身体論的日本語教育
日本語、大和言葉、言霊(ことだま)、日本人としてのルーツに興味を持ち、
いろいろと研究をしてきました。

このたび外国人に日本語を教える若き日本語教師の方とご縁をいただき、
これを機会に日本語教育について少し考えてみました。

日本語は世界中の言語の中でも際立った特徴がいくつかあります。
そのひとつが「あいうえお」という母音をしっかりと発音し、
音声全般の周波数分布が、世界の言語の中でも最も低音域に属するということです。

「トマティスメソッド」の理論からすると、低音域は背骨下端、下半身の足腰に相当します。

日本人は元来農耕民族、足腰の強い、肚(はら)に力のこもった民族でした。
だからこそ、母音をしっかりと発音する日本語が生まれたものと推察されます。

その代わり、日本人は高音域の聴き取能力が劣っています。
日本語にはほとんど含まれていない微妙な子音、
英語の r と l 、p と f 等の差異が聴き取れないのです。

ですから日本人が英会話を学習する際には、
高音域の聴覚能力を鍛えることが有効な方法です。

そして逆に外国人が日本語会話能力を習得する際には、
低音域をはっきりと聴き取り、聴き分ける耳の能力が必要となってくるのです。

呼吸法や気功で肚、丹田(たんでん)を鍛えたり、
相撲取りのする「四股(しこ)」を踏むのもいい方法です。

演劇関係の方やアナウンサーがよくやっている
「ア・エ・イ・ウ・エ・オ・ア・オ」と
背筋を伸ばし、お腹から大声で母音を叫ぶのもいいと思います。

元来足腰が丈夫な日本人ではありますが、
最近の若者たちを見ていると、その傾向が大きく変わってきているのを感じます。

姿勢が悪く、持久力がない。
長時間立つことができずにすぐに座り込む。
足腰、下半身が急速に弱体化してきています。

背骨の最下端、尾てい骨のところに肛門があります。
肛門括約筋は、人体すべての筋肉の中で最も強い力を持っていて、
生きている限り常に強烈な力で締め続けています。

つまり足腰、下半身は「締める理」です。

これが弱くなった現代の若者たちの話し言葉は、
「あの〜、わたしは〜どっちかってゆうと〜・・・みたいなかんじ〜」
語尾がはっきりせず、まったくもって締まりがありません。
母音も明瞭に発音できていません。

姿勢が悪くなったのも、締める力が弱くなり、
背骨をまっすぐな状態に保つことができないのが原因です。

下半身の弱体化は、日本語、日本文化の崩壊に直結します。

身体論的日本語教育、まずは今の日本の若者たちに
実施しなければならないでしょう。



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