ヨガナンダ 心の時代のパイオニア
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ヨガナンダ



人生二度なし

人間の最も根源的な生命(いのち)である魂は永遠ですが、
それでもやはり今世与えられた肉体の死を迎えるのは恐いものです。
それは肉体的死は恐いものだという思いを意識に刻み込むことで、
今現在与えられている生をまっとうしようとする意図があるのだと考えます。

もし誰しもが永遠の魂を感じ、
あの世とこの世、その移り変わりを楽々と乗り越えられるとしたならば、
長い先を思い、つい今というこの時をおざなりにし、
懸命に生きることがなくなってしまうのではないかと感じます。

肉体的死は永遠の終わりではありませんが、
そう思うこと、そしてその思いに恐れを抱くことによって、
今の生に集中し、今世で何かを掴み取ろうと努力するのです。


過去の霊的偉人の中には、
自らの意志で肉体的死、輪廻をコントロールされた方が少数ですがおられます。

偉大な霊的哲人として知られる高橋信次先生は、
生前も今も多くの人たちを導いておられますが、
若くして亡くなられる少し前には、
霊界から「早くこっちに来て一緒に仕事をして欲しい」と、
矢のような催促を受けていたと語っておられます。

恥ずかしながらハンドルネームとしていただいている
パラマハンサ・ヨガナンダ師は、
ホテルでの晩餐会の後、多くの信者たちの前で宣言をし、
その場で瞑想状態のまま肉体を脱しました。

これがヨガナンダ入滅直前の写真です。
自らの意志で肉体を脱することをマハサマディと言いますが、
ヨガナンダはマハサマディによって肉体的死を迎えた後、
その遺体は死後数週間、腐敗の兆候をまったく見せなかったそうです。

自分は平成元年、初めての海外旅行でインドに行き、
飛行機を降り立った瞬間から魂の故郷に還ったような感覚を得ました。
その翌年、二度目の海外旅行でアメリカに行き、
最初に泊まったホテル、ロサンゼルスのビルトモアホテルが、
まさにヨガナンダが入滅した場所であったことを後で知りました。

このヨガナンダ入滅直前の写真を見ると、
己の魂の奥底を見るようで、胸が震えます。


このように、己の死と直接的に対峙し、
それをコントロールできる例は極めて稀です。
死とは通常突然訪れるものであり、
それにいくらかの恐れを感じながら、
日々与えられた生を全うしていくものです。

この世とあの世の境目が暗黒なのは、
あの世からこの世も同様のようで、
胎内記憶を持つ子どもたちに話を聞くと、
お母さんのお腹に入る時には暗いトンネルを通り、
そして胎内から外へと出る時は、
多くの場合多少の苦しみを感じるようです。

この世もあの世も、
今与えられている生に集中するということが、
魂の望んでいることなのでしょう。


自分の周りには偉大な教育者 森信三先生を信奉する方がたくさんおられ、
森先生の教えについて耳にする機会がよくあります。

森先生は道徳観念、倫理観の強い方で、
自らを律することを重んじられ、
その点が、倫理よりも自由きままな思いを尊ぶ自分とは考えが異なり、
正直言って、森信三先生の遺された著書を
真面目に読んだことはほとんどありません。

けれども自分とタイプが異なるがゆえ学ぶことが多く、
森先生の言葉を耳にするたびに、
その教えを自分にどの様に取り込んでいくのがいいのか真剣に考えます。

『教育の基本は立腰にあり』
これは森先生の最も有名な言葉のひとつですが、
これには自分も100%同意をし、
これこそが今の病める日本社会を改革する鍵だと信じています。

『人生二度なし』
これも森先生の言葉ですが、この言葉は正直耳に痛いです。
永遠の魂を感じ、計画なく自由に生きることを求める自分にとって、
今の生は通過点だとする考えが根強くあり、
このれは悪い面で捉えると逃げに通じ、
先延ばしにする言い訳になることが多いのです。

森先生が輪廻の思想をお持ちであったかどうかは分かりませんが、
『人生二度なし』とは、森先生流の、
今を真剣に、悔いなく生きろということなのだと感じます。

その今を真剣に生きるための具体的な指針として、
『一日は一生の縮図である』という言葉も遺しておられます。

魂の永遠性を感じることが悪いわけではありませんが、
それが今という唯一の現実から目を背ける原因になってはいけません。

永遠の生を信じ、なおかつ今この瞬間を真剣に生き抜く、
この両極の価値観を合わせ持つことが大切です。

そして今を生きている、その生を充実させるためには、
己の天命を知ることが大切です。
森先生は、
『人はこの世に生まれ落ちた瞬間、全員が天から封書をもらって生まれてくる。
その封書を開いたら、あなたはこういう生き方をしなさい、と書いてある。
しかし、せっかく天からもらった封書を一回も開かないままで死んでいく人が多い』
と語られ、その封書を開く時には、
開くための苦労、努力をしなければならないと述べられています。

己を振り返ってみると、インドとのご縁など、
十分に天命は何かを示してもらっているにも関わらず、
それを成就するための努力を怠り、いまだ成果を残せずにいます。


今はリオオリンピックの真っ最中ですが、
己の限界に挑み、その可能性を十分に花開かせた選手たちは、
その記録や勝敗に関わらず、多くの人たちに感動を与えています。

末期ガンだった工藤房美さんも、
「ありがとう」を真剣に十万回唱えたことによって、
自らの遺伝子が持つ可能性のスイッチをオンにして、
見事にガンを克服されました。

今に喜びを感じ、今を真剣に生き、
己の持つ可能性に挑み、天命を成就し、
眠れる遺伝子のスイッチをオンにする、
これが永遠の魂が望んでいることです。

『人生二度なし』
自由気ままで怠惰な自分だからこそ、
この言葉をしっかりと胸に置いて生きていきたいと考えています。

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二度とない人生だから

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二度とない人生だから
一輪の花にも
無限の愛をそそいでゆこう
一羽の鳥の声にも
無心の耳をかたむけてゆこう

二度とない人生だから
一匹のこおろぎでも
ふみころさないようこ
こころしてゆこう
どんなにかよろこぶことだろう

二度とない人生だから
一ぺんでも多く便りをしよう
返事は必ず書くことにしよう

二度とない人生だから
まず一番身近な者たちに
できるだけのことをしよう
貧しいけれど
こころ豊かに接してゆこう

二度とない人生だから
つゆくさのつゆにも
めぐりあいのふしぎを思い
足をとどめてみつめてゆこう

二度とない人生だから
のぼる日 しずむ日
まるい月 かけてゆく月
四季それぞれの星星の光にふれて
わがこころをあらいきよめてゆこう

二度とない人生だから
戦争のない世の実現に努力し
そういう詩を一篇でも多く作ってゆこう
わたしが死んだら
あとをついでくれる若い人たちのために
この大願を書きつづけてゆこう


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2016.8.18 Thurseday  
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