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物価

10日深夜、無事日本に戻ってきました。
戻ってくると同時にとても大きな出来事があり、
それに奔走したお陰で、
すぐに日本の感覚を取り戻すことができました。

住み慣れているということもあるのでしょうが、
やはり日本はすべてが整っていて、暮らしていくのがとても楽です。
日常生活で必要なことが見事にシステム化されていて、
無駄がなく、細かいところに気を配られていて、ひとつの理想の姿だと思います。

けれどそれに安住しすぎると、
人間の、生きる上での基本的能力や感覚が欠如していくように感じます。


今回訪れた上海でもプノンペンでも、
携帯電話はスマートフォン全盛です。
公共交通機関の中では、
ほとんどの人がスマホのディスプレイとにらめっこしていました。

日本に戻ってきて、広島空港から広島駅行きのリムジンバスに乗りました。
座席に着くと周りのほぼ全員がスマートフォンを手に取っています。
自分は今でもガラケー(フューチャーフォン)で通しているのですが、
これまでで初めて、ガラケーを使い続けていることに多少の羞恥心を覚えました。

けれど五感で感じ取る身の周りの情報に目を閉ざし、
スマホの画面に全員の意識が集中しているというのは異様な光景です。
そこからはたくさんのデジタル情報が入ってくるでしょうが、
最も大切であるはずの “今この時、この場所” の情報が見えなくなってしまいます。
これは命という観点からすると危機的状況とも言えます。

もっと正確に言葉を使うならば、
この危機的状況を危機と感じないこと自体が大いなる危機です。

文明とは一方向的なものであり、
利便性、多情報化に向かうことしかできません。
これは致し方のないことです。

けれどその文明の持つ危うさを感じ取り、
そのリスクと上手く付き合い、
そのリスクを極力回避しながら文明と関わることが、
文明の発達と人の喜びを結びつける必要条件であるにも関わらず、
現代人は、あたかも文明はすべてが絶対善であるかの如く考えてしまっています。

本来絶対善なるものは存在しません。
それを絶対と思ってしまうことがカルト(狂信的)であり、
現代人は文明カルトといっても言い過ぎではありません。


文明の発達によって人類にももたらされる幸福は明確であり、
それは一度味わうと手放すことのできない禁断の蜜のようなものです。

それに対して文明によって与えられる危機、弊害というものは、
普段は目にすることのできない裏の世界で緩慢に進行し、
気がついた時にはどう対処することもできなくなっています。
まさにゆでガエルの状態です。

文明の喜びにどっぷりと漬かりきっている時は、
今の自分がどういった状態であるかはよく分かりませんが、
日本の文明を後追いするカンボジアやインドなどの新興国に行くと、
文明の持つ蜜の味と毒の両方がよく分かります。

これから伸びゆく国の人たち、子どもたちの生き生きとした表情を見るたびに、
文明の先端を走りながらも、
その根底には素晴らしい民族性と文化を持つ日本が、
人類と文明の正しい関わり方のひな形を示すべき役割があると強く感じます。

日本は世界地図で見ると極めて小さな島国です。
その小国日本の製品が、カンボジアでもインドでも街中にあふれています。
それは日本人としてとても誇らしいことですが、
これからは文明の利器というモノだけではなく、
目に見えない幸せの形を、広く世界に対し示していく責務があると考えます。


カンボジアの経済は右肩上がりで、
新しい立派なビルが次々と建設されています。
今年度の経済成長率の予想は7.0%と好調で、
今後もこの傾向は続くものと思われます。



5年前2010年のデータですが、
カンボジアの一人当たりの年間平均所得は830ドル、
現在の円ドルの為替レート1ドル120円で計算すると、
一人当たり年間約10万円となります。

現在はこれよりもいくぶん向上しているでしょう。
また都市部と農村部での所得格差は大きなものがありますが、
いずれにせよ、日本と比べると十分の一以下といった程度と思われます。

それに対し、カンボジアの物価は安いとは思われません。
特に外国人がよく出入りするようなスーパーやコンビニ、
レストランに行くと、日本の価格水準とほとんど変わりなく、
ものによっては日本より高額な場合も多々あります。

カンボジアの人の話によると、
「カンボジアでは給料が安いので、みんな質素に暮らしている」
とのことです。


四年前にカンボジアに来た時には1ドル約80円、
今は120円ほどですので、
それだけでも物価が1.5倍になった感覚です。

四年前は地元アンコールビールがジョッキ一杯1ドルで、
昼間から景気よく飲んでいたのが強く印象に残っています。

今もビールの値段は変わりません。
一杯1ドルが0.75ドル、
そして昼間や夕方の混み合う時間にハッピータイムと称し、
一杯注文したらもう一杯無料というサービスが幅広く行われています。
つまりビールジョッキ二杯が1ドル、これは安いですね。

ちなみにカンボジアでは、通貨はアメリカのドル紙幣が主体となって使われていて、
その細かいものとして、セントではなく、
カンボジアの独自通貨であるリエルが用いられています。

リエルは4000リエルで1ドルに相当するということですが、
厳密に売り買いする時は、4100前後で取引されているようで、
ちょっとややこしくなっています。
コンビニでお釣りをもらう時も、店員がいちいち電卓で計算していました。

リエルは100リエル紙幣から、
ほとんど流通していない100000リエルまですべて紙幣です。
硬貨もあるそうですが、町中で見かけることはありません。




カンボジアで高いと思ったものはいくつもあります。

旅行中に爪が伸びたので、爪切りを買おうと思いました。
プノンペンには「パンダ」とか「スマイル」といったコンビニ風の店が何軒かありますが、
そこに入ると爪切りは大体2ドル弱の値段です。
日本では100円ショップで買えますので、
日本の二倍といったところでしょうか、もったいないので断念しました。
日本でもコンビニでは高価ですね。

飲み物も税金の関係でしょうか、
ビールは日本より安いものの、
ジュースはものによっては日本よりも高いものがあり、
日用品も、日本のものと同じ品質を求めると、
日本で買う以上の金額をださなければなりません。


プノンペンには昨年6月にイオンモールができました。
プノンペン市内に点在する古いスタイルのマーケットとは段違いに近代的で、
オープン当初はものすごい人でにぎわったそうです。



日本のイオンモールはどこも巨大ですが、
プノンペンのイオンモールはそれを少し小ぶりにした感じで、
スーパーがあり、専門店街があり、
専門店街の長い通路の中央は吹き抜けになっているそのスタイルは、
日本のイオンモールと変わりありません。



陳列の仕方も日本と同じでキチンと整った高級感あるものですが、
少し棚の高さが低く、同一面積当たりの商品点数は、
日本よりもいくぶん少なめのように感じました。

ここはカンボジアではかなり高級品を扱っている店に相当します。
服でも食料品でも、日本の価格と比べて決して安くありません。
カンボジア、特に首都プノンペンでは、
それだけ富裕層が増えてきていて、
イオンモールの建てられた場所は、
その富裕層が多く暮らす高級住宅地に隣接しています。

中でひとつひとつ価格を見ていきましたが、
醤油等の日本でも使われている調味料は、
日本の価格以上です。

日本のお寿司もパックに入って売られていました。
「イオンの寿司」(Japanese sushi)は少しネタが日本のものと異なり、
大きさもやや小ぶりで、価格は日本と同程度です。

安いと思って目に止まったのが茹でたトウモロコシです。
大きなものが二本入って0.95ドル、百円ちょっとでお買い得で、
これを買い、ホテルの部屋でかじりましたが、日本のものと同じく美味でした。
  (後日行ったら、店員さんがこれに50%オフのシールを貼っていました)

このトウモロコシ以外、特に安いと思ったものはありません。
フードコートで食事をしましたが、
ここで食べたカレーセットは70%オフの3.5ドルで多少お値打ち価格でした。




イオンモールには日本のテナントもたくさん入っています。
100円ショップダイソーもあり、店構えは日本の店とまったく同じで、
店内の商品もすべて日本と同じ、日本の店でも見かけたことのある
日本語表示のものばかりです。



日本と違うところは、店の前に常時警備員が立っているところ、
店内BGMがカンボジアの音楽だというところ、
そして最大の違いは価格です。
日本では一律税別100円ですが、
ここカンボジアのダイソーは、すべて1.9ドル、200円強で売られています。

カンボジアで日本の倍の価格、これにはとても驚きました。
カンボジアの物価、所得の感覚でいえば、
千円弱といった感じでしょうか。

それでも高い品質が保証され、
折り紙、鯉のぼり、鬼のお面等ここでしか手に入らない日本の商品もたくさんあり、
特にカンボジアに暮らす日本人にとっては有り難い存在なのでしょう。


大手家電量販店のノジマも入っていて、
日本と同様パソコン関連や白物家電がたくさん陳列されていましたが、
どれも日本よりも高価格のように感じます。

特に自分にとって身近なものとして、
プリンターやそのインクカートリッジが高額なのが印象的でした。
日本では、インクカートリッジは純正が高額なので、
いつも安価な互換品を店頭やネットで購入するのですが、
ノジマには純正品しか置いておらず、
それらがすべて10ドル以上、
大きなブラックインクでは20ドル以上のものもありました。

かように日本と同等のクオリティーライフを送ろうとすると、
日本にいる以上にお金が必要となりますが、
これはまだ高級品の需要が少なく、
物流に経費がかかるためと思われます。


とは言うものの、カンボジアでは、
庶民に欠かせないものの価格は日本と比べてかなり安価です。
当然そうでなければ生活していくことはできません。

カンボジアに着いた早々、
ひろしまハウスの前の通りで開いている露天の散髪屋さんで、
髪をカットしてもらいました。

まだ十代とおぼしくオニイサンに声をかけられ、
3ドルと言われたのを2ドルでカットしてもらいました。



けれどこのオニイサンあまり上手ではありません。
前髪は短くしてもらったものの、
横や後ろはまったくカットしてくれず、違和感を持ったまま数日過ごしました。

そこでひろしまハウスの管理人サカダーさんに相談し、
ひろしまハウスに勉強に来ている生徒のお父さんを紹介してもらい、
その方にカットしてもらうことにしました。
その方もひろしまハウスのあるウナローム寺院横の路上で開業しています。



この方のカットは上手でした。
カンボジアで二回目ということもあり、髪はかなり短めになりましたが、
日本に戻っても「さっぱりしたね♪」と評判上々です。
  (上の写真でカットされているのはカンボジアの方です)

代金は5000リエル、1.25ドル、約150円、
ダイソーの商品より安いのです。


カンボジアでもインドでも、庶民の行く雑多なマーケットが大好きです。
そういったところの食堂には、
英語のメニューなどといった気の利いたものはないのですが、
適当に指をさして注文しました。

食べたのはこんなもの、
鉄板の上で焼かれた白い肉まんかシュウマイ、春巻きに似たものです。





この白いのを焼いたものを二つ、それとアイスティーを頼み、
代金を払おうとすると「スリー」という言葉が耳に入ったので3ドル渡すと、
それは3000リエルのことだったらしく、
1ドル紙幣でお釣りをもらいました。

結構お腹がふくれてアイスティーまで飲んで100円弱とは安いですね。
外国人だからぼったくられるかと思うとそうでもなく、
さすがマーケット、ちょっと嬉しくなり、その店にいた小さな女の子に、
手持ちの日本製キャンディーをあげました。

コンビニでは、ビールのつまみになるナッツ類が日本と同じく、
小袋のもので1ドルちょっとするのですから、
庶民派の食べ物はやはり随分と安いということです。


プノンペンの街中では、お金を払って乗り物に乗ろうとすると、
バイクの後ろに客車をつけたトゥクトウクか、
バイクそのものの後部座席に乗せるモトドップ(バイクタクシー)がほとんどで、
通常の乗用車のタクシーや路線バスはほとんどありません。

そのほとんどない路線バスに今回は乗る機会がありました。
バスのに中には車掌さんがいて、その方から切符を買うのですが、
渋滞しまくったプノンペンの街を30分ほど走り、
代金は1500リエル、45円ほどでした。



行きのバスも帰りのバスも、
車内にハングル表記の看板や広告があったので、
たぶん韓国で使われていたバスの中古なのだと思われます。

この路線バスがもっともっと普及すれば、
プノンペン市内の慢性的渋滞も少しは緩和されるでしょう。
けれど違法駐車しまくりの道路でバスの乗り降りをするのはかなり大変です。


前項で紹介しましたが、
ホテルは街中の立地でも日本より割安です。
日本のビジネスホテルよりも広く、大きなダブルベッドと温水シャワー、冷房完備で
16ドル、2000円弱は安いでしょう。





便器や洗面器も清潔で、インドのように汚れまくっていることはありませんが、
蛍光灯が切れたり、エレベーターがストップしたり、
部屋の物理ロックが不十分だったり、
多少行き届かない面があるのは致し方ありません。

もし日本並みのサービスとクオリティーを求めるのであれば、
今年6月にオープンした東横インなどより高級なホテルに泊まるしかありません。



ここは日本のビジネスホテルと同じく部屋はあまり広くありませんが、
日本語での対応ができ、朝食無料、近隣地区への無料送迎があり、
日本と同等のサービスが受けられるものと思います。
価格はやはり日本並み、シングルが一泊39ドルです。


カンボジアは、伸びゆく国の勢いを感じます。
特に新しく出来つつある街並みやビルは、どれも目を見張るようなものばかりです。

富裕層が暮らす住宅地には、極めて豪華な邸宅が建ち並び、
そのエリアは高い塀に囲まれ、
そこに入るためには、入り口の検問を通らなければなりません。

建設中の高級ホテルも数多くあり、
たぶん外国人ビジネスマンが宿泊するものと思われますが、
経済成長とは、経済格差の拡大をも意味するのではないかと感じられます。

四年前と今年では、プノンペンの様子は大きく変わりました。
そしてその変容は、今後もまた続いていくであろうことが、
建設中の多くの建物から感じ取れました。


そんな中、日本がモノによる文明だけではなく、
カンボジア人の真の幸せに貢献できる心の文化を伝えられることを願うばかりです。

2015.9.16 Wednesday  

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