窓ぎわのトットちゃん
黒柳徹子(トットちゃん)の子供の頃を描き、日本国内だけで750万部出版され、
戦後最大のベストセラーとなった「窓ぎわのトットちゃん」を読まれた方は多いと思います。

トットちゃんが出版されたのはもう三十年も前、
当時大学生だった私は、通学電車の中で夢中になって読んだことを覚えています。
ですから私はトットちゃんのことを思い出すと、
大阪のJR(同時は国鉄)環状線、大阪駅のホームの景色が頭に浮かぶのです。

天真爛漫なトットちゃん、その明るさをそのまま受け入れてくれたともえ学園、
トットちゃんの本に描かれている楽しさあふれる学校生活での様子は、
まさに理想の教育のように映りました。


そのトットちゃんの物語が音楽になっていることを知ったのは、
たまたま見たテレビ番組からです。
当時放送されていた「音楽の広場」という
トットちゃんと芥川也寸志が司会をしていた音楽番組で、
組曲となった「窓ぎわのトットちゃん」が紹介されました。

なんという上質で柔らかい音の響き、
トットちゃんの語りの素晴らしさ、
そして音楽とマッチした心打つストーリーでしょうか。

あの感動のトットちゃんの物語が、
それぞれの情景に合わせた音楽、
トットちゃん自身による楽しい語りとともに構成されています。

たまたま聴いたトットちゃんの組曲でしたが、
私は一度聴いただけですっかり魅了されてしまい、
早速レコードを買い、それ以降繰り返し聴くこととなりました。


トットちゃんの音楽はコンサートとしても演奏され、
当時まだできて間もなかった大阪のクラッシック音楽専用ホール、
ザ・シンフォニックホールで行われたコンサートには、
一人でチケットを握りしめて聴きに行きました。

あまりに感動が深かったので、
いまだに当時(1982年)の新聞記事とチケットを保存しています。

音楽物語「窓ぎわのトットちゃん」コンサート案内 新聞記事

音楽物語「窓ぎわのトットちゃん」コンサートチケット

コンサートは楽しかったですね。
前座として、トットちゃんがあの有名なモーツァルトフルート四重奏曲第1番を
弦楽器のメンバーとともにフルートのパートを生声で口ずさんでくれました。



生で聴く「窓ぎわのトットちゃん」はもちろん最高です。
音楽として素晴らしいだけではなく、
何よりも聴いた後で心が豊かになるのが魅力です。

コンサートが終わった帰りの電車で、
同じコンサートを聴いた小さな女の子を連れた家族が向いの座席に座ったのですが、
そのほのぼのとした幸せな雰囲気が強く印象に残っています。

そのトットちゃんの組曲がYouTubeにアップされていないか探したのですが、
なにぶん古いものでありませんでした。
けれども奇跡的に(?)全17曲の組曲をダイジェストで聴けるページを見つけました。
聴いてみてください。
直接リンクを張るとうまくいきません。
このページ中ほどの「試聴するのボタンを押してください。」


大学生の頃はとにかく子ども好きで、
近所の子どもたちといつも一緒に遊んでいました。
自宅の三軒隣に幼稚園の女の子がいて、
いつもその子の家に行き、トッチャンのレコードをすり切れるぐらい聴いたものです。

このトットちゃんの組曲は大人が聴いても楽しいですが、
子どもさんにとっては、最高の情操教育に役立つものとなるでしょう。

その子の家では、このトットちゃんの組曲とアルプスの少女ハイジがお気に入りで、
この「おしえて」も繰り返し聴きました。
時には何人かで手をつないで輪になって踊ったりもしましたよ。 (^o^)v



YouTubeでたまたま見つけたのですが、
このアルプスの少女ハイジの「おしえて」のスペイン語バージョンも
味があっていいですね!



私はもうレコードやその再生装置を手放して久しいのですが、
最近再びトットちゃんの組曲を聴きたいという思いがわき上がってきて、
ライブ版の「窓ぎわのトットちゃん」を買ってしまいました。

ライブ版は臨場感があって、観客の笑い声なんかも聞こえ、
これはこれでいいですね。
子どもたちもたくさん会場で聴いているみたいですが、
もう29年前の録音ですので、みんないい大人になっているのでしょう。


いい音楽、いい物語はいつまで経ってもまったく色褪せることがありません。
あのトットちゃんの受けた伸びやかで自由な教育は、
逆に今の方がより一層輝きをもって感じられるほどです。

トットちゃんの持つ素直な明るさ、友だちを思う気持ち、
心を打つものはいつの時代も変わりません。

トットちゃんの語りの中で、特に深く心に残っているものがあります。
それは今でも大切にしている私の宝物です。


「きみは本当はいい子なんだよ」
トットちゃんの一生を決定したのかもしれないぐらい大切なこの言葉を、
トットちゃんがともえにいるあいだじゅう、小林(校長)先生は言い続けてくれたのだった。

    * * * * * * * * * * 

そんな時、「きみは本当はいい子なんだよ」って、
言ってくれた先生が、私にはいたの。
たった一人でもいい、そんな人がいたら、あなただって、誰だって、幸せになれるのに ・・・ 。


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2011.5.11 Wednesday



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