ヨガナンダ 心の時代のパイオニア
 ヨガナンダ > 日々の思い > 2013.2.26



ヨガナンダ



2013年2月26日 ・・・ 春一番

今年は二月に入ってすぐにものすごく暖かい日があり、
広島では2月2日に最高気温19度を記録しました。

「これで一気に春がやって来るのかな♪」
と少し嬉しい勘違いをしていたのですが、
それからなかなか暖かくならず、
2日が今年2月で最も高い気温の日となりそうです。


過去世インド人の自分にとって寒いのは苦手です。
ですから春に向かうこの時期は、とっても幸せを感じます。

スーパー銭湯の帰り道、
24時間営業の食料品売り場があるイオンによく立ち寄ります。
そこでは十日ほど前からキャンディーズの「もうすぐ春ですね」が頻繁に流れていて、
この曲を聞くと、
「ホント、もうすぐ春だよね♪ ハッピー♪」
という気分になるのです。
今年もこの曲を最初に耳にした時は、
思わず頬がゆるんでしまいました。



三十年近く前('76年3月1日発売)のこの曲が、
今も季節の風物詩のようにこの時期よく耳にするというのはすごいことです。

それとネットで検索して分かりましたが、
この曲のタイトルは「春一番」というのですね。
「もうすぐ春ですね」がタイトルかと勘違いしていました。


春とともに太陽の照りつける夏も大好きな季節です。
入道雲、夕立、蝉の鳴き声、・・・
子どもの頃は海やプールに行き、スイカやかき氷を食べ、
夏は喜びと活動をイメージさせる最高に楽しい季節です。

それが歳を取るに従って、
夏の楽しさよりも春のありがたみの方がより強く感じられるようになりました。
特に寒い冬に外での土木仕事を経験して以降は、
暖かな春の日差しに限りなく深い慈愛のようなものを感じます。

春は本当に素晴らしい季節です。
それはたぶん多くの人が同じように感じておられると思います。
けれど多くの人が感じても、それは全員ではないでしょう。
感じ方や好みは人様々です。


浅川マキという昭和の時代に活躍したアングラ歌手がいます。
九つ上の兄が彼女の歌が好きで、
中学校に入る前後ぐらいに兄の部屋で飽きるぐらい繰り返し彼女の歌を聴きました。

ボソボソと囁くように歌う暗い歌はあの頃の自分には大人の象徴のように思え、
子供心にも流行歌とは違った魅力を感じていました。

その浅川マキの歌に春という言葉が出てくる
「ふしあわせという名の猫」という歌があり、
いつも春になるとこの歌を思い出します。



今聴いても素晴らしい曲だと思います。
彼女の歌い方はもちろん、寺山修司の詞が秀逸です。

  このつぎ春が来たなら迎えに来ると言った
  あの人の嘘つき
  もう春なんか来やしない 来やしない

希望にあふれる春をこれだけ暗い感じで歌えるのはさすが浅川マキです。
けれど希望の対極には絶望や失望もあるのですから、
ここで歌われているのは春の持つ日の当たらない一面であるとも言えます。

大人になった今この歌を聴くと、
春の負の側面を明らかにしてくれることによって
春の彩りがより鮮やかになり、
まるでスイカやぜんざいに少量の塩を加えたように、
より春の喜びが増してくるような気がします。


昔とても好きだったしおらしい女性が、
「春になると、
 学生時代の友人たちと卒業で離ればなれになった時のことを思い出すので、
 私は春は嫌いです」
と言っていました。

その言葉を聞くまで、
春ははじまりと出会いの季節という思いしかなかったのですが、
彼女の言葉によって、
そのはじまりの前には、終わりと別れがあるという当たり前の事実に気が付きました。


数日前、数年前の殺人事件の容疑者として、
自宅から数百メートル離れたところに住む男性が逮捕されました。

そのニュースを耳にした時、
それがトイレ掃除で懇意にしている警察官が担当している事件だということが
すぐに分かりました。

たぶんその知り合いは、
今は取り調べや裏付け捜査で躍起になっていることと思われます。
その容疑者も、彼が本当に犯人かどうかは分かりませんが、
この近くの警察署に勾留され、どんな思いで日々過ごしているのでしょう。

春が好きか嫌いかとは関係なく、
そんなに離れていない距離の中で、
いろんな思いでこの春を迎える人がいるという現実があります。


春が希望と喜びの季節であるというのはひとつの見方です。
それを実際のものとするためには、そのための準備をしなければなりません。

今はものすごいスピードで時が流れ、
日々様々な出会いやドラマが生まれています。
それが本格的な春を迎える頃にはさらに加速していることでしょう。

出会いがあれば別れがあり、
はじまりがあれば終わりがあります。
新たに手に入るものがあれば、そのために先に何かを手放さなければなりません。

春になって新たな芽を出すには、
その前、冬の季節にしっかりと地中に根を張ることが必要です。

春は出発の時、出発は転換の時、
今は何と別れ、手放し、終えさせ、
そしてこれから何を始め、手に入れていくのか、
そのことを明るい希望とともに考えています。

2013.2.26 Tuesday  
ひとつ前へ ホームへ メニューへ 次へ
Link Free
Copyright 2010 Sakai Nobuo All right reserved.