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2013年10月25日 ・・・ 今に意識を向ける

食べ物をよく噛んで食べるようになったから、
その食べ物の味わいがより一層深く感じられるようになりました。
何度も噛みしめることによって食べ物本来の味を引き出し、
そこに意識を集中するのですから、
これは当然のことです。

けれど別段これまでとまったく違った味わいになるわけではありません。
ただ今まで意識せずに通り過ぎていたものに注意を向け、
気づかなかったものに気づくようになった、ただそれだけです。


食べ物をよく噛むことによって、
今という瞬間により意識がいくようになりました。
これはよく噛むから今に意識がいくようになったのではなく、
今という瞬間を深く感じられるようになったから、
食べ物をよく噛めるようになったのかもしれません。
たぶんそうでしょう。

何度も書いているように、
今年三度目の南インド訪問で子どもたちと深く触れ合えたことによって、
意識の持ち方が根底から変わりました。

自分の中の奥にある思いに目覚めることができ、
雑念がなくなり、
気持ちがぶれなくなり、
そして今という瞬間に意識がいき、それをより深く味わえるようになりました。

今という瞬間に意識を向け、それを深く味わうということは、
今ある状態をただ受け入れるということ、
それに対して評価をしないということです。

食べ物を口の中で噛んでいる時、
噛んでいるという行為そのもの、
そしてそこから感じられる味わいをただ受け入れるということ、
それがすべてです。

それが美味しいとか美味しくないとか、
もっと味付けをなんとかした方がいいとか、
そんなことは関係ありません。
それは二の次の問題です。

ただあるということ、ただ感じたことを受け入れるということ、
それを己の心のあり方とすることによって、
日々過ごすことがとても楽になりました。


今思うに、人の苦しみの大半は、
自分の身の回りの物事を比較したり評価したりするところから生まれるのだと
感じます。

日本人は幼い頃から周りから評価され、比較し、比較され、
それでもって自らを高めることを求め、求められてきたのですから、
多くの人がその苦しみの価値観から脱却することができないのは当然です。

高みに至ることは喜びではありますが、
その反面、そこには必ず葛藤や苦しみがついて回ります。
今の社会はその喜びや葛藤、苦しみを原動力として成長し続けてきたのですから、
これから人類が真の喜びを手に入れるには、
この社会の仕組みそのものを変えていかなければなりません。

そのひとつの大切なキーワードが手放すということです。
そして手放した結果、『足るを知る』という心境に至らなければなりません。


ここに書いていることは、
立派な哲学者や宗教家が述べたことを引用して書いているのではありません。
自らが経験し、感じた思いをストレートに表現しています。

聖人君子ではない自分がなぜこういった心境に至ることができたのか、
まだまだ真理を求める入り口ではありますが、
愚鈍な自分が得られたものは、
きっと他の人にも得ることができるものと信じています。

自分にとっての経験は宝です。
過去の経験があり、そこから学びがあり、
今の自分の考え方を築くことができました。

その経験をここに書くことにより、
読まれた方が何らかの気づきを得ていただければ幸いです。


命とは何でしょうか。
これは自らが求める最大のテーマです。

肉体を持った生命には限りがあります。
せいぜい長生きしても百年かそこらでしょう。
けれど人間は肉体生命だけの存在ではありません。
魂、あるいは霊という永遠不滅のものを有し、
それこそが生命の本源であると考えます。

自分は持って生まれた魂の特質として、
この永遠不滅の魂の存在にどうしても意識が向きます。
肉体という有限であり、かつ一過性のものに対し、
他の人よりも執着が薄いのです。

またそういった特質を持っているからでしょう、
これまで永遠不滅の魂の存在を何度も体感してきました。
ですから魂の存在は、自分の中では “信じる” というようなものではなく、
“知っている” というものです。

ひとつはは母が亡くなった時に、
人は誰しも光り輝く永遠の魂を持っているということを伝えてもらいました。
  <母の愛>

過去何度も体外離脱をし、
自らの肉体を外から眺め、魂というものを形として見せてもらったこともあります。

三十年ちょっと前に神前で神の道を歩むことを誓い、
自らの意志で宗教家にはならなかったものの、
宗教家ではない、
これからの時代の神の道を求める人生を必然として歩まされてきました。

そしてその時に同時に自らの寿命の半分を神に捧げたのですが、
その誓いが生きていることを示すかのように、
三年前、二度の死に目に遭いました。

その他普通の人の何倍もシンクロニシティー(共時性現象)や不思議な
出会いや導きをこれまで体験し、
そのたびに意識が有限の肉体ではなく、
永遠無限の魂へと向いていくようになっていったのです。


元々の頭脳は理科系人間ですので、
モノへのこだわりというのは人一倍深いのですが、
それが年齢を重ねるにつれ、そして最近は急激に、
様々なこだわりが消えていくようになりました。

魂や人の意識が導く目に見えない世界はまさにワンダーランドです。
その楽しさを知ったなら、
それはお酒やギャンブル、物質によって得られるものの比ではありません。
  (けどお酒は大好きです ・・・ )


それと大人になってから、離婚、日雇い人夫の底辺の仕事、
借金等過酷な体験を重ねてきましたので、
今普通に生きられるということに理屈抜きで喜びを感じられます。
これは “最低限こうでなくてはならない” という最低欲求レベルが低いということです。

そしてこのたびインドに行き、
きわめて質素な暮らしをするホームの子どもたちと楽しい触れ合いを持ち、
自らもその質素な暮らしから最も深い喜びを得ることができるという
確信を持つことができ、物質的不安の大部分が払拭されました。


もう今で十分に足りているだ、
今もうすでに幸せなんだ、
幸せは得るものではなく気づくものなんだ、
そのことを今回インドの可愛い子どもたちから感じ取らせてもらいました。

これは自分にとってひとつのタイミングだったのだと思います。
心の中に溜まっていて、表に出る寸前だったものを、
子どもたちの一押しによって開花させてもらったのだと感じます。

心の底から湧き出る思いは頭で考えるものではなく、
体で感じるものであり、理屈ではありません。
けれどあえてそこに至る心の軌跡を書けばこんな感じなのです。


言葉で言えば肉体的執着ということになるのでしょうか。
そういったものから自然と心が離れ、
以前と比べ心がとても淡泊になった気がします。

けれど不思議なもので、
だからといって欲がなくなったわけではありません。
欲や執着を持ちすぎると物事はうまくいきません。
かえってそれを手放した方が、より自由にモノとの関わりが持てるのです。

それを過去の経験から心の深い部分で知っていますので、
手放しながらも拒否するのではなく、
より自由に楽しく、これからよりいい関係が持てることを楽しみに、
ただ目の前に与えられたものを享受し、感謝し、
日々淡々とその瞬間、瞬間を生きています。


様々なものを手放し、今の瞬間に意識を向けられるということは、
過去でも未来でもない、唯一の現実である今というこの時を深く見つめ、
結果的にその現実をより深く掘り下げられるということです。
これは原因と結果の法則であり、例外はありません。

今に意識を向けられないから本質を見失い、迷いが生じます。
たくさんモノ、情報があり過ぎるから、
大切なものは何かが分からなくなってしまいます。

ものの価値は自分の内側にある。
外にあるモノと自分との関わりの中に価値はあるのだということを
何度も書いてきました。
自分の外に広がる百花繚乱の世界に楽園を求めようとするから迷い、
自信をなくし、いつまで経っても心の安定を得ることができません。

己の内、肉体でいえば体幹です。
ここに意識を向け、力がこもっているからブレのない美しい姿勢を保つことができます。
心の姿勢は身体の姿勢と一致します。

農耕民族である日本人は本来は下半身が丈夫であり、
美しい姿勢を保つことは最も得意としていたはずです。
けれど残念ながら今の日本人はまったく体ができておらず、
魂の抜け殻であるゾンビのような姿勢や表情をしています。。
これは大げさではなく、民族の存亡に関わる危機的状況です。

余分な価値観を手放し、今を深く見つめる、
食べものをよく噛んで味わう、
体幹に力をこめ、姿勢を正す、
これらはすべて同根であり、
どれもみなとても大切なことです。


今日は女子空手の型の演武を見ました。
体幹に力のこもった実に見事な演武です。
これぞ日本人が本来持っている素晴らしい生き方を体現したものであり、
日本人の誇りです。

彼女がそれを守り、海外の地でそれを伝えている姿を見て、
目頭が熱くなりました。
彼女の演武から、今を生きるという意味を感じ取ってください。



この空手の演武を見て、
ブラジル日系人のメリッサ・クニヨシちゃんの歌を
初めて聴いた時のことを思い出しました。

日本から見て地球の裏側、
日本語を話すことのできない幼い日系人メリッサちゃんから、
日本人の魂とは何かを伝えてもらいました。



大切なものは何かを感じ、今、この瞬間を見つめましょう。
それが喜びと感動を生むのです。

2013.10.25 Friday  
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