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ハイブリッドの効能<2>
異なる性質を持つものが合わさったハイブリッドが、
元となるものよりも大きな効能を発揮するかというと必ずしもそうではありません。
五行にはお互いを活かす相生の関係と、
お互いを克する相克の関係があるように、
相性の悪い物同士を組み合わせることによって、
互いのいいところを殺し合ってしまうこともあります。
例えば、火にとって水は相克の関係です。
火に水をかけると火は消え、水もまた灰やすすによって濁ってしまいます。
これは当然のことですね。
ハイブリッドが元のものよりも優れた性質を発揮するものばかりなら、
いろんなものが交雑しハイブリッド化することによって、
すべてがどんどん一つの方向に進んでいき、
秩序が保たれなくなってしまいます。
(優れる、劣るというのは主観的評価ですが)
元となるものより優れたもの、劣ったもの、また平均化されたもの、
様々なものが入り混じり、全体が渦を巻くように循環し、
時間をかけながら少しずつ変化、進化していく、
これが自然の秩序です。
その渦を巻きながら循環していくどの瞬間においても、
必ずその中で共生(最もシンプルなものは陰と陽)の関係が保たれ、
それを立体に表わしたものが二重らせん、
生命の暗号DNAの形そのものです。
DNAも二本の鎖のハイブリッド構造です。
陰極まれば陽になり、陽極まれば陰になる。
大きくなり過ぎた風船は、破裂して一瞬のうちに小さくなってしまいます。
極限まで縮めたバネは、その巨大な反発力で大きく伸びようとします。
過労死するほど働きづめのサラリーマンも、
体をこわして倒れてしまっては、まったく身動きが取れなくなります。
過ぎたるは及ばざるがごとし、
ある一定の限度を超えると、そのものの性質、働きが変ってくることがあります。
金は火と相克の関係があり、
火によって金属は溶かされてしまうので、
金にとって火は最も苦手な相手ということです。
けれどもこの苦手な相手の力をうまく利用することによって、
自らの力を高めることができる場合もあり、
これが自然の持つ面白い働きのひとつです。
日本刀や包丁などきわめて強度のある金属を作る鍛冶の行程の中で、
焼き入れという作業は必要不可欠で、
この焼き入れはまさに金属が最も苦手とする火を使って行なう作業です。
鍛冶では、金属を火でもって高温にさらします。
ここで一気に高温にするとひびが入り割れてしまうので、
温度は少しずつ上げていくのが基本です。
そしてその熱く熱せられた金属をハンマーで繰り返し叩き形を整え、
それを一気に水や油で冷やして形を決めます。
その後も焼き戻しといって、
ある程度の温度まで加熱しゆっくりと空冷させて粘りを持たせたり、
再びハンマーで叩いて形の狂いを修正したりします。
最後は表面をきれいに研いで刃先を鋭く仕上げていきます。
このことから学ぶところは大きいですね。
この刀鍛冶の方法は、私たち人間の成長過程にもピッタリと当てはまります。
現代社会では、快適性(アメニティ)、利便性(コンビーニエンス)を求めることが、
絶対の価値観のように思われていますが、
これは必ずしもそうではありません。
子どもの頃、吹きさらしのボロ屋に暮らし、
雪道を裸足で学校に通った経験のあるお年寄りの方には、
今の若者にない心身の逞しさを持っておられます。
苦労は買ってでもしろ。
ただしその人が背負える程度に。
そしてその苦労を自らの糧とし、しっかりと耐え、鍛えたならば、
いつか苦労が実り、大きく花開くことができる。
けれどもいったん成功したからといっても慢心することなく、
さらに自分を厳しい状況に置き、磨き、高め、
人生の目標に向ってコツコツと歩みを続けていくことが大切である。
刀鍛冶からこういったことが学び取れるのではないでしょうか。
逆境はバネになる。
ただしそれが過ぎてしまうとぐれたり挫折したり、
人生にとってマイナスの方向に向う場合もあります。
けれどもその時はマイナスになると思われていたことが、
長い目で見てプラスになることがあり、
その点はよく切れる刃物を作るという単一の目的を持つ刀鍛冶と比べ、
人の人生は価値観も多様で複雑なところです。
水は金と相生の関係にあり(水生金)、
金属によって水は活かされます。
私たち生体の求めている水は、純粋なH2Oではなく、
適度なミネラル(金属)を含んだ生きた水で、
このミネラルが水の価値を高め活かします。
五行を説いた本では「水生金」の解説として、
「金属の表面には湿気が水となって付着する」という例が必ず書かれていますが、
このミネラルウオーターの方が水と金属との関係を理解しやすいでしょう。
水は相生関係にある金属の助けを借りて生きた水としての役目を果たし、
豊富なミネラルを含んだミネラルウオーターは水と金属のハイブリッドとも言えます。
近年良質のミネラルを含み体にいいということで、
深海の海水から作られた海洋深層水が脚光を浴びています。
海洋深層水 - Wikipedia
深い海の海水がなぜ価値があるのか、理由は簡単です。
自然のミネラルをたっぷり含んだ海水ですが、
その海水に含まれるミネラルは金属ですので、
さきほど述べたように火にとても弱く、
太陽の光という強烈な火の力に当たると働きを損ねられてしまいます。
ですから太陽の光が届かない深海は、
生きたままの金属ミネラルが大量に存在する宝庫なのです。
「塩は命の源」、そのことを十数年前に知り、
手に入るあらゆる塩を口に入れ、
その中で最も美味しく体が喜ぶガラム・バユという塩を十年間愛用し続けています。
自然塩は塩化ナトリウムに様々なミネラルが加わっています。
鉱物、金属、食品でありながら腐らない塩は金属の理を持ったものです。
97年に塩専売法が廃止され、数多い自然塩、天然塩が店頭に並んでいますが、
その中でも価値が高いのが天日塩という天日蒸発だけで結晶化された塩です。
塩は金ですので火を嫌い、人工的に燃やされた火を使わず、
天日のみで作られた塩の方が生きたミネラルの働きを残しているのです。
残念ながら日本は緯度が高く、
国産ではなかなか良質の天日塩を作ることが困難です。
バリ島の塩、ガラム・バユは、潮流の力で深層水のわき上がってくる浜の海水をくみ、
それをカヌーのようにくり抜いた椰子の木のくり船で天日にさらし、
たぶん世界最短時間ではないか思われるきわめて短い時間で結晶化させます。
ミネラルの生きた海洋深層水、相克の火を嫌い短時間で天日で結晶化させ、
その結晶化の過程で椰子の木のミネラルも加わり、
金と木のハイブリッドとなり、まろやかな自然の甘みを持った塩が誕生します。
体で美味しいと判断した塩が、
最も自然の理に適っていたというのは、
いかに人智を尽くしてたものでも、偉大な自然の力には適わないということの証だと思います。
※ ガラム・バユは家内制手工業で輸入・販売されていますので、
ネット通販の窓口はありません。
ご希望の方は、直接輸入元にお問い合わせください。
大きな袋1キロ入りが3,000円です。
感性舎 〒730-0802 広島市中区本川町2-4-8-404
TEL 082-291-9980 FAX 082-291-0400
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