パルスのエネルギー

ケチャ

子どもの頃読んだ湯川秀樹の伝記に、湯川博士は幼い頃から好奇心旺盛で、何か分からないことを調べると新たに興味や疑問の湧くことがいくつも現われ、関心を持つことが際限なく広がっていくということが書かれていました。

今はインターネットという便利なツールがあり、興味のあることはいくらでも深く調べることが可能です。
そしてその便利さにつられどんどんとその世界の深みにはまり、いつしかそこから抜け出せなくなっていることがよくあります。

今はちょうどそんな状態で、なるべく見ないようにしているYouTubeも見たいものがたくさんたまり、何かの用事をしながら1.5倍速といった早送りで見ています。
本もまったく違う分野の本三冊が読みかけで、時間のない時は読み飛ばせるものを、集中できる時には学習用のものをラインを引きながら読んでいます。

 

いろんな分野に興味が広がる時とひとつのことに意識が集中する時、これは長い人生において大きな流れのリズムがあるのだと感じます。
四季の巡りは一年サイクル、文明の興亡は文明法則史学が説くように1600年、そして人生の波のひとつは四柱推命が示す12年サイクルといった具合に、人間を含め森羅万象に様々な波長のサイクルがあり、それらが複雑な位相をもって絡み合っています。

今の自分はいろんなことをインプットすることに意識がいき、アウトプットがおろそかになり、このホームページの更新も滞りがちですが、過去にはほぼ毎日更新し続けていた時期もあり、これもひとつの大きなリズムなのかなと感じています。

今のこの状態がいいのか悪いのかは分かりませんが、それが己の内から湧き上がった感情、感覚に従ったものであるならば、それが自然であって自然の感覚に勝るものはないと考えています。
それは自分の感覚をどこまで信頼できるかということです。

今というこの瞬間だけを切り取ってみると、今はインプット過多の状態です。
つまり不安定な状態ですが、大切なのはトータルで見た状態です。

 

今というこの瞬間、これがすべてです。
量子力学でもスピリチュアルな世界でも、今というこの一瞬に過去も未来もすべてのものが含まれ、時というのは今というこの瞬間の連続体であるという考えに向かっています。

そして全体が目指すべきは安定です。
安定を目指す原動力は、不安定な状態である今というこの時です。
今この時が完全に安定した状態であるならば、形を変える必要はなく、循環というリズムも生まれません。

「宇宙の十二の変化の法則」の9番目

完全に中立なものはなにひとつない。
どんなものでも陰か陽のどちらかが勝っている。

この時空に、陰陽の調和が完全に取れたものは存在しません。
だからこそすべてのものは調和を目指し、それが時とともに循環しています。

安定が善で不安定が悪ではなく、安定を生むために不安定が存在し、安定と不安定は調和を取るための陰陽の関係です。

この時空における三大法則、共生、循環、フラクタル、その循環が時の流れとともに存在するように、調和の取れた状態を示す共生は、ある一瞬の時を切り取った空間を示すということができます。

またすべての物質のミクロ状態である量子の性質をみる量子力学では、すべての量子は粒子と波動、二つの振る舞いを同時に示すということが明らかになっています。
それを証す二重スリット実験は実に興味深いものです。

これをまとめるとこうなります。

不安定 安定
循環 共生
時間 空間
波動 粒子

 

最近こういったことを強く意識していると、身体全体が常に振動しているように感じます。
それはどういったスケールで見るかであり、厳密に言えば座禅を組んでいる禅僧も、全身が、また肉体すべての細胞も微細に振動し続けているのです。

この時空にあるすべてのものが波動であり振動していて、それが自然の状態であるがゆえ、その波動を強く感じさせるものに人間の感覚は強く引き寄せられます。

激しく明滅を繰り返す断続的なパルスは強烈な波動です。
そしてその強烈さゆえ、身体の中の波動がその波動に引きずられて一種のトランス状態のようになることがあり、光のパルス波によって多くの子どもがショック状態になったテレビのポケモン騒ぎは記憶に新しいところです。

この強力なパルスは神事など伝統行事によく用いられ、連続的に打ち鳴らし徐々にテンポを上げていく太鼓、またバリ島のケチャなどもその典型です。

このケチャは実際に体験すると自然と心拍数が上がり過呼吸状態になってくるでしょう。
凄まじいパワーです。

パルス音を利用した楽曲は数多くあり、まず思い浮かぶのがピンク・フロイドの「One Of These Days (吹けよ風、呼べよ嵐) 」、プロレスラー ブッチャーの入場曲でもありました。

Eye of the Tiger (Survivor)もシンプルなビートが身体の奥に響きます。

同一のリズムの中、二つの旋律が延々と繰り返されるボレロもまたパルス音と同様の覚醒効果を感じます。

 

この時代の大転換機において、変革を呼び起こす強烈なエネルギーが求められていて、そのエネルギーの爆発的発露としてパルス的アクションは極めて重要です。

けれどパルスとは断続的でも続くからこそパルスです。
一触即発、それだけで終わってしまってはただの一発屋、ものを動かす力とはなり得ません。

その根底には安定したエネルギーが必要で、瞬間的なものと安定したもの、どこまでいっても陰陽のバランスが崩れることはありません。

「宇宙の十二の変化の法則」の7番目

すべての現象は、陰陽のバランスを変え、調和を取りながら動き続けている。
陰は陽に、陽は陰に転ずる。

極限まで膨れた風船は爆発して収縮し、小さく縮めたバネは大きく伸びようとします。
アンバランスを求める時期はそれを徹底し、いつしかそれが極まれば自然とバランスを求めるようになるのが自然の法則です。

つまりは自分を信頼し、今を生きるということ、この基本が変わることはありません。