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2018年9月15日 ・・・ 水害

広島県を襲った豪雨災害から二ヶ月以上たった今も、
山陽本線をはじめとしたJR一部区間や道路は復旧しておらず、
多くの家屋を覆うように流れ込んだ土砂の撤去も
すべてが完了したわけではありません。

この間大阪に台風21号が上陸し、
北海道は大きな地震によって甚大な被害を受けました。
まるで荒ぶる神が日本列島に怒りを向けているかのようです。


地元広島に豪雨が襲った7月6日は茨城にいて、
その時の様子は分かりませんが、
被害が広範囲に広がっていて、
かなり広い地域に大量の雨が降ったものと思われます。

広島市は山と海に囲まれた三角州で土地は広くありません。
ですので山の麓や傾斜地にたくさんの家が建ち並び、
土砂崩れの危険性を抱えたところが数多くあります。
そしてそれは近隣の町や市も同様です。

今住んでいる家のすぐ近く、
同じ広島市南区に黄金山という山があり、
そのすそ野や少し上ったところは古い住宅地で、
道が狭く迷路のようになり、
家のすぐ裏が切り立った崖というところも少なくありません。

今回はそういったところが大きな被害に遭い、
家が流されたり、一階部分がほぼ土砂に埋まってしまったところもありました。
家のすぐ近くで起こった大きな災害を目の当たりにし、
人事ではない大きな衝撃を受けました。


広島市近辺で最も大きな被害を受けたのは、
広島市から呉市に向かう途中の海沿いにある坂町小屋浦というところです。
小屋浦も広島市中心部と同様海と山に挟まれた三角州で、
山間の谷から海に向かってなだらかな傾斜があり、
その中央に川が流れる扇形の土地が広がっています。



その川に大量の土砂と雨水が流れ込んで氾濫し、
山際の家だけではなく、
町全体が一階のほとんどすべてを覆い尽くすほどの
高さの土砂に埋もれてしまいました。

懇意にしている知り合いの一人もこの小屋浦に家があり、
土砂が一階180cmのところまでは入り、
車を廃車にしてしまいました。

これまで小屋浦の前を走る国道は何十回となく通りましたが、
今回初めて町の中に入り、土砂に埋もれた家々を目の当たりにし、
豪雨がもたらす被害の大きさというものを体で感じました。
これはニュース報道を見るだけではなかなか分からないものです。

ここ最近豪雨災害が多発し、日本人の意識も変わってきましたが、
これまでは大雨の警報が出てもその危険性を楽観視し、
避難が遅れ、被害が大きくなることがよくありました。

これは今アメリカ東海岸を襲っているハリケーン「フローレンス」
の恐ろしさを伝えるアメリカのテレビニュースです。
0:53あたりから映るCGによる水害映像が実にリアルで、
これを見ると避難の必要性がよく分かります。




水の力は巨大なものです。
それによって引き起こされる被害は甚大で、
復旧は容易なことではありません。
そしてそれにはどうしても無償のボランティアの力が必要です。

よくSNSやニュース報道のコメントに、
「復旧はボランテイアの力に頼るのではなく、
 国や自治体が率先して行うべきである」
といった書き込みを散見しますが、これはまったくの誤りです。

道路や河川、鉄道、公共施設といったところの復旧、
あるいは行方不明者の捜索は、
税金を使って国や自治体が行うべきだと思います。

けれど一般の家屋が大きな被害に遭った場合、
それをその家の家主、特に高齢者の方の場合、
自力で土砂やがれきを撤去することは実際問題不可能です。

そしてそれを一軒一軒公的な資金で業者を使って行っていくのは、
これもまた財政的に不可能であり、
どうしても善意のボランテイアの手を借りるしかありません。


熊本地震でも九州北部の水害、広島の豪雨災害でも、
ボランテイア志望の人は、
社会福祉協議会(社協)の人たちが窓口となっている
現地のボランティアセンターに行き、
どこの被災場所に行くかの指示を受けます。

ボランティアの人たちを懸命にお世話する社協のメンバーは、
地元の職員だけでは足りず、全国各地から応援に駆けつけています。
小屋浦でも沖縄の社協の方がおられ、
満面の笑みで走り回っておられました。

作業する被災場所は個人の家や庭、畑といったところで、
機械が入らない狭いところの土砂をスコップで掘り起こし、
土嚢に詰めたり、またそれを運んだり、
ほとんど手作業でしかできないようなことばかりです。

そしてそれを集積場に運んだ後は、
大きな重機でダンプに積み込んでしかるべき場所へ運んでいく、
これは専門の業者の仕事です。

このように、本来被災者個人で復旧すべきことをボランティアが手を貸し、
公共の場所や専門の業者でしか行えない作業は、
公的な資金を使って行うという流れになっています。


今は夏から秋への季節の変わり目だからか、
ここしばらく広島は雨の降る日が多く、
先週7日の金曜日も激しい夕立で、
近くで雷が落ちたのか、広島に来て二十数年、
ほんの数分間ですが、初めて停電を経験しました。

翌8日土曜日も朝から雨、
この日は午前中、月に一度の公衆トイレ掃除を行いました。
トイレ掃除の日に雨が降るのは珍しいことです。

公衆トイレを掃除している間、
乗ってきた自転車は雨ざらしになっていて、
その前かごにバッグを入れ、
濡れないように大きなビニール袋をかけていたのですが、
そのかけ方が悪かったのか、中のバッグが濡れてしまい、
入れていたiPad、WiFiルーター、モバイルバッテリー、
電子機器すべてが水に濡れて使えなくなってしまいました。

WiFiルーターは家でネットを見る時にも使っているので、
翌々日の月曜日に業者に連絡し、
代替品が届くまでの五日間、ネットなしで過ごさざるえませんでした。

ネットが見られなくなり、
自分がいかにネット依存症であるかがよく分かりました。
テレビを持っていないので、
ネットがないとニュースはもちろん、
天気予報もカープの試合結果も分かりません。
こんな頼りなく寂しい気持ちは、
中学生の時に深夜放送断ちをした時以来の気がします。

けれどお陰で新たな出会い、気づき、発見があり、
これはこれでよかったのかなという気になっています。

もっとも水によるこんなダメージは、
豪雨によって家屋に被害を受けた人たちの数百分の一程度です。

こんな程度でも、
『これでもって被災者の人の気持ちが少し理解できるようになった』
と感じるのは、
『人間は実際自分に降りかかったもの以外のことはよく分からない』
ということを表しているのだと思います。


今日のニュースで、いよいよ北海道の地震被災地も、
ボランテイアの受け入れが始まったと報じていました。

広島もまだまだ完全復旧にはボランティアの手が必要です。
自分もまた新たな気持ちで、被災地支援をしていきたいと考えています。

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2018.9.15 Saturday  
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