スレッシュの息子のタンビが結婚し、マッタンダムというところでお嫁さんの実家の家業である印刷会社のマネージャーをしているので、そこを訪ねました。
マッタンダムは彼のお父さんたちの実家であるカニャクマリのマダラムドラからバスで一時間半ほどのところ、スレッシュのホームがある州都チェンナイまでは寝台バスで半日以上かかります。
マダラムドラはインド最南端コモリン岬まで自転車で30分ほどのところにあり、五年前のコロナのロックダウンで三か月半ほど過ごした思い出深いところです。
マダラムドラは正式なカタカナ表記ではありません。
タミル語の発音体系は日本語とはかなり異なるので苦労します。
タンビの奥さんとは初対面、まずはお昼ご飯をご馳走になりました。
いつもながらにインドの食事は食材のパワーに満ちた健康食です。
毎回これをおもてなしとしてたくさん食べることを勧められ、また美味しいのでついつい食が進みます。
インド人はみな少し見ない間に男女とも体重がコンスタントに増量している理由がよく分かります。
インド料理で一番の好物は、ベンガーヤンサラダ(玉ねぎとヨーグルトのサラダ)とチキンの組み合わせです。
タンビに事前にそのことを言っていたら、ちゃんと用意してくれていました。
有り難い限りです。(^^♪
マンゴーが熟すのはまだ少し先ですが、ハウス栽培のマンゴーも出してくれました。
とろけるような甘さは果物の王様と言っても過言ではないでしょう。
少し休憩した後に自宅の裏に回ると、ミツバチ小屋がいくつか並んでいるのが目に入りました。
こんな何気ない自然の営みが、ごくありふれた町中の風景として見られるのが南インドの素晴らしさです。
そのミツバチ小屋の少し先に印刷工場があり、ここは印刷されたものを手作業で製本するところです。
印刷物を決められた大きさにカットしたりミシン線を入れたりしています。
みなさんカメラを向けてもフレンドリーなのがいいですね。
彼女がミシン線を入れた用紙を見本で示してくれました。
タンビからは日本ではどうやってミシン線を入れるのか尋ねられ、日本のAmazonでミシン線を入れる器具のページを紹介して説明しました。
彼は日本の技術に興味があるようです。
インドには車やバイク、各種電気製品で日本の製品が数多くあり、日本は技術立国だという認識があるようで、少し誇らしい気持ちです。
日本の作業現場と比べるとオールドスタイルでかつ雑然としていますが、ここでキチンとミスなく作業できるのはさすがです。
こちらは印刷機のある作業場です。
この印刷機はリョービ製、日本、しかも広島の会社なので嬉しくなりました。
パソコンを使ってデザインするところも見せてもらいました。
何か印刷物を作ってくれるということなので、お気に入りの写真でシールを作ってもらうことにしました。
A3相当の大きな紙にシールが30枚印刷されて出てきました。
これを大きなステンレス定規を使って一枚ずつカットします。
早速スマホの裏に貼りました。
定型サイズに合わせるため、4:3から16:9にアスペクト比が変更されていますが、それもご愛敬でしょう。
この印刷工場に限らずインドと日本とは、ありとあらゆるところが異なっているので興味津々です。
印刷工場を見学させていただいて、タンビには感じた点をいくつか述べさせてもらいました。
印刷業界に詳しいわけではありませんので、あくまでも一般的な感想です。
ひとつは、日本では製本する際のホッチキスは、かなり分厚い冊子でも針の裏面がフラットになるようになっています。
これは用紙40枚までフラットに束ねることができるホッチキスです。
彼にそのことを伝えると、インドでもフラットクリンチのホッチキスはあるとのこと、インドでは、日本ほどそういった細かいことは気にしないのかもしれません。
二つ目は、どこの事務所や作業現場でもそうですが、パソコンのディスプレイが日本と比べて小さ目だということです。
今はディスプレイの価格が安いので、大きなものの方が作業効率がいいということを伝えました。
特にスペースに余裕があるのなら、画面を二つにするマルチディスプレイがお勧めです。
インドではパソコン環境が悪い中、よく作業をするなと感じることがよくあります。
埃まみれの部屋の中、パソコン本体が無造作に置かれ、画面を見るとセキュリティー期限の過ぎた古いWindows OSが動いているということがよくあります。
これもインド的にはノープロプレムなのでしょう。
三つめは、マウスが昔ながらのスリーボタンであるということです。
マウス左横に二つのボタンが付いた5ボタンのマウス、しかも手になじみやすい左右非対称のマウスを使うと、もう旧い形式のマウスには戻れません。
マウスはとても安価なものですが、それをいいものにするかどうかで作業効率は大きく異なります。
インドのAmazonで検索すると、5ボタンマウスが売られています。
タンビには、従業員の方たちに是非5ボタンマウスを使ってもらうよう勧めました。
さらに驚いたのは、後日インドで一番親しく世話をしてくれているスシルの家に行き、彼の使っているマウスを見た時のことです。
彼のマウスは5ボタンだったので、「やっぱり5ボタンが使い勝手がいいね」と話したところ、彼は5ボタンの横二つのボタンの使い方をまったく知らなかったのです。
インドと日本では常識とするところが大きく異なります。
それぞれが自国の文化であり、そこに過剰に侵入するのはよくありません。
けれど知恵として共有できるところは共有し合えばいいですね。
そんなことを感じたタンビの印刷会社訪問でした。
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