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ガイア理論

~ 地球はそれ自体が大きな生命体である。
全ての生命、空気、水、土などが有機的につながって生きている。
これをGAIA(ガイア)と呼ぶ。 ~

ジェームズ・ラブロック

1979年、生物物理学者ジェームズ・ラブロックは、著書『地球生命圏―ガイアの科学』において、地球はひとつの有機生命体『ガイア』であるという理論を提唱しました。
「ガイア」とは、ギリシャ語で「大地の女神」を意味します。

地球生命圏―ガイアの科学  ジェームズ・ラブロック著 工作舎

 

『地球とは、単なる岩石の球ではなく、水分と大気を持ち、そこに生息する生命種と共に、
温度・環境を調節する生命システムである』

ブロック博士のこの説は、当初「ガイア仮説」と呼ばれていましたが、地球は地表に生息する数多くの生命体がその生命を維持するための最適の環境を守り続ける「恒常性」を持っている、
という証明がいくつもなされるようになり、現在は「ガイア理論」と呼ばれるようになりました。

恒常性とはホメオスタシスとも呼ばれ、人間であれば健康を維持し、病気や怪我を自然に治癒する力に相当します。
ただの物質の塊であると考えられていた地球がこのような恒常性を持つことは驚異ですが、だからこそ、何億年もの長きに渡り、多くの生物が生命を存続させることができたと考えることができます。

地球に暮らす生命体は、その生命をガイアの絶妙なバランスの上に成り立たせています。
そのバランスは、ほんの数パーセントでも違えば生命を維持することはできません。

地球上に最初の生命が現れたのはほぼ35億年前のことである。
その間、太陽からの放射熱や地球の表面特性、大気の組成などは大きく変わっているものの、地球の気候はほんのわずかしか変化していません。

塩分濃度は、6%を超えるとほとんどの生物が存在できなくなります。
現在の海洋成分は3.4%であり、過去常に6%以下に抑えられてきました。

メタン濃度は、地球上どこの大気を測っても、約1.5PPMとなっています。
酸素濃度は、低すぎると新陳代謝が行えず、高すぎると酸素中毒を起します。
また酸素濃度15%以下だと乾いた小枝にも火がつかず、逆に25%以上だと、熱帯雨林の湿った樹木でさえ激しく燃え盛り、大火災を引き起こします。
地球の酸素濃度は、ほぼ21%に保ち続けられています。

現在および過去の歴史を通して、地球の気候と化学特性は常に生命にとって最適なものであったように見える。
これが偶然で起こる確率は、ラッシュアワーの路上を目かくしで走ってかすり傷ひとつ負わないぐらい低い。

 

人間の身体の中には無数の微生物や細菌が暮らし、その微生物、細菌と共生することで生命を保っています。
人間をはじめとした動植物、生命種は、地球という生命体に宿り、共生している微生物のようなものです。

ですから人間や動植物もガイアの持つ生命の一部であり、地球がこれまで通り多くの動植物が暮らせるような環境を維持していくためには、急速な勢いで進んでいる環境汚染や森林伐採などを食い止めるとともに、たくさんの種類の生物による複雑な生態系を守る必要があります。

生物種の多様性を増せば増すほど、環境変化に対する対応力が増し、地球環境の調整機能は向上していきます。

ラブロック博士は、現在の地球は人体にたとえると、インフルエンザで発熱した状態にあると述べておられます。

人間が病に冒された時、発熱や発汗、震えを起こし、全身に湿疹が現れることもあります。
それはガイアにとっても同じであり、異常気象や地震、津波といった自然現象は、病めるガイアの自己調節機能と言えるかもしれません。

このガイアの発熱を抑え、真の健康を取り戻し、人類とガイアの理想の共生関係を取り戻すことが急務です。

近年『地球にやさしい』という言葉をよく耳にします。
これは“地球のため”という以前に、地球に暮らさせてもらっている“人類が平和に暮らすため”に必要なのだということを忘れてはなりません。

Earth in the hand

~ 子供は親を鏡に育つよね。
人間は、地球を鏡にして生きなくっちゃあ。 ~

坪田愛華

 

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