科学的分析と統合的感覚

与えられた問題に対して的確な回答を導き出すことは大切です。
けれどそれよりも大切なのは、真に問題(イシュー)となるものは何なのか、それを探り出すことです。

勤勉で真面目な日本人は、与えられたことを真面目にこなすことは得意でも、その奥にある真に課題となることを見つけ出すことは苦手です。

けれど今のように明日の社会がどのように変化していくのか予測し難い混沌とした時代に於いては、より根底から物事を見つめ直すことが求められます。

真面目な人間は権威や数字に弱く、それを提示されると盲目的に信じ、従順に従ってしまう傾向があります。
それを是正するためには、まず自分自身がそうであるということを自覚することです。

昨今のスパーコンピュータの性能向上は著しく、単純な情報処理なら全人類が束になっても敵いません。

そのスーパーコンピュータの分野で、日本が開発した「富岳」が計算速度世界一の栄冠に輝き、その突出した能力を武漢肺炎の対策に使おうという動きが進められています。
新型コロナウイルス対策を目的としたスーパーコンピュータ「富岳」の優先的な試行的利用について | 理化学研究所

具体的研究内容は以下のようなものです。(抜粋)

  • (1)研究開発の実施課題は以下のものを対象としており、理研等の提案を踏まえて文部科学省が随時決定します。
    • 新型コロナウイルスの性質を明らかにする課題
    • 新型コロナウイルスの治療薬となりえる物質を探索する課題
    • 新型コロナウイルス診断法や治療法を向上させうる課題
    • 新型コロナウイルスの感染拡大及びその社会経済的影響を明らかにする課題
    • その他、新型コロナウイルスの対策に資することが想定される課題
  • (2)今般、以下の研究開発に「富岳」利用を提供します。(詳細は、添付資料(PDF 1.2MB)新規タブで開きますをご参照ください)
    • 「富岳」による新型コロナウイルスの治療薬候補同定(課題代表者:理化学研究所/京都大学 奥野 恭史)
    • 「富岳」を用いた新型コロナウィルス表面のタンパク質動的構造予測(課題代表者:理化学研究所 杉田 有治)
    • パンデミック現象および対策のシミュレーション解析(課題代表者:理化学研究所 伊藤 伸泰)
    • 新型コロナウイルス関連タンパク質に対するフラグメント分子軌道計算(課題代表者:立教大学 望月 祐志)
  • (3)なお、「富岳」の試行的利用に当たっては、開発・整備に支障がない範囲を見極めながら実施されるものであり、ベストエフォートの考え方を基本としています。
  • (4)これらの実施課題で得られた成果は、課題実施者、関係機関等と連携しつつ、国内外に広く公開することとします。
  • (5)今後、研究開発の実施課題が順次追加されていくことがあり得るとともに、状況の変化に応じて本枠組みが見直されることもあり得ます。

富岳

これら一般人の頭脳では理解しがたい高度な研究によって、本当に画期的な解決方法が見いだせるのか、自分は大いに疑問です。

政府、官僚、学会が主導して行うことはすべて従来からの権威ある科学的手法の延長であり、今人類に与えられている局面に於ける解決策は、そこにはないと感じるからで、そのことは「目覚めの時」に書きました。

人間の処理能力をはるかに凌駕するスーパーコンピュータは、閉鎖された局面ではその持てる能力を遺憾なく発揮します。
完全に定められたルールに則って限られた盤上で行うチェスや将棋は、今やコンピューターは人間が相手のできるレベルではありません。

けれどそれが外に大きく開かれた開放形の事例を探究する場合、すべての関連要素を数値化して入力することは不可能であり、ある程度“科学的視点”に基づいて入力事項を絞りこむため、そこから導き出される結論は、ある限られた範囲内での真理となってしまいます。

ただしここから素晴らしい解決策が発見される可能性もゼロではありませんが、歴史の持つ生命観を研究してきた自分の目から見て、これまでの科学で不要とされてきたものの中にこそ真理を解き明かす重要な要素があると感じます。

自分が感覚的に思うのは、マスクを外して腹式呼吸を行って丹田を鍛え、生味噌等良質の植物性発酵食品を積極的に摂ることによって腸を健康な状態に保ち、足湯をしたり身体を冷やす食品を控えることによって体温を上げること、これらが最高の養生法であり、感染しても発症させない大切なポイントだと考えます。

けどこういったことはスーパーコンピュータでは決して導けないでしょう。

東洋の知恵はすべてを統合した中で感覚的に捉えるものであり、コンピューターで演算できるものではありません。

極端な例でたとえるならば、先日までいたインドでは毎晩蚊に悩まされました。
その蚊を部屋に入れないため、すべてのドアや窓に網戸をし、高性能のセンサーを配置して蚊を撃退しようとするのがスーパーコンピュータの世界で、蚊の発生源を探り、外の水たまりを埋めてしまうのが東洋の知恵です。

スーパーコンピュータ富岳がどのような結論を導くか分かりませんが、それは科学的結論であり、科学とは物事を分けて考えること、そのバラバラにされた部分のなかでの真実であると心得るべきであり、それを絶対視しないでください。

科学的分析と統合的感覚、これらは二つでひとつの関係であり、まずこのことを知った上で事にあたることが、すべての前提となるものです。

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