災され、ずいぶんご苦労、ご不便があったことと思います。
そして金銭的にも出費を余儀なくされることがあったでしょう。
ですから無理は承知で、床下に潜る泥出しを依頼されたのだと思います。


前項で書いたように、被災地の復興にボランティアの力は欠かせません。
もしあなたの住む地域に台風が襲い、
家のガラスや照明が割れたり、車が傷付いたり水没したり、
または瓦が飛ばされたりしたら、
地元の市役所に無償で修理してくれと言いに行くでしょうか。

道路や公共施設の被害は、
国や自治体が責任を持って復旧する義務がありますが、
個人の被害については、個人の責任、費用で復旧していくことが原則です。

だからこそ、そこに手を差し伸べるボランテイアが求められます。
災害復旧ボランテイアが支援に行く先は、基本的に民地です。


現地に行って作業することだけがボランテイアではありません。
災害復旧支援の方法はたくさんあります。
コンビニなどに置いている募金箱に小銭を入れることも立派な支援です。

昨日は坂町の人たちがオリジナルTシャツを着ているのを見て、
自分も欲しくなって買い求めました。
一着千円、その内三百円が支援金になるそうです。
  <「がんばろう!!坂町」復興Tシャツの販売について>




作業が終わり、坂町のボランティアセンターまで戻りました。
途中歩いていると、たくさんの地元の人たちとすれ違い、
その多くの人たちが、自分たちがボランテイアだと気がつくと、
無言で頭を下げてくださいます。

ボランティアセンターでは、なんと親子丼の炊き出しがありました。
これは被災者の方にではなく、ボランティアの人たちへの炊き出しで、
これは初めての経験だったので驚きました。

空腹だったこともあり、とっても美味しい親子丼を二杯もいただきました。
配っている女性お二人に話を聞いてみたところ、
お二人とも広島の繁華街でお店をしているそうで、
お客さんたちからカンパを募り、それで食材を仕入れ、
こうして炊き出しをしているとのことでした。
ホント、素晴らしいですね。
今度のお店に行ってみます。

坂町のボランティアセンターは特に支援物資が豊富でした。
全国からたくさんの物資が坂町に届き、
被災された方たちだけではなく、
ボランティアの人に対しても様々なものを提供してくださっています。

各種飲料の他、アイスキャンディー、
手袋も軍手でだけではなく革手袋もあり、
電池で動く送風機、除菌用とかいうペンダント、マスク類、麦わら帽子、
冷却シート、新品のタオルや団扇も山ほどあり、
「団扇はインドに持っていくと喜ばれるんでよ」と言うと、
二十本ぐらい束にしてくださいました。

こういった物資の提供というのも、
被災した人、ボランティアをしようという人たちにとって
本当に有り難いものです。


ボランテイアをしていると、
形あるものないもの、たくさんのものを受け取り、経験させてもらいます。
そしてその喜びの思いを現地の人たちに返すというのが、
インドでも被災地でも公衆トイレでも、
ボランテイアに対する自分の思いの基本です。

被災復旧ボランティアの人間一人一人ができることは小さなものですが、
その思いが行動を通して、
被災者の方たちの心の支援につながればといつも願っています。

2018.9.17 Monday  
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