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スコール

9月29日深夜、プノンペン空港に着き、
飛行場から一歩外に出ると熱帯特有の生暖かい熱気に包まれます。
飛行場には四年前にもお世話になったソピアップさんが迎えに来てくださっていて、
予約している市内中心部のホテルまで連れて行っていただきました。

カンボジアは暑いです。
そしてビールが安くて旨くて、簡単にどこにいても手に入ります。
ということで、ホテルに着いて部屋に入る前に早速ビールを入手しました。



左のアンコールビールは地元カンボジアのメーカー、
右のタイガービールはアジア各国で飲まれている有名ブランドです。
値段はナッツを含めて3ドル、約360円、
アンコールビールが1ドル弱、タイガービールが1ドル強といった感じで、
味は値段通りタイガービールの方が美味しいです。

けれど泊まったホテルは快適ですが、外気温が高いため、
日本ではまったく使うことのないクーラーをつい使ってしまい、
ビールを飲んでほろ酔い気分で体を冷やす日を何日か続けた結果、
数日後、軽い風邪を引いてしまいました。

カンボジアに来て十日ほど経ち、
今はほとんど回復しましたが、
ゴミ箱の中は鼻をかんだティッシュで山盛りになっています。


カンボジアは5月下旬から10月下旬頃までが雨季であり、
今は雨季のまっただ中なのですが、
これも世界的異常気象の影響でしょうか、
今年は特に雨が少ないと聞いています。

実際に滞在したこの十日間ほどの間に、
雨が降ったのは三回だけです。

その三回の雨というのは南国ならではのスコールで、
突然雨が降りだしたかと思うと猛烈な勢いの雨となり、
それもごく短時間で止んでしまいます。
降り出す時刻は夕方前後が多く、
時間は短くて30分、長くて2時間といった程度です。

けれどその雨の猛烈さは半端ないレベルであり、
下水が整備されていない道は冠水状態になってしまいます。

一番激しいスコールの時はひろしまハウスの中にいて、
外に出ることができず閉じ込められてしまいました。
写真はそのひろしまハウス前の道路です。



ここはプノンペンでもかなり主要な道路のはずですが、
完全に池のようになり、なすすべがありません。



けれど子どもたちは大はしゃぎ、
階段を、滝のように流れる雨水とともに滑り降りたり、
ずぶ濡れになりながら走り回っていました。



スコールの際の時間雨量ってどのくらいんでしょう。
ちょっと見当が付きませんが、
数日に一回でもドカッと雨が降れば、
それで雨季の平均降水量に達するのではないかとも思います。

ちなみにプノンペンは9月が最も降水量が多く、
平均268ミリです。


日本と外国の気候風土を比べて優劣を語っても仕方ありませんが、
雨の降り方は、日本のように一日中じめじめしとしとするよりも、
南国のスコールのように短時間で一発勝負といった感じの方が、
過ごしやすくて爽やかな気がします。
これは自分が前世インド人を自負する人間だからかもしれません。

日本でも梅雨時の雨は、
たとえそれが植物にとっての恵みの雨であったとしても、
気分的にはうっとうしく感じることが多いものです。
けれど真夏の夕立はスコールと似て、
降った後の浄化された澄み切った空気が心地よく感じられます。
  (ゲリラ豪雨はいけませんが)


日本から遠く離れた外国にいると、
その気候風土の違いから、
日本の気候風土は日本人の精神性とどのような関わりがあるのだろうと
いつも深く考えさせられます。

一昨年広島を訪ねてくれたインド人のジーナは、
ちょうど紅葉の盛りだった宮島にいたく感激し、
紅葉した葉っぱをどうしたらこのままインドに持ち帰れるか、
何度も尋ねていました。
その後インドで会った時も、日本は秋に葉っぱの色が変るのだと、
周りの子どもたちに説明していました。
よほど深く印象に残ることだったのでしょう。

昨日はプノンペンの日本人学校に行き、
たくさんの日本語を学ぶ学生たちと話をしました。
彼らから受けた日本に関する質問の中に、
冬、雪、四季、桜、地震、温泉、
といったものがありましたが、
これらはすべて日本にあって、カンボジアにはないものです。
  (カンボジアにも温泉の湧く場所はありますが、浴場はありません)

四季、うっとおしい梅雨、儚(はかな)い桜、・・・
カンボジアにいて、普段は考えることのない日本文化について考えています。
それにしても、人の夢と書いて儚いと読むなんて日本的感性ですね。


カンボジアと南インドは気候的によく似ています。
けれど生活文化は異なる点が多々あり、
最初に書いたビールも、カンボジアでは簡単に手に入り、
外国人は朝からレストランのテラスでおおぴらに飲んでいます。

ビール以外のワインやウイスキーも、
外国の有名ブランド品がコンビニで簡単に手に入ります。
ただし値段は日本で買うより高額です。

インドでは少しずつ飲酒人口が増えてきているとはいうものの、
酒は堕落した人間が飲むものというイメージが強くあり、
州によって異なりますが、酒は人目の着く場所で買うことはできません。

アルコール以外の飲料も、カンボジアではよく冷えたものを、
コンビニでも露天でもレストランでもホテルでも、
手軽に買って飲むことができますが、
インドでは、同じ暑い国であるにも関わらず、
よく冷えた飲み物を飲むという習慣があまりありません。
冷えたものを飲むとよけい喉が渇くという考え方のようです。

その土地の気候風土とともに、
そこに暮らす人々が過去に織りなしてきた歴史という思いが加わり、
文化が形作られるのでしょう。


金子みすゞが言うように、
『みんな違ってみんないい』
のだと思います。

さらに言うならば、その “違い” は、
大きければ大きいほど、ひとつひとつの存在が輝くように感じます。

もう明日の夜にはカンボジアを発たなければなりません。
残りわずかな時間、日本とカンボジアのことについて、
しっかりと考えてみたいと思います。
冷たいビールを飲みながら。

2015.9.8 Tuesrday  

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