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2018年12月26日 ・・・ ボヘミアン・ラプソディ

今から四十年ちょっと前の70年代、
当時は高校生で、ハードロックをこよなく愛する少年でした。

その頃好きだったのはキッスやエアロスミス、
自分でエレキを弾いていた関係で、
バリバリと歪んだエレキサウンドが前面に出るハードでへビーな
ものが好みでした。

あれから半世紀近く経ちますが、
キッスやエアロスミスはまだ現役で活動しているという事実には
驚くばかりです。

彼らが初来日したのはその高校生だった頃で、
その両方のコンサートを大阪まで見に行ったのはいい思い出です。
両コンサートとも前座を務めたのは当時デビュー仕立てだったBOWWOWで、
リードギターの山本恭司は今も現役ですね。
何事も長続きするというのはすごいことです。

キッス、エアロスミス以外に好きだったのは
レッドツェッペリンやディープパープル、
どちらもやはりエレキサウンドが主体で、
自分たちでもコピーできそう、演奏できそうというのが、
親近感を抱き、感情移入できるポイントだったように
今振り返ると感じます。


クイーンも当時は日本で人気絶頂でしたが、
彼らの音楽はあまりにも芸術的で音楽センスが高く、
自ら演奏する立場からすると、
そこにのめり込むというよりも、
居住まいを正して観賞するといった雰囲気で、
ロックよりもややポピュラーよりといった印象を持っていました。

とは言えその人気は凄まじく、
当時数少ない、と言うか、ほとんど数えるほどしかなかった
ラジオのロック番組でDJをしていた評論家の渋谷陽一が、
大晦日に放送された視聴者投票によるロック特集番組で、
様々にジャンル分けしたすべてのところにクイーン票が集中し、
その対応に苦慮していたのをよく覚えています。


そのクイーン、特に91年エイズでこの世を去った
ボーカリストのフレディー・マーキュリーを主題とした映画
「ボヘミアン・ラブソディ」が高い評価だと知り、
昨日その映画を観に行ってきました。



フレディーが亡くなってから早27年、
当時はまだエイズに対する効果的な治療法が発見されておらず、
またLGBTというものが公に認められている現在とは違い、
当時は異性愛以外のセクシャリティーに対して
世間は今ほど寛容ではありませんでした。

その葛藤、メンバーや同性、異性の仲間たちとの交流や諍い、
そういった人間模様の中に彼ら自身の生の音楽が挿入され、
映画全体、怒濤の如く強烈なエネルギーが流れていました。

実際に行われたライブエイドを再現したラストの二十分間、
それ以外演奏も実際にクイーンが演奏したもので、
映画を観る前は、キャストが演じるドラマと
実際の演奏風景が入り交じって流れるのかと思っていましたが、
実際は演奏は本物のクイーンの音源でも、
映像の上では、ラストのエンドロール以外
すべて四人のキャストが演じたものでした。

この四人のキャストが、
クイーンの四人のメンバーと実によく似ていて、
そこに違和感を感じることなく、
実際のライブ映像以上に迫力とリアリティーをもって観られたのも、
この映画の大きなポイントです。


自分が感じたこの映画の最大の魅力は、
フレディー・マーキュリーの葛藤のドラマと、
クイーンのドラマチックな音楽性が実に見事なコラボを見せ、
相乗効果で映画全体を盛り上げているということです。

自分はロックファンですので、
クイーンやフレディーのことについては多少知識があります。
ですから映画の中でのドラマはとても身近に感じられます。

その上に乗るクイーンの楽曲、
映画の中にもありますが、
「ボヘミアン・ラプソディ」が収められているアルバムは
「オペラ座の夜」というタイトルです。



先の渋谷陽一はクイーンの音楽をこう評していました。
「彼らはひとつひとつの音のパーツを積み上げて立派な城を築いている」と。

その絢爛豪華な音で築き上げられたのがロックオペラ、
それに映像を加えたこの映画は、
クイーンでしか築くことのできないロックオペラの
ひとつの完成形と言えるでしょう。

フレディーの葛藤ドラマはたしかに心動かされるものではありますが、
もしこれが他のロックスターで、
キッス、エアロスミス、レッドツェッペリンやディープパープル、・・・
そのバックに流れる音楽が彼ら自身のものであったとしても、
きっと「ボヘミアン・ラブソディ」のような
大きなエネルギーを持つものとはならなかったでしょう。

フレディーの孤独と葛藤の物語は、
ドラマチックなクイーンの楽曲によって美しく彩られ、
また逆に、クイーンの名曲たちは、
この映画、フレディーの物語によって再び大きな光を得たのだと感じます。


この映画を観て感動した人の中には、
現役時代のクイーンをまったく知らない若者や、
その楽曲をほとんど聴いたことのなかった人も多く含まれると聞きました。
そしてクイーンの楽曲がこの映画を通して再評価されているとも・・・。

本当にいいものは時代を経ても通じます。
自分もこの映画を観て、
クイーンの音楽の持つ価値、
その聴き方というものをあらためて知りました。

何より映画館の大音量で聴くロックのビートには体の奥を揺り動かされます。
繰り返し映画館に足を運ぶ人が多いというのもうなづけます。
体で感じる(観じる)ロックオペラは快感です。


さらに自分に対する気づきとして、
感動を呼ぶドラマとは、
ひとつの同じ方向へと向かうものの集合体、
その一貫性、一途さによって生み出されるものだということを感じました。

クイーン、フレディー・マーキュリーのように、
そんな感動を呼ぶ生き方を目指していきます。



2018.12.26 Wednesday  
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