鏡の力

栗本慎一郎 ミラーボックス

『願望はそれを強く確信すること、
そして繰り返しイメージすること、
するとそれは必ず現実化する』

これはスピリチュアルの世界で願望実現の法則として必ず語られるゴールデンルールです。

人間の脳は現実と想像を区別することができません。
ですから頭で思い描いたことを脳は現実と“錯覚”してしまい、イメージしたことが現実として現われるという不思議なことが起こるのです。

生命の基本法則のひとつが共生です。
身の回りの現実世界は男と女、動物と植物、太陽とそれを取り巻く惑星たち、共生する互いのもの同士が絶妙なバランスを保ち、尊い生命の営みを続けています。

その意味では思考という内面世界と現実界という外面世界も互いに共生するバランス関係を保っていて、イメージによって創られる内面世界が変化をすると、それに応じて外の世界も変化しながら新たなバランス関係を築いていくというのは必然だと考えられます。

これは科学というミクロ的手法では解明できないことですが、これが事実であるということは多くの人が体感し、知る人ぞ知る真理として様々なところで語られています。

 

栗本慎一郎という国会議員も務めたことのある作家が、二十年以上前に脳梗塞で倒れたというニュースは、当時新聞かテレビで目にしたことがあり、その後独自のリハビリによって身体の機能を回復されたという記事を十年以上前にネットで読み、その方法がとてもユニークだったので強く印象に残っています。

ひとつはミミズの乾燥粉末を、治療薬か栄養補助食品か、そういう役割として口にするというものです。
ミミズは土の中を自らの力で穴を掘って前に進みます。
その力は詰まった脳の血管を再び血液が通るように開いていく力に通じ、そのためミミズを加工したものを体に入れることによって脳の機能が回復するというものです。

これはすごく面白いですね。
西洋的、科学的には眉唾でも、東洋的考え方からすると実に理に適っています。
そして関連商品がたくさん売られているところから見ても、実際に効果があるのでしょう。

そのミミズの粉末薬のことは「形には意味がある」でも紹介しています。

 

さらにもうひとつのリハビリ方法、これが「脳を騙す」方法で、実に画期的に素晴らしいのです。

栗本氏は左半身が麻痺して動かない状態となり、その失われた機能を回復させる方法として鏡を入れたボックスを使われました。
自分の方からその箱の中を見ると、動かない左手は目に入らず、自由に動く右手が鏡の中では左手のように映り、両手を動かそうとしても実際には右手しか動いていないにも関わらず、あたかも両手とも自由に動いているように見え、脳はそれを見て左手の機能を錯覚し、自然と動けるようになる、またしていこうという器具なのです。

これは栗本氏が実際にその箱、ミラーボックスの中に手を入れている写真です。

栗本慎一郎 ミラーボックス

実際に動く右手と、鏡の中では面対称となった右手があたかも左手のように映っています。

これで不自由な左手の機能が回復するというのはすごいですね。
スポーツ選手が競技をしている選手の動画を見ると、見ている方もその競技をしている選手と同じ筋肉に反応が現われるとのことなので、イメージだけでも筋肉や神経の刺激になることは十分理解できます。
またそういった物理次元だけではなく、脳の思考、創造力、思い込みといった心の大きな壁も打破してくれるのでしょう。

 

このことが頭にあったので、先日十数年ぶりに会った知り合いの女性がその間脳出血で倒れ、左半身が麻痺して動かない状態になったことを知り、このミラーボックスのことを話しました。
彼女はミラーボックスのことをご存知ではなく、ご自分でもそれに取り組んでみたいとのことなので、手作りのミラーボックスを作らせてもらうことにしました。

そして今日、その方のところに自作品を持っていきました。

ミラーボックス

近所のスーパーでもらったみかん箱にダイソーで買った200円の鏡を組み込んでいます。

ミラーボックス

動かない左手は見えないように左上部にはふたをしています。
箱の回りにはその方を励ますいろんな言葉を書いた画像をたくさん貼りました。
画像はネットで見つけた「だるまの万次郎」さんのものを使わせていただきました。

彼女はこれから毎日時間を決めてミラーボックスのリハビリに取り組んでいくそうです。

 

ミラーボックスを用いたリハビリ法はよく知られているようで、ネットで「ミラーボックス リハビリ」と検索するといろんなサイトがヒットします。
また木製や段ボール製のミラーボックスも市販されています。

けれど彼女が定期検診で通う某大学病院のリハビリの先生はミラーボックスのことをご存知でなかったようで、その説明をしても
「まあやらないよりはやった方がいいでしょうね」
という実につれない返事で、とてもガッカリされたそうです。

医療機関に頼るのではなく、彼女には是非とも自力で機能回復し、回りの多くの方に人間の持つ潜在能力の偉大さを示していただきたいと願います。

 

このことを書いていて思うのですが、思考と現実の世界は表裏の関係、鏡の関係と言えるのではないでしょうか。

そして脳は騙すものではなく、思考と現実とを結ぶつなぎの役割、鏡の働きをしていると考えることができます。

このページも最初は「脳を騙す」というタイトルで書き始め、今ここに来て「鏡の力」というタイトルに換えました。

神社にご神体として奉られ、三種の神器のひとつである鏡というものはやはり偉大な存在です。
鏡の中のものが現実になる、その方が毎日ミラーボックスでリハビリをされるように、自分自身も鏡に向かい、その鏡に映った自分に理想の自分として語りかけ、それに向かって歩んでいこうと心に誓いました。