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<イングリッシュ・ミディアム>
三つのホームの中で、チェンナイは唯一英語で授業をする
イングリッシュ・ミディアムに通う子どもたちがいます。
学校はホームのすぐ隣にあり、
子ともたちは歩いて学校に通います。
彼らがイングリッシュ・ミディアムに通う男の子たち、
元気いっぱいの中にも、少し洗練されたスマートさを感じます。
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この子たちはイングリッシュ・ミディアムの女の子たち、
やはりちょっと垢抜けた印象を持ち、はじめは親しくなるのに少し時間がかかりました。
けどみんなとっても気さくな子どもたちです。
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最近はインド全土でイングリッシュ・ミディアムが増えてきました。
学費は地元言語の学校よりもかかりますが、
将来的にいい仕事に就くためには、
英語ができる方が有利です。
けれど英語化が進むということは、
地元文化の衰退にも繋がり、
ここタミルナド州でも、イングリッシュ・ミディアムに通う小さな子どもの中には、
タミル語で年齢を尋ねても答えられない子どもがいるそうです。
イングリッシュ・ミディアムに通う子どもたち、
またそこを卒業したインド人たちの英語はほぼ完全にネイティブです。
英字新聞や英語の雑誌を読み、
ハリウッド映画ももちろんそのまま観ています。
インドは多言語国家であり、インド人の言語能力は、
日本人の比ではありません。
インドは指定言語とされる公用語が22あり、
各地方で話される言語に基づく学校があります。
昨年訪ねたタミルナド州の北西に隣接するカルナータカ州では、
州の公用語であるカンナダ語で授業をするカンナダ・ミディアムとともに、
英語を使うイングリッシュ・ミディアム、
そしてムスリム(イスラム教徒)の多い土地柄を反映し、
イスラム国家パキスタンの公用語であり、
ムスリムが主に使うウルドゥー語で授業を行うウルドゥー・ミディアム、
この三種類の学校が小さな町や村に混在していました。
このようなことはほぼ単一民族てあり、
小さな島国の日本では考えられません。
世界の広さ、生活様式の多様さを、ここインドにいて強く感じます。
これはカルナータカ州のムスリムの子どもたちが通う
ウルドゥー・ミディアムです。
女の子たちがみな黒いベールを被っています。
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<兄弟・姉妹>
ホームには、兄弟・姉妹が何組もいます。
この三姉妹はホームのあるマライマライナガールの町に家があり、
時折お父さんの運転するバイクに乗って家に帰っています。
体格がきれいな等比数列関係だったので、斜めに写真を撮ってみました。
![](img/09/image22.jpg)
セルビィーとシンドゥーも気立てが良くて仲のいい姉妹です。
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ホームを巣立っていった子どもたちを含めれば、
他にも兄弟・姉妹たちがたくさんいるのですが、残念ながら写真がありません。
この二人は姉と弟、トリチーのホームにいます。
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ホームの中ではみなとても仲がいいのと同じく、
兄弟・姉妹の絆にも、日本人以上に深いものを感じます。
<スシル>
カニャクマリで出会い、日本語の話せるスシルはチェンナイに住んでいるので、
彼に連絡を取って会うことにしました。
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スシルは日本企業クボタに勤めていて、
その立派な物流倉庫に案内してもらいました。
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クボタは日本の農機具のメーカーです。
日本語を話し、勤勉で正義感の強いスシルは、
きっと大きな働きをしているのだと思います。
クボタを見学した後、奥さんと子どもさん、
そして義理の弟さんとともに暮らすスシルの家に連れて行ってもらいました。
二階建てでとてもきれいな広い家は日本円で家賃三万円台です。
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スシル一家とともに夜の浜辺に出かけました。
浜辺は遊園地のようになっていて、いろんな遊具が設置され、
夜店が立ち並んでいます。
スシルの奥さんは笑顔が素敵で魅力的な方、
女の子の赤ちゃんはとても人なつっこく、
一緒にたくさん遊んでもらいました。
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これはトウモロコシを焼いている店です。
風で火花が飛び散っていますが、塩味が効いてとても美味でした。
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浜辺にはメリーゴーランドとか小さな観覧車があるのですが、
どれもすべて人力で動かしているのに驚きました。
インド人の逞しさには圧倒されます。
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これは射的、インド人は大人もしっかりいろんな遊びを楽しみます。
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インド人はほとんどお酒を飲まないし、パチンコもないので、
こういったものが健全な遊びなのでしょう。
スシルはとても真面目で正義感の強い人間です。
また日曜日には必ず教会に通う敬虔なクリスチャンであり、
話の端々に、
「神様のお陰で ・・・ 」
という言葉を加え、神への感謝を表します。
彼の家で、以前参加し入賞した日本語スピーチコンテストのビデオを
見せてもらいました。
彼の話すテーマは『汚職』です。
いかにインドに汚職が蔓延し、それを払拭するにはどうすればいいのか、
懸命に日本語で訴えていました。
彼の望みは貧しいインドの人々を救済すること、
その社会活動を生涯の仕事とすることです。
日本ではどんな社会活動があるのか、それをインドで活かすにはどうすればいいのか、
そのことを何度も詳しく尋ねられました。
彼はその後どうしても社会活動をしたいがため、
クボタを退職してしまいました。
今はまだ将来の具体的方向性は見い出せずにいるようですが、
何とか彼に協力したいと考えています。
<ヒンディー結婚式>
インドの結婚式は原則参加自由であり、
インド人に連れられて、もう二十回以上は婚礼関係の式に参加したと思います。
キリスト教もプロテスタントとカトリック、
そしてインドの民俗宗教であるヒンドゥー教、
そう言えば、たぶんイスラム教の結婚式にはまだ参加したことがありません。
スレッシュに連れられて、ヒンドゥー教の大きな結婚式に参加しました。
全体的な様式は、宗教が異なっても変わりありません。
広い会場には大音量の音楽が流れ、そこに大勢の人が座り、
式の進行を見守り、新郎新婦のいる壇上に上り、お祝いを渡し、記念写真を撮り、
その後食堂でご馳走をいただきます。
今回の結婚式はかなり大規模なもので、
音楽もバンドによるポップス調の生演奏が延々と続けられました。
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その中で、混雑した向こう側で行われている婚礼儀式の様子が
何台かの大きなモニターに映し出されています。
子どもたちは無料で振る舞われるお菓子やポップコーンに夢中です。
![](img/09/image31.jpg)
テーブルに載った皿には、色砂できれいな模様が描かれています。
たぶんヒンドゥー教的に意味のあるものなのだと思われます。
お皿をひとつずつ新郎新婦のところに持っていき、
中央のロウソク(お香?)に火を点し、そこから湧き上がる煙を二人にかけていました。
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とにかくインドの結婚式はどこも派手で賑やかです。
日本のようにしっとりとした感動を呼ぶ場面はほとんどありませんが、
これは明るい国民性と、出入り自由というオープンな様式がゆえと思われます。
結婚式は縁起物、何度も参加させていただいてとても有り難く思います。
<ノージャパン>
チェンナイでは、上記のようにスシルの家に行ったり、結婚式に参加したりもしましたが、
それ以外はほとんどホームにいて、観光に出かけることもありませんでした。
何度も繰り返しますが、子どもたちと過ごすホームでの日常が、
自分にとって何ものにも代え難い至福の時です。
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これも何度も繰り返しますが、
子どもたちからは「ノージャパン、オンリーインディア」
“日本に帰るな、インドにずっといてくれ” と何度も言われました。
どこのホームに行ってもそこから離れがたく、
トリチーのホームでは、
子どもたちは「ノーチェンナイ」と言い、
“チェンナイのホームに行かずにずっとトリチーにいて” と言ってくれます。
そしてそのことをチェンナイで話すと、
「ノー、ノートリチー、オンリーチェンナイ」と子どもたちは言い、
チェンナイにずっといることを望みます。
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これを苦しみとまでは言いませんが、
有限の肉体を持つ自分にとっては辛いものです。
そしてやはりこの辛さから逃れるためには、
どう考えても、自分自身が子どもたちの幸せに真に貢献できる人間になるしかありません。
『自分探し』という言葉がありますが、
自分にとってインドを旅し、可愛い子どもたちと接するのは、
人間の生き方の原点を見つめ、
自分の持つ真の可能性を引き出すキッカケを与えてくれるものに他なりません。
何度もインドを訪ねるに従い、
インドの子どもたちの幸せのベクトルと、
自分の幸せのベクトルとがほとんど同一と感じられるようになりました。
そう感じられるものと出合える、これ自体がとても幸せなことです。
人生最高の友であり、また師でもあるインドの子どもたちとの交流は、
これからも続きます。
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