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潜在意識に主語はない

潜在意識は無限の力を持っています。
人間の生き死にから人やものとの出合いまで、
身の回りで起こるすべてのことに、
潜在意識は大きな力でその根底を支配しています。

その偉大なる力を持つ潜在意識ですが、
潜在意識は、その思いの中に含まれる主語を判別することはできません。

“私はお金持ちになって幸せになりたい”
“けれどあの嫌いな人には不幸せになって悲しい思いをさせてやりたい”

こんなふうに願っても、
主語を判別できない潜在意識はその思いのすべてを
思いを掛けた者に降り注ぎ、
周りの人の幸せを祈る者には幸せを与え、
他人の不幸を願う者は自らが不幸になるように働くのです。

日本には、人を呪わば穴二つ、情けは人のためならず、
といったことわざが昔からありますが、
これらはその主語のない潜在意識の働きを示したものです。

潜在意識が働くこの時空の究極的根底は、
自他の区別がないすべてがひとつの世界であり、
それが故に、主語が存在し得ないのではないかと考えられます。

すべてはひとつ、自他を超えて思いはすべて自らに返ってくる、
これは人が幸せを築くための自然法則であり、
この時空が愛によって満たされている最高の証であると感じます。


今日ネットでタイガー・ウッズの言葉を見て、
その潜在意識の働きを思い出しました。

プロゴルファーであるタイガー・ウッズは、
大切な試合の時に、
対戦相手もナイスショットすることを願い、
相手のボールに「入れ!」と心の中で強く念じるそうです。

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これは簡単にできそうですが、
実際なかなかできるものではありません。

一日の中の特別な時間に瞑想をしたり、イメージトレーニングをし、
そこで明るい思考を持つことはできますが、
日常生活の中で、我欲、ねたみ、恨み、怒りを捨て、
周りの人の幸せを願うことはとても難しいものです。

『潜在意識に主語はない』、
言葉としてはとても簡単なものです。
概念としても理解することは難しくありません。
けれどこれを実行することは困難であり、
困難であるからこそ、とても大切なものであると言えます。

少し考えてみてください、
自分の心の中で、他人に対する否定的な思いを捨て、
みんながともに幸せになることを願えたならば、
それはどんなに素晴らしいことでしょう。
まるで地上の天国です。

それが自分だけではなく周りの人たちすべてに広がっていったなら、・・・
これが本当の意味でのアセンション(次元上昇)です。


前にも書いたことがあると思いますが、
潜在意識の大きな働きを自らが体験した、
人生の恥部とも言える出来事を披露いたします。
こんな馬鹿げた体験は、他の人に味わって欲しくありませんから ・・・ 。


今から三十年近く前のことです。
当時はまだ潜在意識の働きなどということは一般の方には知られていませんでした。
潜在意識という言葉自体ほとんど耳にすることがなく、
引き寄せの法則という言葉もまだ生まれていなかったと思います。

その頃潜在意識の働きを説いたものといえば、
青いブックカバーが目印となっている
ジョセフ・マーフィーの一連の書籍だけといった状態でした。

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当時まだ社会人になり立ての自分は、
このマーフィーの本を何冊も買い、
そこに書かれていることに深く得心し、
これでまるで自らが魔法の杖でも手に入れたかのように喜んでいたものです。

いろんな種類の瞑想をしました。
瞑想用の音楽テープを何本も買い、
それを聴きながらいろんなイメージをすることを楽しみました。

外に行く時は、行く予定の場所が黄金の光に満たされていることをイメージしたり、
知り合いと仲良く談笑していることを思い描いたり、
そのイメージとともに不思議な潜在意識の働きを数多く体験し、
ますますそのイメージトレーニングに対する熱は高まっていきました。

けれどすべてが順調なわけではありません。
ある時、後から考えると必然と思える大きな不幸を体験したのです。


ある雨の降る夜中、
一人ハンドルを握って市街地の道路を車で走っていました。
すると突然、横断禁止の標識のあるその真横から、
酔っ払った一人の男性がフラフラと道路に飛び出してきて、
「危ない!」と思う間もなく車と接触してしまいました。

幸い腕を骨折する程度ですんだのですが、
すぐに救急車を呼び、
救急車が来るまでの間、道路にうずくまるその男性の横でたたずみ、
本来は自分は現場に残らなければいけなかったのですが、
その男性とともに救急車で病院まで行き、
なんでこんな不幸が自分の元に降って湧いてきたのか、
そのことを何度も何度も自問自答しました。

暗澹たる気持でその不幸の理由を自らに問いかけ、
病院に着いて救急車から降り、
その目の前に広がる病院の景色を見てハッとしました。

その病院の建物、待合室、治療室、
今自分が目にしている景色は、
まさにほんの数ヶ月前、
自分の頭の中で思い描いていた景色そのものだったのです。


その数ヶ月前、東京に旅行に行き、
仲のいい友人と二人で楽しい時を過ごしました。
その友人はとても利発で行動的ですが、
口が悪いのが難点というか特徴です。

彼とともに夕食をとりながら、
その少し前に、酔っ払ってタクシー運転手に暴行を加え、
脳に重い障害を負わせた若手芸能人のことを笑い飛ばしました。

その時に脳の中でイメージした光景、
それが自らが事故を起し、
被害者とともに運ばれた病院の景色とまったく同じだったのです。


それから後、それまで何度も読み返したマーフィーの本を再び読み返しました。
そしてその中に書かれている『潜在意識に主語はない』という言葉を見つけ、
自分はこれまで本に書かれている文字すべに目を通しながら、
結局は自分にとって都合のいい文字にしか目を向けていなかったということを
痛感させられました。


人を呪わば穴二つ、
人への恨みはその人だけではなく、自にも降りかかってきて、
その人の墓穴とともに自らの墓穴もまた掘らなければならない。

情けは人のためならず
他人に情けをかけるのはその人のためだけではなく、
自分にもその幸徳が返ってくる。



タイガー・ウッズが対戦相手のボールに「入れ!」と願うように、
人の幸せを願える人間になりましょう。

周りの人のため、そして自分自身のために。

2013.5.28 Tuesday  
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