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ヨガナンダ



言葉の裏

ありがとう、この言霊の素晴らしさを説く人がいた。
その人と長く語り合った後、
その人は別れ言葉として、
手を振りながら大きな声で何度も「ありがとう」を繰り返した。

その人とまだ語り足りない気持ちが残っている時は、
その人の明るい笑顔、大きな「ありがとう」の声の響きが、
別れを告げるメッセージであり、一種拒絶の意味合いを含んでいるように感じ、
少しだけ寂しさを覚えた。


いつも笑顔で感謝の言葉を頻繁に口にする人がいた。
その人は笑顔と感謝の言葉で相手に感謝の気持ちが
十分に伝わっていると思うからなのか、
相手に行動で感謝を示すことがほとんどなかった。

感謝の言葉はとても有り難いものであり、
それを受け取って気分を害することは通常はあり得ない。
けれど本来ならば言葉とともに付随すべき行動が伴っていない場合、
笑顔や感謝の言葉は、
行動で示すべき感謝の心を持たないことへの誤魔化しのように思え、
残念ながら、不快な思いしか残さなかった。


どんなものにも絶対はあり得ない。
ありがとう、感謝しています、
この言葉に真の意味を付けるのは自分自身である。

元々関西人である自分もそういう面があるが、
関西では、わざと仏頂面をし、
おちょくるような言葉で相手に愛情を示すことがよくある。

褒め殺しという言葉を一時よく耳にした。
褒め殺しの褒め言葉の裏にあるのは悪意である。


言葉は大切である。
“叶う” とは、言葉を口に十回だすから叶うのであり、
常に口に出す言葉は自分の意識を刺激し、
それが自分自身を変えていく力となる。

普段口にする言葉、口ぐせによって人生が大きく変わると説く人がいて、
それはひとつの真実だと感じる。

けれど言葉がその人の行動、人生、運命をも左右するものであると同時に、
その人の行動、思いによって、
その人の口にする言葉の意味合いもまた変わってくる。

つまりどちらか一方に向かう関係ではなく、
言葉と行動、心は、互いに関連し、影響を与える関係であるということである。


人にはそれぞれに合ったスタイルというものがある。
高倉健のように寡黙な人もいれば、
明石家さんまのように常に口を動かし続けているような人もいる。

大切なのはその中でいかにバランスを取るかということ。
裏表があるというのはそのバランスが崩れているということ。

たくさんのきれいな言葉は使えなくても、
自分が出した言葉通りの生き方をし、
言葉と実際の行動、心とが歩調を合わせて歩んでいける、
そんな生き方がしたいと願っている。

2015.1.6 Tuesday  
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