広島のトンネル工事の現状視察<2>
昨日に引き続き、朝9時から
横浜から来られた横浜環状道路対策連絡協議会の4名の方たち、
越智秀二先生とともに二葉山に登ってきました。

二葉山の花崗岩を調べる

地質学の専門家である越智先生が二葉山の地質について詳しく解説してくださいました。

二葉山は硬い花崗(かこう)岩の多い地質ですが、
いたるところに節理と呼ばれる断層があります。

越智先生がハンマーで示しておられるところは、
きわめて大きな節理面です。

花崗岩の大きな節理面

もし二葉山の地下にトンネルが掘られたら、
こういったところからトンネルに向かって地下水が流れ、
地下水位が大きく低下するだろうとのことです。

仏舎利塔の段差を一段上り、
少し上から皆さんの記念写真を撮りました。

二葉山から望む瀬戸内の絶景

二葉山は、この仏舎利塔の辺りが一番景色が楽しめます。
今日は視界もよく、瀬戸内海、宮島をハッキリと望むことができました。

二葉山は、お尻のところが少し凹んだドングリのなるシリブカガシの大群生地で、
その広さは7ヘクタール、日本最大、たぶん世界でも最大です。

シリブカガシ

二葉山の斜面には、大きな木が倒れ、
土砂崩れの起きたところが何ヶ所かあります。

二葉山の土砂崩れ

二葉山は標高139メートルと低い山ですが独立峰で、
もしトンネルができて水が地下に流れてしまったら、
どこからも水の供給を受けることができません。

水が枯れたら山の植物も立ち枯れするものが多くなり、
地盤がゆるみ、さらに地崩れの危険性が増し、
台風や大雨の時に、近隣住宅に甚大な土砂災害が及ぶ危険性が増すことは、
容易に想像できます。

途中から二葉山を守る会小畑朝子事務局長も加わり、
山のいろんな植生を見て回りました。

二葉山散策

昨日の馬木、中山、牛田地区視察、テレビ取材、
そして今日の二葉山見学、
二日間の充実した日程で、横浜の方たちも満足していただいたご様子でした。

二葉山散策

横浜の一行を広島駅にお見送りし、
越智先生と二人で馬木に向かいました。
今日は先日提出した福木トンネル住宅被害に関する質問書への回答を
広島高速道路公社が持ってきてくれる日です。

福木トンネル地盤沈下被害対策協議会の世話人を務められている那須さんのお宅に
公社側が11時に回答書を持ってくる予定だったのですが、
今朝ほど建設中の広島高速2号線の工事で事故があったらしく、
予定より2時間遅れの午後1時に公社の方たち3名がやって来られました。

馬木 那須さん宅

昨日に続いて今日もTSSが取材に入っています。

公社からの回答書は文面こそ丁寧ですが、
相変わらずの責任回避で、これでは実際に大きな被害にあわれた方たちが
到底納得できるものではありません。

・事前に地盤沈下を予測することは不可能であった。
・すでに地盤沈下は止まっており、土地の地耐力も低下していない。
・土地、住宅基礎部分についての被害認定は、詳しく調査をしてから。
・被害補償はあくまでも個別で。


公社側は一貫してこういった姿勢を崩してはいません。
先月初めの公社主催の住民説明会では、土地、基礎部分の補償は一切しない、
と明言していたのですから、
それを調査するという方向にいっただけても少しは前進と言えるかもしれません。

ただ工事の振動で壁にヒビが入った程度ならそれを補修すれば済むことでしょうが、
家が傾き、基礎、構造体である梁に損傷を受けた住宅は、
建て替えしかないと思うのが一般的な常識ですが、
公社側の示す“内部基準”から導き出された補償内容というのは、
これから大きくかけ離れたものです。

いつ倒壊するか分からない住宅に暮らす人たちが、
安心した夜を迎えられるのは、いつの日になるでしょうか。

公社も、公社側で考えた方法で、
各被害住宅の土地、基礎部分を調査するとのことですので、
その結果がどうでるか、今からしっかりと見守っていきたいと思います。

決して安易な妥協をせず、弱い立場の住民の方たち一致団結をして、
ひとつひとつの事実を積み重ねていくしかありません。

これは補償ではなく賠償なのですから。

TSSの取材を受ける公社の小田課長

不安げなOさん

2007.8.10 Friday


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