ヨガナンダ 心の時代のパイオニア
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ヨガナンダ


小学生の時、よく物を取られていた。
取っていたのはクラスのリーダー格の女子(Aとする)で、私が当時流行ってたキャラのグッズ(といっても鉛筆とか)を持っていると
「お前がそんなの持ってるなんて生意気!」
と強奪されていた。
私は当時目立たない上に口下手な子で、先生に言いつけるとかそういう行為が
できなかった。先生に言ったら叩くからね、とAに言われていたし。
しかしある日、誕生日に母が買ってくれたマスク入れの巾着を取られた。
これは強奪されたわけじゃなく、どうやら私が見てないところで盗られたようで、
Aが盗ったという事は翌日に判明した。
おそらく私は何も言えないと踏んでいたAが、それを堂々と使ってたから。
大事にしていたのでどうしても返して欲しくて、勇気を出してAに
「それ私のだよね、返して」
と言ったら「は!? あんたのの訳ないじゃん」と言い返されて突き飛ばされた。
そこに担任登場。とりあえずAと私は職員室に連れてかれた。
Aは勉強も運動もできて外面は良い子だったので、担任ははなからAが盗ったとは思ってなく
「(私)ちゃんは失くしたんじゃないの、Aちゃんがたまたま同じの持ってたんでしょ」
と私を疑った。
私は気弱で口下手な子だったので
「でも私の……」
と言ったまま口篭ってしまい、なぜか私が怒られる羽目に。
そこにたまたま来た校長が「どうしたんですか」と入ってきた。
担任はさも
「(私)ちゃんの勘違いでトラブルが起きた」
ように説明していたが、校長はその説明を聞いて、私の目線まで屈んで
「本当に失くしたんじゃないんだ?」
とやさしく聞いてきた。
私は「校長先生も私を疑っている!」と思って、悲しくなって
「失くしてないです」
と言いながら泣いてしまった。
そしたら校長は私をなでてくれて、担任に
「この子は普段あんまり自己主張しない子だけど、そんな子がここまで言うなら本当かもしれないよ?」
と言い、今度はAに向かって屈んで
「それは本当に君のなの?」
と言った。
とたんにAの目が泳ぎだした。
この校長、普段から私たちと話す時はじっと目を見つめてくる人で、今思うとこの人にだけは嘘を言えないような雰囲気を持った人でもあった。
Aは結局、下向いてぼそっと「ごめんなさい、盗りました……」と白状した。
担任はころっと態度変えてAを叱ろうとしたが、校長はそれを制して
「人のものを盗るのもいけないけど、嘘を吐くのはもっといけない事だ。
でもAさんは今、本当の事を言ってくれたね。僕はうれしいよ。
今度から人のものを盗っちゃだめだよ」
とAの目を見たまま穏やかに諭した。
翌日、私が登校するとAが来て、小さい紙袋を突きつけて「ごめん」とぼそっと言って去っていった。
紙袋には、私がいままで取られていたものが全部入っていた。
校長に感化されたんだろう。
今考えても、人間的にも教師的にもとてもいい校長だった。
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