バレンタインデー、個人的には63歳で亡くなった父の命日である2月14日の早朝、広島の家を出ました。
今回は関空発16:55と遅い便なので、初めての当日広島出発です。
前回5年前はインド全土がコロナでロックダウン中の緊急帰国で、荷物の大部分はインドに置いたまま、身軽なバックパックひとつでの帰国となりました。
なので今回はキャリーバッグはなく大きなボストンバックに荷物を詰め、キャスターがないので広島市内の電停まで、神戸でのバスの乗り継ぎというちょっとした移動が大仕事でした。
今回利用する飛行機会社はキャセイパシフィック航空、香港の会社で香港経由です。
目的地南インドのタミルナド州州都チェンナイには日本からの直行便はなく、必ずどこかを経由しなければなりません。
まずは関空から香港に行き、香港からわずか一時間ちょっとの乗り継ぎ時間でチェンナイ行きに搭乗します。
キャセイパシフィック航空は香港から世界各地に便が出ていて、目的のチェンナイ便の搭乗口67番ゲートまではかなりの距離があり、その間ゲートを案内する表示は関空とは違ってほとんどありません。
やはり日本のホスピタリティーのきめ細やかさは世界最高峰です。
チェンナイ便の67番ゲートに着くと大勢の人たち、そのほとんどがインド人の人たちが搭乗手続きを待っていました。
その浅黒い彼らの顔はみな近しいインド人たちとよく似た風貌で、懐かしさとともに心が和みます。
チェンナイ行きは、先ほどの香港便と違ってかなり空席があってゆったりしています。
無事飛び立って一時間近く経つと、CAの人たちが機内食を配り始めました。
飛行中はこの機内食とお酒のサービスが一番の楽しみです。
これまで格安航空会社LCCは利用したことがないのですが、LCCは安い分だけ機内での無料飲食サービスがなく、座席間隔もすごく狭く、乗り継ぎが煩雑だったり、預け入れ荷物が有料だと聞いています。
今回のキャセイパシフィックは預け入れ荷物23キロまでOKで、荷物も自動で乗せ換えてくれるので安心です。
前項で書いたように、これで関空・チェンナイ往復8万円台前半というのはラッキーでした。
チェンナイ便で提供される機内食は香港便と容器、見た目はほぼ同じです。
けれどさすがはインド行きの便、中身の料理はインドテイストです。
その中の小さな容器のひとつにマンゴーチャツネが入っていました。
マンゴーチャツネって御存じですか?
食べたことがありますか?
本来は熟すととろけるように甘いマンゴーですが、その熟す前のマンゴーを塩や酢、各種香辛料と煮込んでかなり辛くてしょっぱい刺激的な味わいに仕上げたもので、インド料理に欠かせない添え物です。
これは日本料理に当てはめると、明らかに梅干しに相当するだろうといつも感じます。
それぐらいインド料理に欠かせないものであり、美味しいインド料理を象徴するインドのソウルフードです。
そのマンゴーチャツネを5年ぶりに口にして、身体の芯から反応が返ってきました。
美味しい・・・、身体が喜ぶ・・・、身体感覚を正確に言葉で表現することはできませんが、日本で食事をした際には感じ取ることのない身体の奥底からの反応にまずビックリです。
『日本の食事は亡国の食事である』
2008年、初めて南インドを訪ねた時にそう感じ、
『こんな食生活を続けていると日本人はダメになる』
そんな危機感を抱き、そのことを「南インドで学んだ喜びと幸せ」というレポートを書きました。
その時の思いは今もまったく変わっていません。
今アメリカはトランプが大統領となり、闇の勢力に大きなメスが入ろうとしています。
それと同調するかのように日本でも、偏向報道のオールドメディア、財務省、左傾化した自公連立政権等に大きな批判が集まっていて、国民の不満は臨界点を大きく超えています。
けれどよく言えば従順、悪く言えば飼い殺されたような日本人には、今の旧体制を切り崩すような革命的アクションをとることはできません。
これは世界で最も緩い規制の下、大量の化学物質、食品添加物を含んだ“死んだ食事”を摂らされ、日本人の持つ精神文化、身体文化が破壊されたことが大きな原因ではないのでしょうか。
そんな思いを、生きたマンゴーチャツネを口にし、身体の芯から湧き上がる刺激とともにメッセージとして受け取りました。
これが正しいかどうかは別にして、こんな考えや思いは、日本で日常を過ごしていては絶対に浮かびません。
現地のものを口にし、現地の感覚で“異国である日本”を思うからこそ浮かんでくることであり、この“体験”こそが旅の価値であり意味だと感じます。
これはインドに来るのが5年ぶりと期間が大きく開いていたから、また触れた直後だから強く感じたことでもあり、長期間慣れ親しんでから分かる本質というものもありますが、短期間、即時だからすべて新鮮で物珍しく感じ取ることができるという面もあります。
ものすごく古い半世紀以上前の話ですが、作家であり活動家の小田実の書いた世界22ヵ国を放浪した旅行記「何でも見てやろう」が当時大ベストセラーとなりました。
まだ海外旅行が庶民にとって一般的ではない時代、世界各地をごく短期間ずつ、湧き上がる旺盛な好奇心で見て取ったものだからこそ大勢の人の心を掴んだのでしょう。
久しぶりにインドの旅を体験し、今回はまず初めにこの体験の尊さを強く感じました。
これはトイレ掃除もしかりでしょうし、様々なことに当てはまります。
継続して行うことは善ではありますが、ただの一度でも体験することはまた人生の宝であり、それをいかに心に深く刻み込めるかです。
『何でも見てやろう』
この精神で生きたいものです。
今回も渡印十回目であることを忘れ、何でも見てやります!!
今はチェンナイ空港に迎えに来てくれたスシル宅に滞在してインド初日の朝を迎えています。
朝食はお米から作ったイディヤパム、やっぱりめちゃくちゃ美味しいです♪
美味しさが大きいのではなく深いのです。
これもやっぱり言葉で表現できないですね。
正直インド人になりたいと思えるほどです。
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