広告の心理学

マンガでわかる キャッチコピー力の基本

自分が毎週参加している唯一の会が、毎週金曜日の早朝行われている積極人間の集いです。
最近はコロナ禍の影響で少し参加者が減ったものの、毎回三十名近くの参加者がその日の講師の話を50分間聴き、その後の一時間で参加者全員が一言スピーチをします。

前回は災害がテーマで、もし首都直下型地震や南海トラフの地震が起こったらどうなるのか、またその確率はといったお話でした。

それに対する参加者のスピーチは、「朝からお先真っ暗になりました」とう単刀直入のものもあれば、「死ぬ時は死ぬんだから」「寿命が来たら一日も生きられない」といったちょっとおかしな諦観論や、会に遅れて参加した人の「みなさんのスピーチを聞いて今日は暗い話だったようなので、遅れてよかったです」と笑いを誘うものまで様々でした。
(お話はよかったのですが感想は散々でした)

この会での最も深い学びは各専門家のお話もそうですが、個性ある参加者たちのみなそれぞれ違ったものの見方を肌身で感じることです。

 

人間の眼は外に向かって付いていて、人間は生涯自分の顔を直接見る事はできません。
これはとても大きな意味を象徴していると思います。

人間は誰しもが自分自身の考え方、感じ方を“当たり前”と思い、それと異なるものに対しては拒否の姿勢を示しがちです。

その異なった他人の価値観を受け入れられるのが大人としての度量の広さであり、寛容性、器であり、これがある方が対人関係はスムーズにいきます。
けれどそれが自分を殺した結果であるならばそれは望ましいものではなく、人それぞれタイプがあり、ここがまた難しいところです。

 

以前コンサルタントとしていろんな会社を訪ねていた時によく言われたのが、
「実際の経営者じゃないのに何のアドバイスができるのですか?」
「その会社の分野の専門家じゃなくても大丈夫なの?」
といったことです。

そう聞かれていつも答えていたのが、
「その会社の経営者や専門家じゃないからアドバイスができるのです」
ということです。

あまりいい言葉ではありませんが、「専門バカ」という言葉があります。
これは広い意味ではいろんなところに当てはまり、何かひとつのところにどっぷりと浸かっていると、細かい枝葉のところは分かっても、そのものが社会や回りに与える本質的なところが見えなくなってしまいます。

身近なところでは、大切な本は最初に目を通す時に重要箇所に付箋を付けたりラインを引くようにしています。
これは必ず最初に読んだ時にしなければダメで、二度目に読む時はすべてに既知感があり、読み飛ばしたりして大切なところを見過ごしてしまいます。

またプロ詐欺師は「専門家ほど騙しやすい」と言うそうです。
専門家は深い専門知識を持っているがゆえ、その知識に頼ってしまい、目の前に現れている事実を素直な目で見ることができないのです。

 

心理学に関する書籍は書店に数多く並んでいて、そこに書かれているものは、いかに自分の心を律するか、自分とは異なる価値観を持つ他人の気持ちを推し量りいかに折り合いをつけるか、この二つが大きなテーマです。

この中の「いかに他人の気持ちを推し量るか」という、それを追い求め、また効果測定できるものが広告です。

広告は、自分目線で「この商品はこんなに素晴らしいものです!」と声を大にして叫んでもお客様の心は掴めません。
お客様の立場に立ち、「あなたにとってこんなに役立って幸せにするものです」と訴えられなければ、相手の心を動かすことはできません。

 

今年インドのロックダウンで長期滞在している間、様々な分野のAmazonの電子書籍を読み、その中の一冊が「マンガでわかる キャッチコピー力の基本」です。

広告の基本であるキャッチコピーのあり方を説いたこの本はマンガ混じりでとても読みやすく、人の心を学ぶ上で参考になるところがたくさんあるので、それ以来すでに四回目を通し、紙の書籍も二冊買って知り合いにプレゼントしました。

ストーリーは老舗のうなぎ屋さんが広告でなんとかお客を呼び寄せたいと考え、平賀源内の生まれ変わりであるイケメンで有名なコピーライターにコピーの書き方の指導を受け、繁盛店にしていくというものです。

最初にうなぎ屋の二人の娘が書いたコピーがこれです。

『神田屋は伝統あるうなぎ屋で
 厳選した素材を吟味し
 極上の料理を提供しています』

これってよくありがちな完全に自分目線の文章ですね。
これがコピーを書く時の基本を学び、少しずつ相手の心に訴えるものに変わっていくというものです。

 

生きているうちに出合うものはすべてが学びであり、その中でも広告はやはり対人関係のあり方を濃縮した世界と言えるでしょう。
上記の本は、心理学書としてもとても優れたものだと感じます。

広告文であるコピーと同じく、それを紙に記したチラシもまた人の心をいかに掴むかを学ぶいい題材であり、またそうでなければチラシの価値が下がってしまいます。

自分もパソコンを扱う関係でチラシ、案内文といったものはよく作りますが、これまでその様式をキチンと学んだことはなく、今度はコピーと同じく心理学を学ぶつもりでチラシ作成のテキストを買って読んでみようと考えています。

学ぶことって楽しいですね♪