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陰と陽<2>
陰と陽の関係をもう少し分かりやすく具体例を挙げて解説してみましょう。
陰と陽、相対する関係を表にまとめてみました。
けれどもこれは相対的なものであり、絶対的なものではありません。
男と女を比べると、男は陽、女が陰の関係です。
しかし男の中にも女性的で陰性の強い男性もいれば、
女の中にも男勝りな陽性の強い女性もいます。
20℃の水は氷と比べると陽性ですが、80℃のお湯と比べると陰性です。
陰陽の尺度は絶対的なものではないのです。
陰 |
陽 |
遠心力 |
求心力 |
収縮 |
膨張 |
上昇 |
下降 |
冷たい |
熱い |
暗い |
明るい |
静的 |
動的 |
女 |
男 |
精神 |
肉体 |
カリウム |
ナトリウム |
植物 |
動物 |
弛緩 |
緊張 |
悲しみ |
怒り |
紫 |
赤 |
休息 |
活動 |
空間 |
時間 |
東洋 |
西洋 |
死 |
生 |
月 |
太陽 |
植物はひとつのところに根を生やし動かず、
上に向かって伸びていこうとするから陰性です。
動物は地表を動き回るので陽性です。
陰性の植物の中でも、竹は「雨後の竹の子」と言われるように特に成長が早く、
太陽という陽性に向かって伸びていく力が強いので極陰性です。
極陰性の竹は陰という同性の地を嫌い、根を地表表面にしか張りません。
陰は陽を求め、陽は陰を求める。
男女が引き合うのも、磁石のN極とS極がくっつくのもこの原理です。
極陰性の竹は陽性の火と中和するので、なかなか燃えません。
お寺の周りに竹藪が多いのは、防火対策の意味があります。
植物の中でもタンポポのように陽性の強いものは同性の陽を嫌い、
背が低く、葉っぱも横に向かって伸びています。
その代わり陰性の地を求め、根は地中深くまで伸びていて、
背の低い草ほど抜きにくいものです。
人体も太陽(陽)に近い上の方ほど陰性の性質を持っています。
精神を司る脳みそは、一番上の頭の中にあり、
肉体を継承さすための生殖器は胴体の最下部にあります。
地(陰)に近い足下が陽、天に近い頭が陰ですので、
頭寒足熱は陰陽の原理に則っているのです。
頭のてっぺん、最も陰性な場所に生えているのが髪の毛です。
髪の毛は、陰性な植物(草)とそっくりで、
陰性な女性の方が男性よりも頭髪は長くなります。
顔の中で天に向かって縦に伸びているのが鼻と耳、
これらは陰性ですから動かすことができません。
その逆で横に伸びて(開いて)いるのが目、眉毛、口です。
これらは陽性ですので、自由に動かすことができるのです。
陰性の鼻の中でも「鼻の穴」は横にふたつ付いているので陽性です。
ですから鼻の穴は少しだけピクピク動かすことができますね。
性に関しても陰陽の原理が当てはまります。
女性の持つ卵子は、陰性ですので極めて大きく、動かず、精子が来るのを待っています。
男性の精子は、陽性で極めて小さく、動き回り、卵子めがけて進んでいきます。
前項で述べたように、陰の中にも陽があり、陽の中にも陰があります。
大きな卵子の真ん中に小さな卵核があり、
精子にも丸い頭と細長く伸びたしっぽがあります。
卵子は陰性ですので、その中に包み込むように陽性の卵核を持ち、
陽性の精子は、陰性の頭の部分が外に飛び出しています。
そして卵子のある卵巣は身体の内部にあり、
精子のある睾丸は身体の外に飛び出るようにぶら下がっているのも同じ法則です。
卵子は原子と原子核にそっくり、
精子は勾玉、人間の骨格の中心にある頭蓋骨と背骨にそっくりです。
この宇宙、自然にあるものの基本構造はどれも共通し、
陰陽の理合いをはっきりと見て取ることができます。
女性は陰性の天に向かうエネルギーを受け、生殖器が形成され、
男性は陽性の地に向かうエネルギーを受け、生殖器が形成されています。
陰陽の原理は、動物、植物にのみに当てはまるものではなく、政治、経済、文化、・・・
この宇宙に存在するすべてに適合する宇宙の基本原理です。
陰陽の物の見方を身に付けると、周りのすべての世界が一変します。
陰陽の法則は、すべての本質を見ることのできる魔法のメガネ
なのです。 |