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2015年12月31日 ・・・ 今年心に深く残った言葉<2>

怒濤の如く時が流れ、
あっという間に今年も最後の一日となってしまいました。

年末は本当にたくさんのやることや行事があるのですが、
それもこれまでのことを整理し、新たな気持ちで新年を迎える準備です。
何より無病息災で年を越せることに喜びを感じます。


「これは誰の課題なのか?」

昨年大ベストセラーになったアドラー心理学を説いた「嫌われる勇気」は、
昨年から年を越して一年以上かけて読み、
胸に深い衝撃を受けました。

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え
岸見 一郎 古賀 史健

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アドラーの説く今、自分を中心とする「目的論」は、
ユングやフロイトの説く過去、身の周りからの影響を重んじる
「原因論」とは大きく異なり、
まるで刃のように胸に突き刺さり、
その考え方が大きな救いになると頭では分かっていても、
胸の内にある旧来の価値観がそれを受け入れることを痛みとして捉え、
そこに入っていくことを拒み続けました。

今という時、己にすべての因を求めるアドラーの考え方は、
厳しいけれどもそれが究極の真理であると心が反応します。
ですからページをめくるたびに
そこに書かれている文言に目を開かされるような思いをし、
その内容をもらさず捉えようと同じ箇所を何度も繰り返し読み、
ポイントとなる箇所にはすべてラインマーカーで線を引きました。

今もそのマーカーをした箇所を中心にランダムに読み返しているのですが、
たぶんこの本は、これからも何度も読み、
そのたびに新たな発見と自己の変化を感じさせてくれるものと信じます。

これまでも「嫌われる勇気」についてもっと詳しく書きたいと思っていたのですが、
まだ自分の頭の中ではアドラーの考え方が十分に整理されておらず、
具体的に感じたことを述べることができませんでした。

けれど今年心に深く残った言葉というものを考えた時、
アドラーから学んだ数々の知恵を抜きにすることはできません。


上の「これは誰の課題なのか?」というのは、
自己をしっかりと確立した上で、
自分と他者、それぞれの役割を明確に区分し、
他者の課題に土足で踏み込んではいけないとする教え、考え方です。

エニアグラムのタイプ2、
「愛を与える人」である自分は、
損得抜きで他人に親切にするのは得意ですが、
その親切心が時に度を超し、
他者の課題を自らの価値観で制御したいというお節介にまで発展することが
多々あります。

アドラーは人間の悩みのすべては対人関係から生ずるとまで
断言しているのですが、その対人関係について、

およそあらゆる対人関係のトラブルは、
他人の課題に土足で踏み込むこと ----
あるいは自分の課題に土足で踏み込まれること ----
によって引き起こされます。


と(著者は)述べています。

この言葉は胸に応えました。
そして目を開かされたように感じ、
これまで以上に自己をしっかりと確立することができ、
他者をコントロールしてまでお節介したいという欲求を抑え、他人の意志を尊重し、
他者の領域に介入することを自らの意志で押さえることができるようになりました。

これはこの本にアドラーの考え方が実に体系的に述べられていて、
それが深く腑に落ちたこと、
そしてこれまでも自分の性格の短所を克服したいと長い間願ってきたので、
それが臨界点に達していて、
アドラーがそこを越すひとつのキッカケになったこと、
このふたつだと感じます。


この他者を制御したいという制御欲求とともに、
自らを認めて欲しいという承認欲求もアドラーは明確に否定します。

自由とは他者から嫌われることである。

他人の評価を気にかけず、
他者から嫌われることを怖れず、
承認されないかもしれないというコストを支払わない限り、
自分の生き方を貫くことはできない。


自分の心の内を観るに、
この制御欲求と承認欲求はほぼ対の関係になっているように感じます。

心の中の制御欲求が少なくなってくると同時に、
他人に認められたいという承認欲求も勢いが衰えてくるのを感じました。

そしてそれが他者の価値観に影響を受けない『自己の確立』なのだと感じます。


制御欲求、承認欲求という概念はセドナメソッドにも出てきます。
セドナメソッドを長らく続けてきて、
最初の九つの感情、無気力、悲しみ、恐れ、渇望、怒り、誇り、
そして勇気、受容、平安、
これらを手放す感覚はよく分かるのですが、
それに続く四つの根本欲求、制御、承認、否認、安全、
これらの概念がどうしても実感として掴むことができませんでした。

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けれどアドラーと出合い、
己の内にある制御、欲求、二つの根本欲求を手放すキッカケを得て、
セドナメソッドで足踏みしていた解放の壁を乗り越える大きな力となりました。

これはアドラーとセドナメソッドがいい相互関係にあったのだと感じます。
互いに熟成し合う関係です。


自分の課題、他者の課題、とてもとてもいい言葉です。
「これは誰の課題なのか?」、このことをいつも頭に置き、
少し冷静、客観的になった他者との関係を楽しんでいる今日この頃です。


「すごい人」

毎月第二土曜日は、仲間たちと公衆トイレの掃除をしています。
そのつどメンバーの顔ぶれは変わるのですが、
ある時に撮った集合写真を長年の親友である尾道在住の石岡孝善さんに
お見せしたところ、
メンバーの一人である警察官の方を知っているとのことでした。
石岡さんも元警察官、以前同じ派出所で勤務していたそうです。

その警察官の方にそのことをお伝えすると、
当然その方も石岡さんのことをよく知っていて、とても懐かしがり、
「あの石岡さんはすごい人です。
 あの人が怒ったり感情を乱したりするところを一度も見たことがありません」
と語られました。

酒井伸雄 石岡孝善

本当にそうなんです。
石岡さんはいつもにこかやで人の悪口を言わず、
まるで菩薩かお地蔵様のような方です。

石岡さんと出会ったのは今から二十年ほど前、
21年前の広島アジア大会の時に警察官としてカンボジア選手団の警備に当たり、
その関係で、カンボジアから大臣が来日された際の懇親会で懇意になりました。

何事もハッキリと口にする自分と石岡さんは好対照な性格で、
石岡さんの方がほんの少し年上で、
こんな自分といつもにこやかに対応してくれています。

今は奥さんと一緒に尾道に住んでおられ、
奥様の経営する素敵な喫茶店にたびたび足を運び、
旧交を温めています。

石岡さんは自分にはない素晴らしい心の広さと穏やかさを持っています。
そのことを常々感じてはいたのですが、
石岡さんを評する「すごい人」という言葉を聞き、
あらためてその穏やかさこそが人間にとって最も大切な価値なのだということに
気づかされました。

事業に成功してお金をたくさん持っている人、
何か特別な能力に秀でている人も立派ですが、
今の自分にとっては石岡さんのような穏やかな人柄が最も光り輝いて映ります。

『心温かきは万能なり』
これは雀鬼桜井章一の言葉ですが、
これからも生涯この言葉を胸に置きたいと思います。
2016年、そしてその先も永遠に光輝く人生とするために。



2015.12.31 Thurseday  
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