インド・スリランカの旅
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2月24日  スリーパーダ





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jまだ真っ暗な午前4時前にベットを抜け、身支度を整え、
石谷上人を筆頭にお上人さん4人、木村庵主さん、私と石谷さん、
信者さんの男性1人を加えた計8名で4時15分道場を出発しました。
目指すはスリーパーダの頂上、ご来光を頂上で拝むことが目標です。

頂上まで続く参道はすべて石畳で整備され、
道を照らす灯りもずっと途絶えることなく続いています。
懐中電灯はまったくいりません。
手にはもちろん団扇太鼓を握り、全員でお題目を唱えながら登ります。

しばらく登ったところに小さな滝があり、石谷上人と若いお上人さん、
二人で滝に打たれておられました。
私はただ見守るだけ、気合いの入り方が違います。

滝行されるお上人さん

太鼓を叩き、大きな声でお題目を唱えながら参道を登るのは本当に苦しいものです。
朝早く起きて寝不足なので、サンダル履きだから、 ・・・
理由はいろいろと考えられますが、条件はみな同じです。
ともかくこんなに苦しい山登りは初めてでした。

石谷上人はリズムよくお題目を唱えながら歩を進めて行かれます。
そのピッチはコンスタントに速く、
登りはじめて早々にお二人のお上人さんが隊列から脱落されました。

私もお題目を大きな声で唱えていたのは最初の十分の一ぐらい、
それ以降は声を出す余裕がまったくありません。
最後の方は、太鼓を叩くことすらできませんでした。
『ただ付いていく』これだけが目標でした。

石谷上人は頂上まで大きな声でお題目を唱え続けておられ、
まさに超人、鉄人です ・・・。
御年65歳、考えられません。

私もこのホームページで山登り、サイクリングの記録を書いているように、
脚力にはかなり自信があります。
山でも登るスピードで人に負けたことはありません。
けれども今日はだめです。完全に石谷上人に負けました。

木村庵主さんもか細い体で石谷上人に必死になって付いて行かれました。
お題目の声も中間地点ぐらいまでは聞えていたので、
私よりだいぶ勝っておられます。
後で、「何度も途中で脱落しそうだった」と言われてましたが、
本当に見事でした。

これは体力だけの問題ではないと思います。
気力、根性、精神力、 ・・・
もっと端的に言うならば、信仰の持つすさまじいまでの力ではないかと思います。

石谷上人は、これまで平和行進で全世界を太鼓を叩きながら、
たぶん何万キロという距離を歩いてこられたと思います。
暑い中、寒い中、雨の中、また真冬の北海道での吹雪の中、
そしてここスリランカでは銃で撃たれ横塚上人が亡くなった後は、
スリランカ政府の反対する中、完全に死を覚悟して歩かれました。

その覚悟たるや並のものではありません。
人間の持つ秘められた力を見せつけられた気がします。


頂上付近まで行くと大混雑で、ほとんど前に進むことができなくなりました。
ご覧のような状態です。

スリーパーダ頂上を目指す巡礼者たち

頂上の下2~300メートル手前になると、もう完全に停止状態で、
頂上で参拝をすます人の順番待ちのような形になりました。

けれどもそこはお上人さんたち、一種の特権階級のような扱いで、
登る人と下る人の通路を分ける中央の手すりの左側、
すいている下り専用通路を
お太鼓を叩きお題目を唱えながらスイスイと登って行かれます。

袈裟を着たお坊さんならそれは許されるのでしょうか。
まったく進むことのない登り通路にいる人で、それをとがめる人は誰一人いません。
私も遅れるわけに行きません。
( お上人さんたちの仲間だということをアピールするために )必死に太鼓を叩き、
お上人さんたちに付いていきました。

頂上付近で一時停滞したので、
頂上に着いた時にはもうすでに太陽が昇りはじめていました。
頂上はあふれにばかりの人、人、人 ・・・、まったく身動きの取れないような状態です。

スリーパーダ頂上は巡礼者でいっぱい

気温は、日本でいえば朝早い初夏の避暑地といった感じですが、
激しい運動をしてきた後なので肌寒さは感じません。
お寺の鐘が鳴り、風で旗がたなびく中、ついに到着したという達成感とともに
少し霞がかった麓の美しい景色を望むのは最高の気分です。
大げさに言うならば、一種の宗教的恍惚感に近いものかもしれません。

頂上のいわば “ご神体” のようなものがあるところが、
すべての巡礼者が目指すところです。
普通はそこで順番に参拝をすると、すぐに通り過ぎなければいけないのですが、
私たち一行はその真後ろに座り、しばらくお題目を唱えさせていただきました。

スリーパーダ頂上でお題目

白い布を顔にかぶっているのがスリーパーダのお寺のお坊さんで、
お釈迦様の足跡があるとされるそのところに、額をつけて拝むよう、
巡礼者の頭を手で下げさせていました。
仏様の足跡があるところ、だから仏足山です。

仏足山の仏足跡

たくさんの巡礼者が目の前を通り過ぎていくのをただ眺めるのは、
有り難いような申し訳ないような、何とも複雑な気持ちになります。

ここには大きな看板があり『写真・ビデオ撮影禁止』と英語で書かれていましたが、
お坊さんは私がカメラを構えているのを横目で見ても何も言われません。

こんな特別な体験をさせていただける自分のことを、
現実感のない不思議な気持ちで見つめていました。


朝日が昇る逆方向には先の尖ったスリーパーダの山影がクッキリと写っています。

スリーパーダの山影

道場でいただいた絵ハガキの写真は飛行機から撮ったもので、
スリーパーダの頂上の様子がよく分ります。

スリーパーダの絵ハガキ

私たち一行が案内とともにお寺の中に入ると、
美味しそうな朝食が用意されていました。

スリーパーダ頂上でいただいた朝食

疲れ切った体で食べる温かい食事は、体の隅々にまで染み渡るようです。
言葉で表現できないような安堵感とともに朝食をいただきました。


朝食を食べて山を下りる時も、まだ長い巡礼者の列は、
果てしなく下の方まで続いていました。

スリーパーダ山頂に続く巡礼者の列

明るくなり、気持ちの余裕もできた帰路は、
ゆっくりと素晴らしい麓の景色を楽しむことができます。

スリーパーダ頂上付近から麓を望む

スリーパーダはものすごい山の奥深い所にあります。
昔の巡礼者はさぞ苦労してここまで来られたことでしょう。


道場に戻ると、しばしの休憩の後は明日の法要の準備を手伝いました。
細かい作業がたくさんあります。
石谷上人は祭壇に飾るお花を生けておられました。

花を生ける石谷上人

「日本山妙法寺の坊さんは、土木工事から花の手入れまで
 何でも自分でやらなきゃいけないんですよ」
石谷上人は微笑みながら話しておられました。

たしかに! けどそれってホントすごいことですよね。
日本山妙法寺の一行としばらく一緒にいるので感覚が麻痺していますが、
こんな命がけの宗教家集団というのは、ちょっと他にはないのではないでしょうか。


私は三日ぶりに洗濯をしました。
バケツに水と洗剤を入れ、洗濯物を手や足でゴシゴシ、ギュッギュッとかき回します。
インドもスリランカも気候がいいので洗濯物がすぐに乾きます。

木に干された洗濯物

散歩がてら道場や仏舎利塔の周りを歩き、
何かお手伝いできることがないか探しました。

スリランカの人とほうき

掃除を少しお手伝いしましたが、
スリランカの柄の付いたほうきは楽ですね。
ちょっぴり感動し、またそんなことで感動する自分に驚きを感じました。
もう気分はすっかりインド人です。 (^∧^)

仏舎利塔の周りにも旗が一列取り付けられています。
後でここの飾り付けもお手伝いさせていただきました。

スリーパーダの仏舎利塔

待ち遠しかったティータイム、石谷さんと手前はサンカランコービルで一緒だった大西さんです。

石谷さんと大西さん

彼は私たちより早くスリランカに入り、
スリーパーダには昨日の朝登ったそうで、さかんに脚が筋肉痛だと言ってました。

日本山妙法寺には、彼のように信者ではないけれど、
平和を愛する “日本山妙法寺ファン” とも呼べるような若者がたくさんいるのです。

ティータイムの後は、スリランカの信者さんたちが参道に旗を取り付けられるのを
一緒にお手伝いさせていただきました。

旗の取付をお手伝い

なかなか面白い人たちで、冗談を言って笑ったり、とても楽しい一時です。
仲良くなって、彼らにトウモロコシをご馳走してもらいました。

スリランカのトウモロコシ

参道の売店で売られているのがあまりに美味しそうだったので、
私の気持ちを察して知り合いの売店の人に分けてもらったのです。

たしかに、色といいツヤといいとても “美味しそう” でした。
けど実際に食べてみると ・・・ 。
コーンの一粒一粒はとてもプリプリしていて、きれいに食べることができます。
けれども味の方は日本のトウモロコシと少し違いました。
もしかして家畜用かも? ・・・ とそんな味でした。
けど、もちろん全部残さずいただきましたよ。 (*^・^*)

夕方、日本山妙法寺の開祖である藤井日達聖人のお母様の御廟に参拝しました。

日本山妙法寺の開祖である藤井日達聖人のお母様の御廟

明日の法要のため、お上人さん達もたくさん集まってこられました。
日本山妙法寺の方たちのワールドワイドな行動力はまさに驚異的です。

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