失われた大切なもの
物質的豊かさを極限まで追求していく現在の文明のあり方は、
人を幸せにするばかりではなく、
大いなる毒を含んでいることを感じます。

感じ、分かってはいても、
いったん味わった麻薬のような文明の魅力からは、
なかなか抜け出すことができません。

けれどもそれは行き着くところまで行ってしまい、
巨大な賭博場と化した金融経済市場は、
今やアメリカやヨーロッパで着実に崩壊の兆しを見せています。

そういったこと、言葉や理論で分かってはいても、心や体はなかなか動きません。
けれどもその言葉にリズムやメロディー、ハーモニーを加えた音楽の力は偉大です。
なにも理屈をこね回さなくても、
その本質を心と体の奥に染み込むように理解させてくれます。


YouTubeで日々いろんな動画や音楽を聴いているのですが、
最近は昔の曲を聴くことが多くなりました。
ただ単に懐かしいだけではなく、
今の時代の音楽にはない、心の響く何かを持っています。

昨日、やまがたすみこ の「今日の日はさようなら」を聴き、
思わず涙してしまいました。



「今日の日はさようなら」はよくキャンプファイヤーの最後に歌われる曲で、
この曲に若い日の思い出を秘めておられる方も多いのではないかと思います。

やまがたすみこ のこの曲は、ただ純粋で、ただ素朴で美しく、
その不器用なまでのストレートさが心に深く響きます。

「私の求めているのはこんな素朴な表現で、
 美しいものをただ美しいと語れる世界、そしてそれを喜び合える世界なんだ」

本当に ・・・ 、そんな思いが胸の奥から湧き上がってきて、
自然と涙がこぼれてきました。
これは胸の奥、魂から湧き上がってきた真実の思いです。

やまがたすみこ に限らず、
この当時のフォークや歌謡曲には、こんな純粋さにあふれた名曲が数多くありました。

今、私たちの周りにあふれている音楽は、
食べ物で言えば、砂糖や唐辛子、マヨネーズ等調味料をたっぷりとかけたような曲ばかり、
ただ純粋に心に響くような曲はほとんどありません。

これを世相だと言ってしまえばそれまでですが、
私たちは『豊かさ』というものを求め、
なぜこんなところに行き着いてしまったのでしょう。

ただ素朴で美しい旋律、私にはそれで十分です。
そんな音楽が街にあふれ、そんな音楽が似合う街、
私はそんな『心の豊かさ』のある街に住んでいたい。
心の最も深いところがそう望んでいます。









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2011.10.17 Monday



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