音楽茶房「ムシカ」
今日は知り合いに連れられて音楽茶房「ムシカ」を訪ねました。

立派なコンサートホールを持ち、
広島の、特に年配の音楽好きには有名なところですが、
これまでご縁がなく、店の中に入るのは今日が初めてです。



木製のドアを開け店内に入り、さらにホールへの扉を開けると
まず目に入ってくるのがホール前方のステージ上にあるグランドピアノと
黒塗りの立派なホーンシステム(ステレオ)です。



その巨大なホーンシステムから流れる音楽を何と表現すればいいのでしょうか。

落ち着いた穏やかな音の中にきちんとした自己主張があり、
一種の風格さえ漂わせています。

アンプもかなりの年代物で、骨董品としての価値も十分にありそうな
背の高い大きな真空管アンプです。

真空管アンプの温かい音色は、最新型のトランジスターアンプでは
なかなか太刀打ちできない世界です。

私も以前は真空管アンプを使っていました。
真空管アンプの音は荒削りで、情報量の少ない地味なものですが、
その音の中には本物の「生の音楽に通じる感動」が含まれており、
その音と比べると現代のアンプの音は、姿かたちは実物とそっくりだけれども
「中身のない似て非なるもの」に聴こえてしまうほどです。

ちょうどSPレコードとCDとの違いによく似ています。

ここムシカのステレオもオーディオ的に見れば接続、配置等、
最高の条件とは言い難いもので、
ピークで音が割れたりするのですが、そんなことは全く問題とせず、
ただ音楽の喜びを伝え、聴き手に感動を与えてくれます。

音楽は各演奏者とのアンサンブル。
たとえソロであっても、演奏者、作曲者、楽器、録音する人、
または聴き手とのアンサンブルです。

ステレオもCD、レコード等のソースとプレーヤー、アンプ、スピーカー等
各機器とのアンサンブルです。

ここムシカの音も、ステレオ、ホール、マスター、
これまでここを支えてきた多くの人たちの思い、それらが絶妙のアンサンブルとなって
音楽茶房「ムシカ」の音を醸し出しているのだと感じました。

ですからここの音は心地よく、いつまでも聴いていたい
素敵な音楽を奏でるのだと思います。





マスターにお願いをして、棚にあったCDを聴かせてもらいました。

バッハ:チェロ・ソナタ第1&2
バッハ:チェロ・ソナタ第1&2
マイスキー(ミッシャ), アルゲリッチ(マルタ), バッハ

このディスク、私のお気に入りの一枚で、
もう100回近くは聴いていると思います。

素晴らしい音の響きです。
家で聴くのとは全く印象が違います。

アルゲリッチとマイスキーが、
すべての面でゆとりを持って、ゆったりと弾いているのがよく分かります。

バッハの持つ「峻厳さ」よりも「雄大なる久遠の真理」といった面が
耳に響いてきます。

音、音楽は、その時の状況、音色、様々な要因と重なり合って、
自分の頭の中でイメージの世界を創造、加工しているものだということが
よく理解できました。

素晴らしき音、音楽の世界、素晴らしき音楽茶房「ムシカ」です。

2004.09.23 Thursday



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