インド・スリランカの旅
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3月2日  ラーメーシュワラム





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我が心のインド




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堅い床に敷いたシーツの上に横たわり、
足のかゆみと戦いながらいつ果てるとも知れぬ長き夜の終わりを待っていると、
まるで時間が止まり永遠の時が流れているかのように感じられます。

そんな長い時間を過ごしていると、
突如外の寺院から例の大音量の音楽が流れはじめました。
時計を見るとまだ午前4時、いくらインドでも起きるには早すぎる時間です。

あのすっとんきょうな音楽でも、眠ることのできない私にとっては、
爽やかに夜明けを告げるニワトリの鳴き声のように
とても心地よく ・・・ とまではいかないまでも、
何か救いのメッセージでもあるかのように響きます。

けれどもその音楽も10分ほどで鳴り止み、
再び重苦しい静寂の闇が訪れてきました。
あの音楽は一体何の意味があったのでしょう ・・・ ?

音楽は止まったものの、もう間もなく夜が明けることは間違いありません。
外にはボチボチと人の歩く姿が目に入るようになりました。
そうこうしていると、外のゲートの鍵が誰かの手によって開けられ、
暇をもてあましている私は早速外に飛び出し、通りをうろうろと歩いてみました。

巡礼の人でしょうか、寺院に出入りしたり、
寺院の横のお店では何人かがティーを飲んだりしています。
とはいえまだまだ人影はまばら、ほとんどの店や家は扉を閉ざし、
町が目を覚ますにはまだまだ時間がかかりそうです。

いったん施設に戻って ・・・ と再びゲートを開けて中に入ろうとしましたが、
な、なんとゲートが閉まっているではありませんか。 (☆o☆)
中ではまだみんな寝静まっているので大きな声を上げるわけにはいきません。
なぜさっきはゲートが開けられていたのか?
そしてなぜ再び閉ざされたのか?
まったくもってインドの習慣というかシステムは不可解です。

仕方がないので入り口の石段に腰を下ろして時が過ぎるのを待ちました。
待つこと20分、ぐらいだと思うのですが、
施設の中で動いている人が目についたので声をかけ、
無事鍵を開けて中に入れてもらいました。

その後しばらくしてみんながのそのそと起き出し、
撮った写真が昨日の日記の最後にも載せたコレです。

ラーメーシュワラム ヴァッララールの施設の朝

この写真を見ると長かったあの夜を思い出し、
万感の思いがわき上がってきます。ホント~に。

スギルタンが「あ~よく寝た!」という感じてシーツの上に腰を下ろしていますが、
このたくましさの百分の一でも分けてもらいたいです。

子どもたちも起きると早速教科書を開いて勉強をはじめました。
特に学習机といったものはありません。

ラーメーシュワラムの子どもたち

こんな環境でよくきちんとした生活習慣を保ち、
堅い床に座って教科書を集中して読むことができるものだととにかく感心しました。


スギルタンにいいところを案内してやろうと言われ、
寺院の横を通り10分ほど歩いて海岸まで連れて行ってもらいました。

ここラーメーシュワラムは南インド有数のヒンズーの聖地で、
毎朝たくさんの人たちが沐浴をしています。
人だけではなく牛もいます。

ラーメーシュワラムで沐浴する人たち

ちょうど夜明けを迎える頃で厳かな空気の中、
男性も女性も、若い人もお年寄りも、みなそれぞれが祈りを捧げています。

インドで沐浴というとベナレス(バラナシ)のガンジス川が有名ですが、
あそこを流れる川の水は動物の死骸、火葬されたあとの灰、様々な汚物、
それに最近は化学物質も加わったかなりの汚染度ですが、
ここラーメーシュワラムは海ですのでとても清浄な雰囲気がして
外国人の私からするとこちらの方がはるかにいいように思うのですが、どうでしょうか ・・・?

ラーメーシュワラムで沐浴する人たち

ここの海は西に面していて、この沖合にスリランカがあります。
’85年ごろまではここからスリランカに渡る船が出ていたそうですが、
現在はスリランカの政情不安のため航行中止となっています。

沐浴をする海岸沿いには当然お店が何軒か並んでいるのですが、
そのごちゃごちゃとした生け垣のようなところで、
なぜか朝っぱらから猫が交尾をしていました。 w(☆o☆)w

それを見た一人のバーサンが真剣に怒った顔をして
猫にものをぶつけていましたが、猫にとってもいい迷惑です。 (^◇^;)

沐浴を見学して帰る頃には人通りも多くなっていました。

ラーメーシュワラムの町

帰る道の途中、建物の中に小さな象を発見、
うろうろと何度も何度も同じ動作を繰り返していました。

インド象

今回の旅で象を見るのは三回目です。
可愛い子象は祭事にでもかり出されるのでしょうか。

施設に戻り二階に上ると寺院の様子がよく見えます。
夜はカラフルなイルミネーションが美しかった塔ですが、
昼間は真っ白な殺伐とした感じで、そのコントラストが印象的です。

ラーマナタスワーミ寺院

この寺院はラーマナタスワーミ寺院という名前ですが、
ヒンズー教の寺院は様式がどこもよく似ています。
上の写真のような台形の塔が四方に立ち、それらを大きな外壁、回廊が取り囲んでいます。

子どもも二階にくっついてきました。

純真無垢な子どもたち

インドの子どもはみな明るくて可愛くて人なつっこいです。

床に座って朝食タイムです。
普通の家や施設では通常食器はステンレスのものを使いますが、
ここは外の食堂のようにバナナの葉っぱが使われていました。
ただしリサイクル品で、少し年季が入っています。

質素だけれども美味しい朝食

メニューはどこでもほぼ同じようなものです。
ご飯や小麦を原料とした主食にスパイスのきいたソースをかけて食べます。
味はどこで食べたものでもまずいと思ったことは一度もありませんでした。
これがインド人たちの元気の源です。

子どもたちの奥に見えるのがこの施設の “ご神体” であるろうそくの炎です。

ヴァッララールの炎と子どもたち

男の子たちは体を動かすことが大好きで、
カンフーのまねをしては喜んでいます。

私が中学生だった頃はブルース・リーが流行っていたので、
ハイキックでどこまで足が高く上がるかを友達同士競い合いました。
誰かが手のひらを空中にかざし、それをめがけてキックします。

ここの子どもたちにもそれを試させてみたのですが、
みんな大喜び、助走をつけながら懸命に足をふりあげ大騒ぎしていました。

カンフー好きな子どもたち

学校の教科書を見せてもらいいろんな質問をしたり、
私の持っているタミル語の本から話題を振ったり、
ここの子どもたちもカンニャークマリのホームの子どもたちと同じく、
こっちが一言何かを聞くと十言ぐらいになって返ってきます。

体力もあり好奇心旺盛で、まさに心身ともに元気いっぱいなインドの子どもたちです。
日本の子どもたちも昔はこんなんだったのでしょうね。

この絵の方がこの施設で奉られているヒンズーの聖者ヴァッララールです。
すらっとした細身で少し中性的な印象を持ちました。

炎の聖者ヴァッララール

形ある像ではなく万物の根源として炎を信奉するということに
とらわれのない信仰の本質を見たようでとても魅力を感じます。

施設から100メートルほど離れたところに車が駐車してあり、
帰りはそこまで歩いていったのですが、
その駐車場まで元気のいい男の子が三人くっついてきてくれて、
最後の最後まで手を振り別れを惜しんでくれました。

ほんの数時間の交流ですが、こうして心を傾けてくれることは、
私にとってどんな立派な観光施設を見学したりご馳走を食べることよりも
いつまでも深く心に残る楽しい思い出となります。
ラーメーシュワラムの子どもたち、どうもありがとう!


車は昨夜通った道を引き返しますが、
昨夜は真っ暗闇でしたので、目に入る外の景色はすべて新鮮に映ります。

昨夜少しアップダウンのある道を通ったと思ったのですが、
それはどうやら橋だったようです。

ラーメーシュワラムの橋

紺碧の海峡を貫く一本の長い橋、
周りの景色はまるでリゾート地のように美しいものです。

橋からの眺めは南国の楽園

自動車の通る橋と平行して北側に一本の鉄道の線路が走っています。
その線路の途中に写真のような開閉式のゲートがありました。

開架式の鉄道橋

専門用語でなんと呼ぶのでしょうか。
大きな船がここを通る時、ゲートの中央が上に持ち上がるようになっています。
これは珍しいですね。
日本にも自動車道で同様の開架式のものは見たことがありますが、
鉄道の線路では初めてです。
たぶん日本にはないのではないでしょうか。

こんな素敵な橋、しかも有料の橋ですが、
日本と違うところは景色を眺めるため途中で車を自由に停めてもいいというところ、
日本の瀬戸大橋で途中勝手に車を停めれば道路交通法違反で捕まってしまいます。

しかも橋の歩道部分には物売りのおじさんたちがたくさんいて、
お菓子なんかを売っているところがいかにもインド的です。

インドの物売りの人たち

美しい橋からの景色をしばらく眺め再び車を走らせました。
そうすると突然スギルタンが大きな声で
「列車が来た!」と叫び、車を急停車させ外に飛び出しました。

紺碧の海を走るインドの列車

波のない真っ青な海に伸びる一本の線路の上を、
ブルートレインのような車体が汽笛を鳴らしながら通り過ぎていきます。
素晴らしい景色に出合い言葉を失いました。

インドの近郊列車は列車の出入り口の扉が開放されたままになっています。
そこから、あるいは窓から身を乗り出すようにして外を見ている人たちが
こちらに向かって大きく手を振ってくれます。
こちらも手を振ってそれに応え、ほんの一時の無言の交流です。 ヾ(´ー`)ノ

海上をまっすぐに走る長い線路

橋を渡ってしばらく走った村にあるヴァッララールの寺院に立ち寄りました。
厳かで立派な建物の中中央部分にろうそくの炎が灯されています。

ヴァッララールの寺院

こちらでしばらくお茶を飲んだりのんびりと時を過ごしました。

ヴァッララールの寺院の庭

やはり昨夜一睡もしていないので少々体がバテ気味です。

この後マドライを経由しインド最南端カンニャークマリに向けて車はひた走りました。
カンニャークマリのホームには日が暮れる少し前に到着しました。
この夜はシャワーを浴び、夕食をいただいたらそのままバタンキューです。

やっぱりカンニャークマリはいいところです。
たくさんの子どもたちのいるこのホームを、私はすっかり自分の家のように思ってしまってます。
スギルタンや奥さんに
「子どもたちが可愛いので日本に帰りたくない」
と話をすると、
「毎年10ヶ月日本にいて、2ヶ月インドに来るといい」
と話してくださいました。
ありがたいです。
ホント、そうしたいですね。

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