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「病院の外に、健康な日を3日ください。
一週間とは欲ばりませんから。
ただの3日でよろしいから。
病院の外に 健康な日がいただきたい」
「一日目、私はとんで故郷(ふるさと)に帰りましょう。
そして、お爺(じい)ちゃんの肩を たたいてあげたい。
母と台所に立ちましょう。
父に熱燗(あつかん)を一本つけて、おいしいサラダを作って、
楽しい食卓を囲みましょう。
そのために一日がいただきたい」
「二日目、私はとんで あなたのところへ行きたい。
あなたと遊びたいなんていいません。
お部屋の掃除をしてあげて、
ワイシャツにアイロンをかけてあげて、
おいしい料理を作ってあげたいの。
そのかわり お別れの時、
優しくキスしてね」
「三日目、私は一人ぼっちで、思い出と遊びましょう。
そして、静かに一日が過ぎたら、
三日間の健康を ありがとうと、
笑って永遠の眠りにつくでしょう」
『若きいのちの日記』 大島みち子 著 より
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